2022年07月25日

コロナ治療薬、EV、金利…「動かない日本」の成長力は?【週間ニュースまとめ7月19日~24日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 この週のニュースをまとめていると、日本が世界の動きから取り残されつつあるのではないかと感じさせるニュースが多く、少々心配になりました。塩野義製薬新型コロナの飲み薬は、緊急承認されず、継続審議となりました。海外の製薬メーカーの中には新型コロナに対するワクチンや治療薬を開発し実用化しているところがいくつもありますが、日本の製薬会社でワクチンや治療薬の実用化にこぎつけたところはまだありません。電気自動車世界2位の中国BYDは日本の乗用車市場に参入すると発表しました。ガソリン車に代わって今後主流になるとみられる電気自動車では、アメリカのテスラと中国のBYDが先行しています。BYDは電気自動車の普及が進んでいない日本市場では競争できるとみて攻め込んできた形です。欧州中央銀行は11年ぶりに利上げすることを決定しました。アメリカの中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)はすでに利上げを進めていて、欧州もその動きに続きました。一方、日本銀行は今のマイナス金利政策を維持する姿勢です。欧州やアメリカと、日本との金利差はますます開き、円安から物価上昇につながる動きが止まらない可能性が高まっています。日銀の政策の是非はともかくとして、世界は動いているのに日本は動かないと感じさせる出来事です。「動かない日本」は、残念ながら活力のなさを感じさせます。企業の成長力を見る場合も、新しいことに向けて活発に動いているかどうかが一つの目安になると思います。(ジャーナリスト・一色清)

(写真は、日本市場参入を発表したBYDジャパンの劉学亮社長=2022年7月21日、東京都江東区)

【スポーツ】羽生結弦、競技の一線退きプロ転向を表明 フィギュア五輪で2連覇(7/19.Tue)

 フィギュアスケート男子の羽生結弦(27)=ANA=が19日、東京都内で会見を開き、競技者として一線を退き、プロに転向する決意を明らかにした。「皆さんの応援の力で羽生結弦としてフィギュアスケートをまっとうできるのが、本当に幸せです。まだまだ未熟な自分ですけれど、プロのアスリートとしてスケートを続けていくことを決意いたしました」と述べ、五輪などのアマチュア選手が出場する競技会への参加をやめて、今後はプロ選手としてスケートに取り組む考えを明らかにした。1994年、仙台市生まれ。ジュニア時代から将来を嘱望され、2010年にシニアデビュー。2011年の東日本大震災を乗り越えて、五輪では2014年ソチ、2018年平昌で男子では66年ぶりとなる連覇を達成し、冬季五輪の金メダリストで初めて国民栄誉賞を受賞した。

【医療】「有効性の推定満たさず」が大勢 塩野義のコロナ飲み薬、承認見送り (7/20.Wed)

 塩野義製薬(大阪市)が開発した新型コロナウイルスの飲み薬について、厚生労働省の専門家分科会は20日、感染症流行時などに期限付きで迅速に審査する「緊急承認」の適用を見送り、継続審議とした。この日の審議で話し合われたのは、ゾコーバの有効性▽安全性▽同じ使い方のほかの治療薬があるか▽流行中のオミクロン株への効果――などだった。有効性については、治験に参加した人の症状の改善効果は明示できておらず、有効性が明確ではないとの認識ではおおむね一致。一方、ウイルス量の減少や症状がある期間の短縮がみられることから、有効性を推定できる可能性を指摘する声もあった。しかし、症状の改善効果は、オミクロン株の特徴的な症状に絞っても不明瞭との意見が出た。動物実験の結果などから胎児に異常が出る可能性が否定できないために妊婦に使えないことや、すでに国内で承認された米ファイザー製と同様に避けなければならない薬の飲み合わせが多いこともあり、医療機関で処方しにくいという指摘もあった。

【経済】EV世界2位の中国大手、日本市場参入へ 来年にも3車種投入(7/21.Thu)

 電気自動車(EV)世界2位の中国BYDは21日、日本の乗用車市場に参入すると発表した。EVの小型スポーツ用多目的車(SUV)など3車種を来年1月以降に売り出す。本国の中国や欧州に比べ、日本市場のEV比率はまだ低い。まずは手の届きやすい価格帯の車種を投入し、市場の主導権を握る戦略を描く。日本で来年1月に発売するEVは小型SUVの「ATTO3(アットスリー)」。価格は未公表。1回の充電で走行できる距離は最大485キロ(国際的な測定方法のWLTCモード)。大きさと航続距離は日産自動車のEV「リーフ」に近い。来年中頃には小型車の「ドルフィン」、来年下半期にはセダン「シール」の発売を予定する。BYDが今年1~6月に世界で販売したEVは約32万台で、約56万台だった米テスラに次いで世界2位。プラグインハイブリッド車(PHV)などをあわせた「新エネルギー車(NEV)」は約64万台で、テスラを超え世界トップになる。

【経済】欧州中央銀行が0.5%幅利上げ、11年ぶり マイナス金利政策解消(7/21.Thu)

 欧州中央銀行(ECB)は、2016年3月から過去最低の0%だった政策金利を0.5%にする。民間銀行がECBにお金を預ける場合の金利も、マイナス0.5%からゼロにし、2014年から続くマイナス金利政策を一気に脱する。中央銀行への預金に実質的な手数料を課すマイナス金利は、民間銀行のお金が企業などへの貸し出しに回るように狙ったもので、日銀も導入している。ECBの利上げは2011年7月以来11年ぶり。コロナ禍後の経済の需要回復やウクライナ危機を背景に、ユーロ圏の6月のインフレ率は8.6%に上っている。過去最高水準の物価高を抑えなければ、景気後退に見舞われるとの危機感が強い。

【政治】安倍晋三元首相の「国葬」、9月27日実施 政府が閣議決定(7/22.Fri)

 政府は22日、銃撃されて今月8日に亡くなった安倍晋三元首相の「国葬」を9月27日に日本武道館(東京都千代田区)で行うことを閣議決定した。葬儀委員長は岸田文雄首相が務め、費用は政府が全額負担する。元首相の国葬は、1967年の吉田茂氏以来、55年ぶりとなる。松野博一官房長官は22日の記者会見で、国葬とした理由について、憲政史上最長の8年8カ月にわたって首相を務めたことや、国内外から幅広い哀悼・追悼の意が寄せられていることなどを改めて説明。葬儀の名称は「故安倍晋三国葬儀」とし、22日付で内閣府に準備を行う事務局を立ち上げたと発表した。全額国費で賄われる一方、時の政権の判断で決まり、国会審議を伴わない国葬の実施には批判的な声が根強くある。松野氏は「国民の心情やご遺族の気持ち等も総合的に勘案をし、その都度ふさわしい方式が決められてきた」と説明。「様々なご意見があることは承知しているが、国葬儀は儀式として実施されるものであり、国民一人ひとりに政治的評価や、喪に服することを求めるものではない」と語った。

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