2015年06月25日

株高なぜ?これからどうなる? 株価のイロハを知ろう

テーマ:経済

ニュースのポイント

 株価が急上昇を続け、18年半ぶりの高値を記録しました。株価は「経済の鏡」とか「経済の先行きを映す鏡」と言われますが、企業の業績はもちろん、日本の経済情勢、国際情勢など、様々な要素を反映します。今どうしてこんなに上がっているのか、これからさらに上がるのか。今日は株価について勉強します。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、1面の「東証終値2万868円/ITバブル超え」です。総合面(2面)には関連記事「時時刻刻・株高 投資マネー膨張」が載っています。
 記事の内容は――24日の東京株式市場で、日経平均株価の終値が、2000年4月のITバブル期につけた2万0833円を上回り、1996年12月以来、約18年ぶりの高値水準になった。ギリシャの債務不安が和らいだとみて買い注文がふくらんだ。東証1部の時価総額も1989年末のバブル期を上回る603兆4688億円で、過去最高を更新した。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

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 株価についておさらいします。「株式会社」は株式を発行してお金を集め、ビジネスをしています。株式は売り買いができ、業績や資産状況などから売り手と買い手が合意した価格に決まります。一定の基準を満たして株式市場に上場すると誰でも株を売買できるため、多くの資金を集めることができます。日本を代表する株式市場は東京証券取引所(東証)です。東証第1部に上場する約1900社のうち主要な225社で算出するのが日経平均株価で、日本の経済状況を示す指標となっています。

 一般的に、売り上げ増などで企業の業績が良くなったり、将来性があるとみられたりすれば、その企業の株を買いたい人が多くなりますから株価が上がり、逆ならば下がります。またこちらも一般的に、多くの企業の株価が上がるということは、日本の経済が活発化して景気が上向いていることを示します。グラフを見てください。今回の株高は、安倍政権が2012年から打ち出した経済政策「アベノミクス」相場に端を発し、2年半で2倍に上がったことがわかります。

 ただ、株価はさまざまな要因に左右されます。今日の記事から、株高の要因をまとめます。
①金融危機に陥ったギリシャが財政改革案を提示、ギリシャ債務不安が和らいだ
②米議会で環太平洋経済連携協定(TPP)合意のカギを握る貿易促進権限(TPA)法案成立の可能性が高まった
③1ドル123円台の円安基調が続き、輸出関連企業を中心に国内企業の業績が好調
④政府や日銀の政策→年金積立金管理運用独立法人(GPIF)が投資先多様化を理由に株を買い進めている/日銀が上場投資信託(ETF)を約1兆5200億円購入/6月から始まった上場企業の新たな行 動指針「コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)」で多くの企業が株主重視を打ち出した
⑤欧州中央銀行(ECB)、米連邦準備制度理事会(FRB)など先進国中央銀行の金融緩和政策
⑥世界的な株価上昇→世界取引所連盟(WFE)によると、世界58の取引所に上場する銘柄の時価総額が5月末、76兆3571億ドルで過去最高を記録

 日本の株価が今後どうなるかについては、見方が分かれます。証券関係者の多くは「過熱感はない」とみますが、野口悠紀雄・早大ファイナンス総研顧問は「過度の円安が実質賃金を引き下げ、企業利益を押し上げている」として、「いまの株価はバブル」と指摘しています。

 株価は、証券など金融業界をめざす人だけでなく、すべての企業をめざす人にとって大切な数字です。中には、面接で「今のうちの会社株価知ってる?」などと聞く会社もあります。志望企業の株価は、新聞の株式欄などで毎日チェックしておきましょう。

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