
この週には、アメリカと日本それぞれの
中央銀行で動きがありました。まず、アメリカの中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(
FRB)は、
政策金利を0.25%幅引き下げることを決めました。金利引き下げは景気を刺激する効果があります。アメリカでは雇用情勢が悪化していることを示す統計が出て、景気を刺激する必要に迫られたのです。一方、
日本銀行は物価高を抑えるために政策金利を引き上げて景気を引き締める局面にありますが、トランプ
関税の影響を見極める必要があることを理由に、引き上げを見送りました。
アメリカは日本に比べて金利が高いため、お金が日本からアメリカに流れ、円安になっています。ただ、今はアメリカが金利を引き下げ、日本が金利を引き上げる流れになっており、日米の金利差が縮まって徐々に円高に向かうとみられています。円高が進むと輸出企業にはマイナスですが、輸入物価が下がるので物価高は緩和するとみられます。中央銀行はこうした金利の上げ下げによって経済のかじ取りをしています。「たかが金利」と思うかもしれませんが、「されど金利」なのです。中央銀行の動きを伝えるニュースにも関心を持つようにしてください。
(写真・記者会見する日銀の植田和男総裁=2025年9月19日/朝日新聞社)
★【国際】イスラエルが最大都市ガザ市で地上侵攻 攻撃激化で被害拡大は不可避(9/16.Tue)
パレスチナ自治区ガザでの戦闘をめぐり、イスラエル軍は16日、北部ガザ市で15日から地上侵攻を開始したと発表した。イスラム組織ハマスに対する攻撃の新たな段階としている。人口が密集する最大都市への攻撃激化で、住民の被害拡大は避けられない状況だ。軍の発表によると、過去1週間で空爆により850以上の標的および数百人の戦闘員を攻撃した。15日からは、地上部隊がガザ市の新たな地域に向けて進軍を開始した。
★【社会】基準地価、4年連続で上昇 地方の住宅地は30年ぶりに下落とまる(9/16.Tue)
国土交通省は16日、土地取引の目安となる基準地価を発表した。全国の住宅地、商業地などの全用途平均は前年より1.5%上がり、4年連続で上昇した。都市圏や観光地の地価上昇が地方にも波及し、札幌、仙台、広島、福岡の4市を除く地方圏の住宅地は、1995年以来30年ぶりに下落から横ばいに転じた。全国2万1441地点の地価(7月1日時点)を都道府県が調査し、国交省がまとめた。全国平均の上昇率は、住宅地が1.0%(前年0.9%)、商業地が2.8%(同2.4%)で、上昇幅も拡大している。
★【社会】大規模下水管300キロ、道路陥没起こすリスク 国の老朽管特別調査(9/17.Wed)
埼玉県八潮市で1月に起きた道路陥没事故を受け、国土交通省が全国の古くて大きい下水管を調べたところ、計300キロメートルで陥没につながるリスクがあることがわかった。調査結果が出たうちの約半分にあたる。腐食やたるみ、破損などの不具合が見つかったという。国交省が17日、事故の再発防止策などを検討する有識者委員会で報告した。国交省は3月から、直径2メートル以上で敷設から30年以上が経過した約5千キロの下水管について「特別重点調査」を実施している。目視やテレビカメラを使い「腐食」「たるみ」「破損」の3項目について、劣化が進んだ方から順にA~Cの3ランクでそれぞれを評価。一つでもAがある場合は原則1年以内に速やかな対策が必要な「緊急度1」、一つでもBがある場合は応急措置をした上で5年以内に対策が必要な「緊急度2」と判定する。
★【経済】FRBが0.25%利下げ、年内も2回予想 新理事0.5%下げ主張
(9/17.Wed)
米国の中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(FRB)は17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を0.25%幅引き下げると決めた。利下げは昨年12月以来で、6会合ぶり。FOMCはまた、同日公表した経済見通しで、年内に更に2回の利下げ(参加者の中央値)を見込んだ。今回の利下げにより、新しい政策金利は年4.00~4.25%となる。直近のピーク時からは1.25%幅低い水準。FRBのパウエル議長らの賛成多数で決めた。パウエル氏はこれまで、トランプ氏の関税政策が物価高(インフレ)をあおることを警戒し、利下げには慎重だった。だが、米国の雇用情勢は減速が鮮明になっており、利下げを通じた景気の下支えを優先させることにした。
★【経済】日銀がETF売却を決定、年間3300億円ずつ 「市場の攪乱回避」(9/19.Fri)
日本銀行は19日の金融政策決定会合で、政策金利を維持すると決め、追加利上げを見送った。利上げを進める姿勢は維持し、米国の関税強化策が日本の経済・物価をどの程度、押し下げるかを見極めるとみられる。また、保有するETF(上場投資信託)について年間3300億円程度(簿価)ずつ売却し、 Jリート(上場不動産投資信託)も年間50億円程度ずつ売却すると決めた。年間3300億円程度(簿価)のペースでETFを売却すると、単純計算で売却完了には112年ほどかかる。
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