2016年10月06日

家電からIoTへ…展示会で業界最新事情を知ろう

テーマ:経済

ニュースのポイント

 「シーテックジャパン」という展示会が7日まで千葉市の幕張メッセで開かれています。国内最大の家電見本市として知られてきた展示会ですが、今年はIoT(モノのインターネット)の総合展に衣替えしました。日本の電機業界の立ち位置の変化を象徴する出来事です。実際に展示会に足を運ぶと、最新の技術、製品を知ることができますよ。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、経済面(11面)の「IoT化見据えてセンサー技術競う/シーテックジャパン」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版)です。
(写真は、シーテックジャパンの特別企画展示「IoTタウン」)

シーテックに学ぶ電機業界の変化

 シーテックジャパン(CEATEC=Combined Exhibition of Advanced Technologies)は、アジア最大級のIT・エレクトロニクス分野の国際展示会で、毎年10月に開かれます。1月に米国のラスベガスで開かれるCES(Consumer Electronics Show=セス)、9月にドイツのベルリンで行われるIFAと同様に、国内外の企業・団体が最先端の技術や製品を発表します。

 2000年に始まりましたが、シーテックに存在感があったのは、日本の家電メーカーが薄型テレビ開発で競っていた2010年前後まで。その後は家電のコモディティー(汎用品)化が進み、主役は価格競争力のある中韓のメーカーに移りました。出展社数もソニーや東芝が抜けるなど減ってきました。

IoTって?

 そこで今回、ついに「家電見本市」の旗を降ろし「IoTの総合展」を前面に掲げました。主催者は「コンセプトを180度変えた。単品の商品が世の中を変えた時代は終わった」と話しています。

 IoT(アイ・オー・ティー=Internet of Things)は、コンピューターやスマホだけでなく、家電や産業機器などあらゆるモノをインターネットにつなぐことです。遠隔操作や自動制御のほか、モノから大量の情報を集めて効率的な使い方や新しいサービスの開発に役立つと期待されています。

センサー数、今の100倍に!

 記事によると、IoTが広がると、様々なモノにセンサーがついてインターネットにつながります。このため膨大なセンサーが必要になります。米国では、2023年までに世界で1兆個以上のセンサーネットワークをつくる構想が提案されています。世界の一人ひとりに約150個が割り当てられる計算で、今のセンサー需要の100倍ですから、電子部品メーカーにとっては追い風です。

 今日の記事から、部品メーカーの出展内容をピックアップします。
ローム 4枚の翼で飛ぶ「ORIZURU」。複数のセンサーで加速度と傾きを感知し、情報をマイコンに送って姿勢を自動制御。軽量小型のセンサー技術をアピール(写真)
村田製作所 2.5センチ角の小型センサーを腕や脚など8カ所につけ、ゴルフのスイングをスマホで確かめられる「ワイヤレスモーションキャプチャシステム」。加速度や傾きを測るセンサー、薄型リチウムイオン電池や無線通信機器を内蔵
オムロン 運転手の居眠り防止を想定し、肌に触れずに脈拍を測れる「非接触脈拍センサー」
TDK 自動車のハンドルをどの程度きっているかを高い精度で検知できるセンサー。自動運転に欠かせない部品に

三菱UFJ銀とトヨタがロボット出展

 この数日の記事から、IoT関連の展示内容を紹介します。
パナソニック いすに座るだけで電気やスピーカーがつく「無線スイッチ」などの技術を展示
シャープ 気温が高いと「エアコンをつけますか?」と聞くなど、家中の家電の音声操作を可能にする手のひらサイズの「ホームアシスタント」を紹介

 最新のロボットも展示されています。
三菱UFJフィナンシャルグループ 人工知能(AI)を搭載するロボット行員「NAO」。日常会話や銀行サービスの簡単な応対ができる。英語や中国語にも対応し、成田空港支店で活躍中
トヨタ自動車 会話のできる手のひら大のロボット「キロボミニ」(写真)。自宅やトヨタ車のカップホルダーに置くことを想定。2017年に全国のトヨタ車の店で発売する

 展示会は格好の企業研究の場です。時間のある人はぜひ行ってみてください。シーテックは7日午後5時まで。公式サイトからパソコンやスマホで事前登録すれば、入場料(一般1000円、学生500円)が無料になります。

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