ニュースのポイント
今日取り上げるのは、経済面(8面)の「ポケモン ゴー 政府が注意喚起」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版)です。
この記事にあるように、利用者への注意喚起はしましたが、配信する会社側には何も注意をしていません。成長戦略が足りないと言われている政府にとっては、バーチャルリアリティー技術や人工知能はこれから最も力を入れたい分野です。「ポケモン ゴー」は、スマホのカメラ機能と位置情報を組み合わせてできています。現実と仮想世界の境目をとりはらうことで斬新なゲームとなっています。こうした技術は、少し考えただけで集客や広告、エンターテインメントなどに使えそうです。
それにこのゲームは、ポケモンという日本発のキャラクターが主役で、任天堂などの日本企業が関わっています。政府や経済界は、少々の社会問題が発生しても、このゲームを後押しするスタンスは変えないでしょう。
ただ、死亡事故などの重大な事故が起きた場合、どうでしょう。大人気ゲームとはいえ、やらない人の方が国民の多数であることは間違いないと思います。やらない人にとってはとりあえずいいことはなく、迷惑だけがあるというのなら、政治的に難しい局面になるかもしれません。
自動車が発明されたときに、「将来、この自動車によって毎年世界で百数十万人が死にます」と言われると、自動車の製造は禁止されたかもしれません。実際、今、世界では交通事故によって、毎年百数十万人の人が亡くなっています。でも、今、それを知っても誰も自動車を禁止しようとは言いません。人の命と天秤にかけるのは不謹慎かもしれませんが、多くの人は「助かっている人の命を含めて、それ以上の便益をもたらしている」と思っているからでしょう。
「ポケモン ゴー」自体の便益は大したことないのでしょうが、このゲームがさらに発展してゲーム以上のものになって私たちに大きな便益をもたらす可能性があります。「迷惑だからこんなゲームは禁止してしまえ」というのは短絡的です。でも、大きな事故が起こると、そうした声に抗しきれなくなります。大きな事故が起こらないように、うるさいほど注意喚起をしたり、安全に遊んでいるかと社会全体で目を光らせたりすることが、日本の成長のためにも必要なのです。
※「就活割」で朝日新聞デジタルの会員になれば、すべての記事を読むことができ、過去1年分の記事の検索もできます。大学、短大、専門学校など就職を控えた学生限定の特別コースで、卒業まで月額2000円です(通常月額3800円)。お申し込みはこちらから。
2025/04/02 更新
※就活割に申し込むと、月額2000円(通常3800円)で朝日新聞デジタルが読めます。
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10