2019年11月05日

入試と採用は違う!英語巡る大失態は「公平性」軽視のツケ【週間ニュースまとめ10月28日~11月4日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 大きなニュースが相次いだ週でした。中でも大学入学共通テストで使う英語民間試験の導入延期は、受験生だけでなく、大学、高校、教育産業の関係者、そして文部科学省や政治家たちにも大きな衝撃を与える決定でした。英語の話す能力を公平に判定するのは難しいということは誰でも分かることですが、経済界には早くから「民間の試験を使えばいい」という声がありました。民間試験を導入することになった背景にはこうした声が影響したと推測されます。企業の多くは採用の時にTOEICなどの点数を書かせて採否の判断材料のひとつに使います。ならば、大学入試でも民間試験を使って話す力をはかればいいではないか、という発想だったのではないでしょうか。でも、大学入試と企業の採用は決定的に違います。企業はビジネスに役立つ人をとるわけで、採用の成否は長い目で見れば企業の業績に反映されます。そういう意味では、どんな人を採ろうが企業の勝手であり、コネであろうが男性優先であろうが自由です。つまり公平性は問われません。しかし、大学は学問をするところです。そして憲法には教育の機会均等が書かれ、国公立大学にも私立大学にも税金が投入されています。基本的に受験時に身についている学力の公平な評価が判断基準になるのは当然です。最近は学力以外の要素を判断材料にする傾向もありますが、その場合でも受験の機会は公平に与えられ、判定も公平にされなければ、試験の信頼性が失われてしまい、大学の評価が落ちることになります。企業の採用と違って大学の入試には公平性が強く求められます。そういう認識が入試制度改革に携わった人たちには薄かったのではないでしょうか。それが今回の大失態の原因だと私は考えています。(朝日新聞社教育コーディネーター・一色清)

(写真は、英語の民間試験導入見送りを発表した萩生田光一文部科学相=2019年11月1日、東京・霞が関)

【経済】ホンダも「脱ケイレツ」 広がる部品メーカー再編の動き(10/30.Wed)

 ホンダ日立製作所と組んで、出遅れていた部品メーカーの再編に踏み切る。両社の傘下の自動車部品メーカー4社を経営統合させると30日、発表した。自動運転電動化など「CASE(ケース)」と呼ばれる次世代技術の開発で先行する欧米の大手部品メーカーに対抗するため、「ケイレツ」を超えた再編で規模を拡大し、競争力の強化を図る。自動車部品業界では、合併を繰り返して巨大化し、さまざまな商品群をセットでつくり込んでシステムとして売り込む欧米の「メガサプライヤー」の存在感が高まっている。巨額の開発費がかかる次世代技術の分野で成長するには、規模拡大が不可欠となっている。日本勢にも「系列頼み」では生き残れないという危機感が広がる。

【社会】首里城火災、火元は正殿か 付近で未明まで祭りの作業(10/31.Thu)

 31日午前2時40分ごろ、那覇市の首里城の警備を担当している会社から「正殿の火災報知設備が作動し、煙が見える」と119番通報があった。消防によると、首里城の中心的建造物である「正殿」が全焼するなど、6棟計4200平方メートルが燃えた。さらに城内の建物の一部にも延焼した。けが人の情報はなく、午前11時に鎮圧状態になった。市消防局によると、全焼したのは正殿、北殿、南殿・番所の3棟。書院・鎖之間(さすのま)、黄金御殿(くがにうどぅん)、二階御殿(にーけーうどぅん)の3棟も焼けた。正殿前の広場に入る奉神門(ほうしんもん)にも燃え広がっている。市消防局によると、消防車両53台、計171人が出動して消火作業に当たった。1人が熱中症のような症状を訴えて病院に搬送された。

【政治】河井克行法相が辞任 妻陣営の公職選挙法違反疑惑で(10/31.Thu)

 河井克行法相(56)は31日、7月の参院選で初当選した妻の案里氏(46)の陣営が公職選挙法で定められた上限を超える報酬を運動員に支払った疑惑をめぐり、安倍晋三首相に辞表を提出した。安倍内閣では25日に菅原一秀衆院議員が経済産業相を辞任したばかり。相次ぐ閣僚の辞任は安倍政権への打撃になるとともに、首相の任命責任が問われる。

【社会】英語新試験制度24年度導入目指す 文科省1年間検討へ(11/1.Fri)

 萩生田(はぎうだ)光一文部科学相は1日、2020年度から始まる大学入学共通テストで活用される英語の民間試験について、「来年度からの導入を見送る」と表明した。現制度は受験生の住む地域や、家庭の経済状況によって格差が生じるといった批判が出ており、「等しく安心して試験を受けられる配慮など、自信を持っておすすめできるシステムにはなっていない」と説明。今後1年をかけて新たな制度を検討し、2024年度からの実施をめざすとした。萩生田氏が10月24日、BSフジの番組で「自分の身の丈に合わせて頑張ってもらえば」などと発言。教育格差を容認しているなどと批判が集まり、謝罪、撤回に追い込まれた。こうした中、制度の問題点も改めて注目された。野党側は国会審議で繰り返し延期を要求。政府・与党内からも批判が出ていた。この日の会見で萩生田氏は延期の決定について、「私の発言が直接原因となったということではありません」と述べた。

【スポーツ】マラソン札幌開催が正式決定 小池知事「合意なき決定」(11/1.Fri)

 2020年東京五輪のマラソン・競歩の開催地について、国際オリンピック委員会(IOC)と国、都、大会組織委員会の4者のトップ会談が1日正午から始まった。小池百合子・都知事は「開催地の決定権限はIOCにある。都として札幌開催には同意できないが、IOCの決定は妨げない。あえて申し上げるなら合意なき決定」と述べた。札幌開催が正式に決まった。小池氏は協議の中で、札幌移転した場合、都には費用を負担させない▽これまでマラソン・競歩にかかった関連経費の一部の補償の可能性▽その他の競技は会場変更しないこと、を共有して一致したと説明。「まだ納得いかない部分はあるが、大会の成功のため、前に進みたい」と述べた。

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