2019年12月16日

制裁関税緩和しても…米中の覇権争いは続く【週間ニュースまとめ12月9~15日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 アメリカと中国の通商協議がまとまり、互いにかけあっていた制裁関税の一部が緩和されることになりました。貿易戦争とまで呼ばれた対立が一転、雪解けに向かうとみたのか、世界の株式市場はこの合意を歓迎して株価は大幅に上がりました。ただ、世界情勢を分析している人の多くは、「一時的な休戦」とみています。アメリカと中国の対立は21世紀の世界の覇権争いだと考えているからです。アメリカは冷戦が終わった後、中国を積極的に国際社会に引き入れる「関与政策」をとってきました。中国が国際社会の一員になれば、自ずと民主化されると考えていたからです。しかし、中国は産業競争力と軍事力を高めるだけで、一向に民主化せず、習近平国家主席は「偉大な中華民族の復興」を言い始めました。脅威を感じたトランプ政権は長く続いた「関与政策」を捨て、中国に圧力をかける政策をとるようになったのです。貿易戦争はその政策のひとつです。こう見てくると、対立が一部緩和されたといっても本質的な対立は変わらず残っているといえます。わたしたちはアメリカと中国の対立は長く続き、世界経済の重しになるという認識を持っていたほうがいいようです。(朝日新聞社教育コーディネーター・一色清)

(写真は、G20サミットでのトランプ米大統領〈左〉と中国の習近平国家主席〈右〉。中央は安倍晋三首相=2019年6月28日、大阪市住之江区、代表撮影)

【経済】セブン、バイトの残業代4.9億円未払い 70年代から(12/10.Tue)

 セブン-イレブン・ジャパンは10日、全国各地の加盟店でアルバイトらの残業代の一部が未払いだったと発表した。本部のミスが原因で、1970年代から続いてきた。本部にデータが残る2012年3月以降だけで対象は8129店の計3万405人、未払い額は遅延損害金の1億1000万円を含めて4億9000万円にのぼる。未払いは2001年に本部が把握していたにもかかわらず、公表せず、それ以前の未払いを放置していた。24時間営業をめぐる店主との対立や、スマートフォン決済の廃止に揺れてきたコンビニ最大手への批判が、強まりそうだ。

【国際】グレタさん、米タイム誌「今年の人」に 史上最年少(12/11.Wed)

 米タイム誌は11日、年末恒例の「今年の人」に、スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさん(16)を選んだと発表した。16歳での選出は史上最年少となる。同誌編集長のエドワード・フェルセンタール氏が、米NBCの番組に出演し、「地球が直面する最大の課題に対して、最大の影響力を誇る人物となった」と理由を語った。グレタさんは昨年8月、学校を休んで気候変動への対応を大人たちに迫る「学校ストライキ」を始めた。スウェーデンの議会前でたった1人で始めた「スト」は若者を中心に大きなうねりを呼び、今年9月の世界一斉デモでは185カ国で760万人以上が参加したとされる。

【経済】大塚家具、43億円の出資受け入れ ヤマダ電機の傘下に(12/12.Thu)

 業績の振るわない大塚家具は12日、ヤマダ電機子会社になると発表した。経営権をめぐる創業家親子の対立が注目を集めてから4年半余り。販売が振るわず悪化した資金繰りを、家電量販店大手との資本提携で改善することを狙う。創業者の長女で現社長の大塚久美子氏は続投する。大塚家具は2月、ヤマダとの業務提携を発表。ヤマダへの商品の供給や、ホテルや旅館への家具の納入などで協業してきた。ヤマダは住宅関連の事業も手がけており、その傘下に入って相乗効果を高めることを狙う。

【国際】英総選挙、保守党が過半数を獲得 EU離脱決定的(12/12.Thu)

 英国が2020年1月末に欧州連合(EU)から離脱することが決定的となった。12日の下院 総選挙(定数650、小選挙区制)で、離脱を唱えるジョンソン首相の与党保守党が、過半数の365議席を獲得した。ただ、離脱後のEUとの通商協議は難航し、長引く可能性もある。離脱派が勝利した国民投票から3年半、曲折を経験した英国民はEUを去る手続きを進めることを選んだ。保守党はサッチャー政権下で圧勝した1987年以来、最大の得票を記録。ジョンソン氏は13日午後、官邸前で「離脱を成し遂げるという負託を受けた。1月末までに実行する。3年半の不毛な議論をここで整理し、癒やしを始めようとみんなに求めたい」と語った。

【国際】米中、制裁関税緩和で合意 通商会議、「第1段階」文書(12/14.Sat)

 米中両政府は日本時間14日未明、通商協議で「第1段階」の文書に合意したと発表した。双方が15日に発動を予定していた追加関税「第4弾」の残り分の発動は見送り、米国が発動済みの追加関税の一部の税率を引き下げる。昨年7月の追加関税「第1弾」発動で激化した貿易摩擦で、米中が文書をまとめたり、関税を引き下げたりすれば初めて。世界経済の不安要因となってきた米中対立が、緩和に向かう道筋が示されることになる。

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