2017年03月21日

三菱商事社長が語る「総合商社の変化」と「経営人材育成」とは?

テーマ:経済

ニュースのポイント

 三菱商事の垣内威彦社長(写真)が朝日新聞のインタビューで、総合商社の仕事や人材について語りました。貿易、投資が事業の柱ですが、最近は単なる投資から、投資をした会社の経営に積極的に関わって成長させるビジネスが大きくなっています。そのための次世代リーダー「経営人材」になれる人が求められています。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、特集面(19面)の「一人ひとりが次世代のリーダー/学びのみらいを創る・企業編/信用の積み重ね 自分自身でつくる/三菱商事社長 垣内威彦さん」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)です。

ニュースのポイント

 もともと原料や加工品などの輸出入や仲介売買でもうける貿易事業が主流だった総合商社ですが、2000年代からは、モノを動かすだけでなく、海外で原油や金属などの資源・エネルギー開発や発電事業に投資して巨額の利益を得てきました。

 今日の垣内社長の発言からは、さらに一歩踏み込んだ事業展開がわかります。三菱商事の関係会社は約1200社。多くの社員が出向して経営に参画しています。その経営手腕が三菱商事全体の利益を左右する収益構造になってきて、「事業投資」から「事業経営」に機能をシフトしてきたというのです。

 その一つ、コンビニの経営については「商社とコンビニの熱い関係 三菱商事・ローソン、伊藤忠・ファミマ…」(2月9日の「今日の朝刊」)で書きました。読んでみてください。

「経営人材」に求められるのは?

 事業経営を伸ばすため、垣内社長は「経営人材」の育成を重視していると言います。インタビューから、「経営人材」に必要な資質のキーワードを整理します。

 経営課題を見据えて成長戦略を描くための「事業構想力」を持つためには、日々の業務で三つの資質を身につけてほしいと言います。
◆For the Teamの精神=組織が成功するにはチームプレーが必要。チームと喜びも悲しみもともにすることでリーダーになったとき全員を動かせる。
◆高い倫理観=自分を律して全力を尽くすこと。
◆強い心=マネジメントには必ず厳しい環境があり、決断もしなければならない。失敗や困難を次の成長の糧として、前向きに捉える心の強い人になってほしい。

信用の積み重ね

 さらに、垣内社長は「心根がやさしいこと」も付け加え、一人ひとりの社員が10年、20年かけて積み重ねた日々の取引の「信用」が集合体となり、三菱商事の信用が決まるとも言っています。

 みなさんが入社後、すぐに経営者になるわけではありませんが、三菱商事はこんな資質を持った人材を求めていて、総合職の社員は新人のときからこれらを意識して仕事をするわけですね。特別変わったことが求められているわけではありませんが、どんな仕事にもとても大切な資質だと思います。三菱商事や総合商社を目指す人でなくても、心がけてみてください。

変われる会社の強さ

 総合商社は、私が就活をした30年以上前から就職人気ランキングで常に上位を占めてきました。時代の変化が速く、業界の浮き沈みが激しい中では大変なことです。「貿易→投資→関連会社経営」と、柱となる事業形態を経済環境の変動に合わせて柔軟に変えてきたからこそ、とも言えそうです。三菱商事は坂本龍馬の海援隊の流れをくむ歴史がありますから、必ずしも会社が古いか新しいかではありません。時代や経済の状況に合わせて「変われる会社」かどうかを見極めることが大切です。
(表は7大総合商社の2016年9月中間決算。資源安で前年同期比では減益となったが、2017年3月期決算は上向く予想)

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