2017年02月24日

通販増えすぎ ヤマトが荷物抑制…人手不足の功罪は?

テーマ:経済

ニュースのポイント

 宅配便最大手のヤマト運輸の労働組合が今春闘で、荷物の取扱量の抑制を要求しました。経営側も協議に応じる構えです。収入減に通じる経営課題を労使が話し合うのは、とても珍しいことですが、配送のためのドライバー不足と、それに伴う過酷な労働が限界を超えつつあるからです。
 背景には、ネット通販の急速な伸びと労働人口の減少があります。人手不足のために仕事をこなせないことを、「ボトルネック」といいます。運送業界以外にも、建設、介護、保育などいろいろな業界でボトルネックが起こっています。そのことが、ロボットの開発や外国人労働者の受け入れ拡大などを進める議論にも影響を与えています。人手不足は就活には追い風ですが、そのうち仕事がロボットや外国人に取ってかわられるという逆風につながっていることも知っておきましょう。(朝日新聞教育コーディネーター・一色 清)

 今日取り上げるのは、総合面(2面)の「通販重荷 ヤマト疲弊/荷物量抑制 労使協議へ/ドライバー奔走『4割アマゾン』/長時間労働、人手不足に拍車/ネット通販も競争で消耗戦」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版)です。
(写真は、トラックがひっきりなしに出入りするヤマト運輸の物流拠点)

百貨店を超える売上高

 運送業界、中でも宅配業界はものすごく忙しくなっています。ネット通販の普及で荷物量がうなぎ登り。国内のネット通販の売上高は、百貨店の売上高を超え、スーパーに近づいています。
 一方で、トラック運転手の人手不足は深刻です。有効求人倍率は2倍を大きく超えています。仕事は増えているのに人の採用が追いつかず、ドライバーたちはますます忙しくなって疲弊し、労働環境が悪いとよけい人が集まらなくなる、という悪循環です。

朝6時から夜9時まで

 ヤマト運輸は固有の事情もあります。アマゾンの荷物はかつて主に佐川急便が引き受けていましたが、利幅が薄いので断り、それがヤマトに流れてきています。アマゾンは、無料の当日配達を始めたので、ヤマトは荷物が増えたうえ、仕事が忙しくなりました。ヤマトの都内担当ドライバーによると「始業時間は午前8時だが、配達開始時間が遅いと持ち帰り荷物が増えるため、朝6時には出社して仕分け作業をし、そのあと午後9時まで配達をしている」とのことです。

給料安く、将来が不安

 こんなに大変な仕事なのに、給料はそれほどよくありません。月給は32万3600円で全産業平均より1万円ほど低く、年間賞与額は36万9400円と、全産業平均の半分にもなりません。加えて、無人運転車の登場で、いずれはなくなる仕事と思われがちです。これでは人材が集まらない悪循環です。

無人運転車の登場待ち

 打開の妙策は今のところありません。宅配便ボックスの設置やコンビニでの受け取りも少しずつしか増えません。外国人ドライバーも、免許の問題や日本語の問題があって難しいようです。あとは、無人運転車の実用を待つしかないというところですが、早くても7~8年後になりそうです。モノが瞬間移動するテレポートが実現すると、一挙解決となりますが、そちらは技術の芽も見えていません。

じわじわ増える人手不足倒産

 就職しようとしている者にとって、人手不足はいい環境ですが、それも程度問題です。実は、人手不足による倒産がじわじわ増えています。仕事はあるのに人がいないために仕事を手放さざるを得なくて、倒産してしまうという悲劇があるのです。仕事量に比べてあまりに人が少なく、働き過ぎているように思える会社は、どうしてそうなっているのかを調べてみる必要があると思います。

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