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公害の中でも被害の程度が極めて深刻で、今も最終解決に至っていないのが水俣病です。1950年代、熊本県南部の水俣市を中心に、歩くことが困難になるなどのさまざまな神経症状を表す人が多発し、亡くなる人も多くいました。1956年に水俣保健所に病院から奇病発生の報告があり、水俣病はそこで初めて公式に確認されました。原因は、市内にあったチッソという化学肥料メーカーの工場が海や川に流していた廃液に含まれるメチル水銀でした。メチル水銀が魚や貝にたまり、その魚や貝を食べていた人が中毒性の神経疾患になったのです。患者や家族は当然、チッソや国に損害賠償を求めてきました。しかし、国が患者と認定するハードルは高く、症状があっても救済を受けられていない人たちがいまでも多数います。
この週には、そうした人たちが原告になった裁判の判決が大阪地裁であり、原告全員への賠償を国に命じました。水俣病の公式確認から67年たっての判決です。公害を発生させたチッソは賠償する責任を果たすために熊本県や国に支えられて経営を維持している状態が続いています。わたしたちが暮らす社会の環境や人々の健康を傷つけた企業の責任の重さを感じます。 (ジャーナリスト・一色清)
(写真・「勝訴」と書かれた紙を掲げる原告弁護団=2023年9月27日、大阪市北区)
★【政治】岸田首相「税収増を国民に適切に還元する」 財政出動に意欲示す(9/25.Mon)
岸田文雄首相は9月25日、10月中に経済対策を取りまとめる考えを自公両党の政調会長に伝え、政府に提言するよう指示した。首相は「成長の成果である税収増を国民に適切に還元する」と述べて財政出動や減税への意欲を示し、いわゆる「年収の壁」への対策も10月から行うと表明した。首相官邸で記者団に語った。経済対策の柱として首相は、物価高から国民生活を守る▽持続的賃上げ、所得向上と地方の成長▽成長力につながる国内投資促進▽人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革▽国土強靱(きょうじん)化など国民の安全・安心――の五つを掲げた。9月26日の閣議で閣僚にとりまとめを指示するとした。
★【国際】米当局、アマゾンを独禁法違反で提訴 他サイトで安く売ったら「罰」(9/26.Tue)
米連邦取引委員会(FTC)とニューヨークなど17州は9月26日、米アマゾンが通販サイトで競争を阻害したとして、反トラスト法(独占禁止法)違反で提訴した。米当局は2020年に米グーグルと米メタ(旧フェイスブック)も独禁法違反で提訴しており、国家を超える影響力を持つ巨大IT企業の取り締まりを本格化させている。訴状によると、FTCはアマゾンが自社の通販サイトで販売する業者が別のサイトでより安い価格で販売しているのを見つけた場合、アマゾン上の検索結果の順位を引き下げて実質的に見えなくする「罰」を与えていると指摘。その結果、インターネット上で幅広く売られる製品の価格を不当に高く維持したと主張した。
★【社会】救済法対象外の原告らを「水俣病」と認定 国やチッソに賠償命じる (9/27.Wed)
メチル水銀を含む水が流された不知火海(しらぬいかい)沿岸で暮らしていたのに、水俣病被害者救済法(特措法)に基づく救済を受けられなかったとして、大阪府などに住む128人が国や熊本県、原因企業チッソに損害賠償を求めた訴訟の判決が9月27日、大阪地裁であった。達野ゆき裁判長は、沿岸で暮らした原告ら全員を水俣病と認め、1人あたり275万円の賠償を命じた。同種訴訟は、熊本や新潟、東京地裁でも起こされ、初の地裁判決。原告らを幅広く水俣病と認め、特措法の運用見直しを迫る形となった。
★【社会】核のごみ「文献調査」受け入れず 対馬市長、漁業への風評被害考慮か (9/27.Wed)
原発の使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)最終処分場をめぐり、長崎県対馬市の比田勝尚喜市長は9月27日、国の選定プロセスの第1段階となる「文献調査」を受け入れないことを表明した。市議会は今月、調査の推進を求める請願を採択し、島を二分する議論が起きていた。理由として「受け入れの是非について、市民の分断が起こっていることは、まだ市民の合意形成が十分ではないと判断した」と語った。次に、調査受け入れによって、市の主要産業である水産業や観光業への風評被害が「少なからず発生すると考えられる」と指摘。「韓国人観光客の減少など大きな影響を受ける恐れがあると判断した」と述べた。
★【経済】インボイスがスタート 403万事業者が発行事業者に登録申請(10/1.Sun)
消費税のインボイス(適格請求書)制度が10月1日に始まる。財務省によると9月15日までに全国で403万事業者がインボイス発行事業者に登録申請したという。消費税は売り上げにかかる税額から、仕入れにかかる税額を差し引いて納税する仕組み。インボイスは税率(8%か10%)ごとの税額や登録番号を記した請求書のことで、複数税率となったことを理由に導入された。今後はこうした控除をするのに必要となる。ただ、インボイスを発行できるのは消費税を納めている「課税事業者」のみ。年間売り上げ1千万円以下の「免税事業者」から仕入れた場合は、控除できなくなり、その分税負担が増える。
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