ニュースのポイント
旅行業界とファッションブランドやファッション誌とのコラボが広がっています。ファッションも旅行も「好き」な人が多いと思います。「好き」だけでは仕事にはできませんが、好きをビジネス目線でとらえられれば、志望動機は魅力的になり、面接でも熱く語れますよ。(編集長・木之本敬介)
今日取り上げるのは、経済面(9面)の「旅せよ若者 オシャレして/旅行×ファッション 協業広がる/SNS投稿したくなるプラン企画」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)です。
(写真は、ピーチ・アビエーションがウェブサイトに掲載した広告写真。婦人服ブランド「Kastane」の新作を着た販売員を起用した=ピーチ提供)
意外なコラボ
旅行業界とファッション業界の「協業」が広がっているという話題です。ちょっと意外な組み合わせですね。今日の記事で紹介している組み合わせは――
◆旅行大手
JTB×セレクトショップ大手の
ビームス=熊本県の天草地方をビームスの服を着た若い女性3人組が旅する自撮り動画広告を特設サイト(写真=JTB提供)に。ビームス企画のツアーも販売予定(
JTBeamsの動画)
◆航空券やツアーを売る
ANAセールス×
宝島社の女性ファッション誌「sweet」=共同企画の沖縄ツアーを昨年11月から今年5月まで実施(
sweet×ANAコラボツアー)
◆格安航空会社(LCC)
ピーチ・アビエーション×婦人服ブランド「
Kastane(カスタネ)」=ピーチのサイト内にKastaneの新作を着た女性販売員が沖縄旅行をPRするコーナー新設(
PEACHLIVE×Kastane)
動画や画像を見ると、オシャレな旅のイメージが膨らみます。
SNS投稿したくなるオシャレ旅
観光庁によると、20~30代の2016年の観光旅行での延べ宿泊数は4736万人で、5年間で約1.2%減りました。旅行者全体では約5%増。中高年を中心に全体では増えているだけに、若者の落ち込みが目立ちます。若者に旅行の魅力を伝えるために目をつけたのがファッション業界と協業した「オシャレな旅」です。
ポイントはSNSでの投稿。いずれの広告も、旅先で撮って投稿したようなイメージを狙っています。「sweet♥ANAコラボツアー企画」では、「インスタグラムキャンペーン」と銘打ち、写真をシェアするとファッションショーや旅行券、宿泊券が当たるプレゼント企画も実施しました。
ファッション業界にとっては、服のPRになります。オシャレな旅行となれば、服を買いたくなりますよね。
「好き」だけじゃダメ?
旅行もファッションも人気の業界です。でも、「好き」なだけでは採用試験には通用しません。旅行会社は、旅行好きな人にはもっと旅行してほしいでしょう。アパレル系の会社やファッション誌をつくる出版社も、単なるオシャレ好きな人は大切なお客様として服や雑誌を買ってほしいと思っています。
業界は違いますが、学生に人気の文房具メーカー、コクヨの採用担当者は「人事のホンネ」でこう言っています。
「(文房具を)好きな学生が多いですね。それは嬉しいことです。ただ、自分が『好き』なだけではなく、『文房具が世に送り出されるところまで携わりたい』という思いが大事です。『自分が使うだけではなく、人に使ってもらう』という気持ちですね」「『文具が好きで、持っているだけでわくわくする』と話す人がいますが、それは自分の気持ちであって、他の人にもその気持ちを届けたいのかどうか。そして届けたい『他の人』はどういう人なのか。学生なのか、ご高齢の方なのか、小さいお子さんなのか、働いている方なのか。それぞれの方が文房具を使うのはどういうシーンなのか」
「好き+ビジネス目線」は最強!
「好き」は「消費者目線」です。これに対し、どうしたら好きなものをもっと多くの人に広げられるかを考えることを「ビジネス目線」と呼びます。業界選び、企業選びが「好き」からスタートするのは自然なことです。でも、いつまでも「好き」だけにとどまっていたら、面接は突破できません。その先を考えましょう。「好き+ビジネス目線」は最強ですよ。
※「就活割」で朝日新聞デジタルの会員になれば、すべての記事を読むことができ、過去1年分の記事の検索もできます。大学、短大、専門学校など就職を控えた学生限定の特別コースで、卒業まで月額2000円です(通常月額3800円)。お申し込みはこちらから。