2021年10月11日

真鍋さんのノーベル賞で考える…地域格差と「親ガチャ」【週間ニュースまとめ10月4日~10日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 真鍋淑郎(まなべ・しゅくろう)さんがノーベル物理学賞を受けることになりました。日本のノーベル賞受賞者は28人目になります。真鍋さんは愛媛県新立村(今の四国中央市新宮町)で生まれ育ちました。筆者も愛媛県出身なのでうれしさが増します。これで愛媛県出身のノーベル賞受賞者は文学賞の大江健三郎さん、青色発光ダイオードの発明で物理学賞を受けた中村修二さんに次いで3人目になります。28人のうち3人を輩出しているというのは、ちょっと鼻が高くなる思いです。ふるさと自慢はこのくらいにしますが、筆者はこの3人が愛媛の中でもかなり辺ぴな地域から出ていることに注目しています。大江さんは山に囲まれた大瀬村(今の内子町)、中村さんは細長い岬にある瀬戸町(今の伊方町)、そして真鍋さんは山深い新立村で生まれ育ちました。3人の出発点は塾などなく競争相手も少ない地域でしたが、ノーベル賞までたどり着いたのです。一方で最近よく言われるのは、大学進学や就職には都会育ちのほうが有利だということです。都会には高学歴の親が多く、教育環境が整っていて、競争相手も情報も多いためだそうです。戦後76年がたち、その間、社会が大きく流動化するような出来事がなく、社会階層の固定化が進んでいると指摘されています。実感として多くの人がその指摘にうなずくと思います。最近、「親ガチャ」という言葉がはやっているそうですが、それも社会階層の固定化の実感からきています。固定化のひとつの原因である都会と地方との教育格差や情報格差を埋めないと、日本社会はますます硬直化し、衰退につながるのではないでしょうか。辺ぴな地域から大きなことを成し遂げる人材が出てくる社会に再び向かってほしいと思います。(ジャーナリスト・一色清)

【政治】岸田内閣発足 コロナ対策「最優先」、新しい資本主義実現会議設置へ(10/4.Mon)

 自民党の岸田文雄総裁は4日の臨時国会で第100代首相に選出され、自民、公明両党による連立内閣が発足した。閣僚人事では派閥や「老壮青」のバランスを意識し、13人を初入閣させた。首相は「新時代共創(きょうそう)内閣」と銘打ち、新型コロナウイルス対策を最優先課題として政権運営を進める考えを示した。岸田首相は同日夜の就任会見で、「国民から信任をいただいて、国政を担っていく必要がある」と述べ、臨時国会の会期末の14日に衆院を解散し、19日公示、31日投開票とすることを明らかにした。解散から投開票までの期間は17日間で戦後最短となり、衆院議員の任期満了(10月21日)を超えての衆院選は現行憲法のもとでは初めてとなる。
 岸田文雄首相は8日午後、衆参両院の本会議で、首相に就任して初めての所信表明演説を行った。富の分配によって中間層を拡大させることなどを目指す「新しい資本主義の実現」を打ち出した。(10/8.Fri)

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【科学】ノーベル物理学賞に真鍋淑郎氏ら3氏 地球温暖化の予測研究(10/5.Tue)

 スウェーデン王立科学アカデミーは5日、今年のノーベル物理学賞を、米国プリンストン大の気象学者、真鍋淑郎氏(90)ら3氏に贈ると発表した。コンピューターによる地球の気候のシミュレーション方法を開発し、人間活動によって地球温暖化が起きるメカニズムの理解と、温暖化の予測についての研究分野を世界に先駆けて切り開いた。日本のノーベル賞受賞は、2019年に化学賞を受けた吉野彰・旭化成名誉フェローに続き28人目。物理学賞は2015年の梶田隆章東京大宇宙線研究所長に続き12人目。真鍋さんは5日、米東部ニュージャージー州で会見し、「最もおもしろいのは、好奇心に基づいた研究だ。私は気候変動の研究を本当に楽しいと思ってやってきた」と語った。

【社会】日大理事らを逮捕 病院建て替えめぐる背任容疑 東京地検特捜部(10/7.Thu)

 日本大学の付属病院の建て替え工事をめぐり、日大の資金2億2000万円を外部に流出させて大学に損害を与えたとして、東京地検特捜部は7日、日大理事の井ノ口忠男容疑者(64)と医療法人「錦秀会(きんしゅうかい)」(大阪市)の前理事長・籔本雅巳容疑者(61)を背任容疑で逮捕し、発表した。関係者によると、日大は2019年12月、医学部付属板橋病院(東京都板橋区)の建て替え工事の設計・監理業者を選ぶ「プロポーザル」(提案型の審査)業務を、井ノ口容疑者が取締役を務める完全子会社「日本大学事業部」(世田谷区)に委託した。事業部は、参加した4社のうち都内の設計事務所を選んだ。日大は、価格交渉した事業部の提案通り、2020年4月に24億4000万円で設計事務所と契約し、一部の約7億3000万円を同年7月に支払った。翌8月、このうち2億2000万円が、籔本容疑者が全額出資した実体のないペーパー会社に「コンサルタント料」名目で送金された。直後の9月には、錦秀会の関連会社から井ノ口容疑者の知人側のコンサル会社に6600万円が送金された。このうち3000万円は知人側の別会社に移され、知人はこのうち計2500万円を今年3月と6月に井ノ口容疑者に手渡したという。井ノ口容疑者は日大の田中英寿理事長の側近。アメリカンフットボール部のコーチだった2018年、悪質タックル問題で選手らに口封じしたとされ、同年7月に日大理事と事業部の事業企画部長を辞任した。2019年12月に事業部取締役、2020年9月に日大理事に復帰した。

【社会】東京・埼玉で震度5強 津波の心配はなし M5.9(10/7.Thu)

 7日午後10時41分ごろ、千葉県北西部を震源とする地震があり、東京都足立区、埼玉県川口市、同県宮代町で震度5強を観測した。震源の深さは75キロ、地震の規模を示すマグニチュードは5.9。気象庁によると、東京23区内で震度5強を観測したのは、2011年3月11日の東日本大震災以来。津波は発生しなかった。総務省消防庁によると、東京都内では水道管が数十件破裂したとの情報が寄せられているという。交通にも影響が出た。新幹線各線は、東北、上越・北陸が一時運転を見合わせた。東海道新幹線の東京―小田原間のほか、首都圏のJRの在来線各線や私鉄でも運転見合わせが発生した。首都高や東名高速道路などの高速道路も広い範囲で通行止めになった。

【経済】法人税率最低15%で合意 国際課税新ルール、136カ国・地域で(10/8.Fri)

 多国籍企業の「課税逃れ」を防ぐ国際課税の新たなルールについて、日本など136カ国・地域は8日の事務レベルの会合で、法人税の最低税率を15%とすることなどで合意した。巨大IT企業などへの課税をしやすくするため、約100年ぶりに課税の大原則の一部を変更する内容も含まれる。米ワシントンで13日にある主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議での支持を経て、2023年以降の実施を目指す。

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