2014年09月02日

巨大市場インドを狙え!

テーマ:国際

ニュースのポイント

 来日しているインドのモディ首相と安倍首相が会談し、経済・防衛両面での協力強化を盛り込んだ日印共同声明を発表しました。日本からインドに5年間で計3.5兆円の投資や融資を実施、インドへの直接投資と進出企業数を倍増させることが盛り込まれました。いずれ人口世界一になる巨大市場だけに、日本の経済界も大きな期待を寄せています。

 今日取り上げるのは、総合面(3面)の「対中国 微妙な温度差/日印会談 2プラス2見送り/モディ改革 日本企業期待」の記事の後段部分です。1面には「インド投融資 5年3.5兆円」が載っています。
 記事の内容は――日印首脳会談に先立ち、経団連や日本商工会議所など日本の経済界がモディ首相を招いて昼食会を開いた。モディ氏はインフラ整備などへの協力に期待を表明した。12億の人口を抱え、鉄道や工業団地などインフラ整備の計画も多いインド。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、進出する日本企業は昨年10月で約1070と5年前のほぼ2倍。スズキが最大手の自動車をはじめ、電機・機械や金融など幅広い。ただインドは進出企業にとって難しい市場でもある。社会インフラの不十分さに加え、許認可など行政手続きにも時間がかかることが悩みの種。日本からの直接投資もここ数年、2000億円前後で伸び悩んでいる。モディ氏は電力供給の安定化や行政の透明化、税制の簡素化などを進め、外資誘致を進める方針だが、簡単には進みそうにない。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 最近この欄では、人口世界一の中国や1億人を超えたフィリピンなど、「人口大国」でのビジネスチャンスの話をよく取り上げています。今インドの人口は2位ですが、十数年後には中国を抜いて世界一になるのは確実。2050年には16億を突破するといわれます。しかも若い層が多いため、とても魅力的な市場です。インドでのビジネスの成否は、多くの日本企業の盛衰を左右することになるでしょう。

 精密小型モーター最大手の日本電産は31日にモディ首相と会談し、インドに5カ所のモーター工場を建てる計画を伝えました。ほかにも、ユニクロを展開しているファーストリテイリングがインド出店を表明したり、トヨタ自動車グループの豊田通商がインドで病院経営を始めたりと、日本企業進出のニュースが目立ちます。すでに進出済みの会社の工場増設計画も相次いでいて、スズキはインドで3カ所目の自動車工場建設を予定、インドで二輪車2位のホンダは4カ所目、紙おむつ2位のユニ・チャームも2カ所目の工場を計画しています。

 一方で、記事にもあるようにインドには、土地取得の難しさ、インフラの不備、手続きの遅さなど、企業が進出しにくい障壁が多く、世界銀行が出しているビジネス環境ランキングでは、189カ国・地域の中で134位です。大手財閥タタと組んで一時売り上げシェア4位になったこともあるNTTドコモは、今年4月にインド市場からの撤退を発表しました。首都圏での周波数がいつまでたっても与えられないなど手続きの遅れに振り回されたそうです。

 そんな中で登場したのが、今年5月に就任したモディ新首相です。グジャラート州の首相としてインフラ整備や外資の誘致を進めた実績があり、国の改革も進むのではないかと期待が高まっているのです。改革が進めば、なにしろ12億人の巨大市場ですから、インフラから身近な消費財まで、あらゆる業界、企業にチャンスが出てきそうです。志望する業界や企業とインドとの関わりを調べたり、今後の可能性を考えたりして、企業研究を深めてください。

※朝日新聞デジタルの無料会員は1日3本の記事全文を、有料会員になればすべての記事を読むことができ、過去1年分の記事の検索もできます。ぜひ登録してください。

アーカイブ

テーマ別

月別