ニュースのポイント
明けましておめでとうございます。さあ、いよいよ就活シーズン本番です。正月気分を切り替えて、就活に向き合いましょう。今年最初の話題は教育です。大手の塾がベトナム、タイ、インドネシア、インドなどアジア諸国に続々と進出しています。少子化が進む日本国内でも、塾と学校との連携という形で教育産業の役割は増しています。教育は国の将来を左右する大きな課題であり、すべての人に関わりがあるテーマです。教育業界を目指す人以外もぜひ注目してください。
今日取り上げるのは、新年連載企画「教育2014世界は 日本は⑤膨らむ塾/つかめ アジアの教育熱」(1面)と「頼り合う 塾と学校/進路指導や補習 役割分担」(2面)です。
記事の内容は――学研は昨年12月、ベトナムで「科学実験教室」のデモ授業を行った。同社は2009年に海外進出を始め、すでにインドとタイの計650小学校に授業方法と教材を提供、14年度にベトナムでも始める予定だ。業界最大手の一つ栄光ゼミナールはベトナム、立志館ゼミナールはインドネシアに昨年、教室を開いた。海外47カ国・地域に8400教室を置く公文教育研究会の幹部は「東南アジアでは『メード・イン・ジャパン』の教育として信頼されている。親もお金をかけてでもいい大学へ、という考えが強い」と話す。日本の塾は数千社が8万教室を構えると言われる。上場企業17社から個人経営まで大小さまざまある業界全体の売り上げは、リーマン・ショック後も1兆3000億円前後を保ってきた。少子化が進む中、補習を受け持つなど学校との連携で存在感を増している。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
2面のグラフ「学習塾の市場規模と子どもの数」を見てください。小中高校生の数は過去7年で60万人減っているのに、学習塾の売り上げは横ばいで維持していることがわかります。その背景にあるのが、1面で取り上げた海外進出と、2面で展開している国内での学校教育との連携です。中国や東南アジアは今めざましい経済成長とともに、教育熱も高まっています。日本の学習塾のノウハウは、こうした地域で普及する可能性があるため、大手塾が続々と進出しているのです。国内でも、少子化で生き残りを探る塾と、学力向上や進学実績という結果がほしい学校の思惑が一致して、学校教育への進出が進んでいます。
教育業界は、最大手のベネッセコーポレーションをはじめ、代々木ゼミナール、河合塾、駿台予備学校の「3大予備校」を軸にこの数年、合従連衡(がっしょうれんこう)が進んできました。代ゼミがサピックスを買収し、河合塾は東海地方で日能研と提携、駿台は関西を拠点とする浜学園とともに首都圏に展開予定。業界地図の変化も見逃せません。
「人事のホンネ」第3回では、ベネッセの澤和宏さんが、学生のありがちな志望理由として「教育格差を解消したい」「海外に日本の教育を届けたい」「塾講師のアルバイトで教育に携わり、教えることや人の成長に関わることにやりがいを感じたので」を挙げています。澤さんは「みんな似ています。だからこそ、そこにあなたらしさは見えていますか、と問いたい」と言っていました。今日のような記事を参考に、具体的には何をしたいのか、オリジナリティーのある提案を考えてみてはどうでしょうか。
朝日新聞の今年の年間企画は「教育2014」です。日本の学校教育、海外の事例などを、様々な角度から、幅広く、深く取り上げます。地域面でも各県ごとの教育の話題を取り上げています。塾や予備校などの教育関連産業は、多くの人がどこかで関わったことがある身近な産業です。それだけに、こうした業界や各企業の最新事情を理解しておくことはとても大事です。教育現場へのICT(情報通信技術)導入も進んでいるためIT産業など他の業界にも関わりますし、教育は身近な話題だけに面接などで話題になるかもしれませんよ。
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