2023年08月07日

洋上風力発電めぐり贈収賄疑惑 今後の捜査に注目を【週間ニュースまとめ7月31日~8月6日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 また「政治とカネ」の問題が大きなニュースになっています。東京地検特捜部は、秋本真利衆院議員が風力発電会社側から約3千万円を受け取っていたとみて、収賄の疑いで秋本氏の事務所などを家宅捜索しました。地検は、風力発電会社の狙いは洋上風力発電事業への参画だったとみていますが、風力発電会社側は資金の提供は競走馬購入などのためのもので賄賂ではないと主張しています。

 洋上風力発電は海に巨大な風車を立てて発電するもので、最近になって政府が力を入れている事業です。風車を立てる海域は政府が決め、事業者も国が公募のうえ入札をして決めます。2021年には1回目の大規模な入札が行われ、三菱商事を中心とするグループが破格の安い売電価格を提示し、3か所すべてを受注しました。2022年から2023年にかけて2回目の大規模入札がおこなわれ、現在は国が審査中です。秋本議員に資金を提供した会社は大規模入札に参加していますが、落札できていません。この会社の本命はまだ入札が行われていない青森県の陸奥湾での受注とみられ、秋本議員は国会質問などを通じて陸奥湾を対象地域にする後押しをしていた疑いがあります。

 洋上風力発電は大事業なので、受注企業には大きな利益がもたらされることが想定され、国内の電力会社や商社などだけでなくヨーロッパの企業も参入に動いています。国の事業をめぐって激しい競争が起きるという状況は、贈収賄事件が起きる舞台装置が整っているといえます。洋上風力発電はクリーンエネルギーを増やさないといけない日本にとって絶対に必要なものなので、事業者の決め方もクリーンでないといけません。今後の捜査の行方に注目しましょう。

「週間ニュースまとめ」は来週の更新はお休みし、次回は8月21日に更新する予定です。(ジャーナリスト・一色清)

(写真・秋田県の能代港沖に並ぶ洋上風力発電の風車=2022年12月9日、秋田県能代市、朝日新聞社機から)

【経済】米国債を最高位から1段階格下げ フィッチ、債務上限問題を受け(8/1.Tue)

 大手格付け会社フィッチ・レーティングスは8月1日、米国債の格付けを最上位の「AAA(トリプルA)」から1段階引き下げ、「AA+(ダブルAプラス)」に格下げしたと発表した。米国債の格下げは2011年に続いて2例目で、世界で最も安全な資産とされる米国債への信頼を揺るがす動きだ。イエレン米財務長官は同日、声明を発表し、今回のフィッチの判断に「強く反対する」とした。フィッチの格下げ判断の引き金になったのが、米政府の債務(借金)上限の引き上げ問題だ。米政府・民主党と共和党が引き上げ交渉を重ねたが難航し、今年5月には史上初の債務不履行が一時現実味を帯びた。

【社会】原発使用済み核燃料の「中間貯蔵施設」建設を提案 中国電・関西電 (8/2.Wed)

 中国電力は8月2日、山口県上関(かみのせき)町に原子力発電所から出る使用済み核燃料を一時保管する「中間貯蔵施設」の建設を検討すると発表した。関西電力と共同開発する。建設の可否を判断する調査の実施を同日、町に申し入れた。西哲夫町長は受け入れに前向きで、今後、町議会に諮り、対応を決める。計画が実現すれば、東京電力日本原子力発電の出資で青森県むつ市にできた施設に続いて二つ目となる。中間貯蔵施設の確保が急務だった関電には、課題解決への糸口となりうる。中国電も島根原発2号機の再稼働をめざしている。全国の原発では使用済み核燃料がたまり続けており、3月末時点で貯蔵容量の7割超が埋まっている。国は電力大手が中間貯蔵施設を共同利用するよう促していた。

【労働】大手企業の賃上げ、3.99% 経団連集計、1992年以来の高水準 (8/4.Fri)

 経団連が8月4日に発表した大企業の春闘の回答・妥結状況(最終集計)は、定期昇給と賃金を底上げするベースアップをあわせた賃上げ率が3.99%だった。1992年以来の高水準だ。デフレマインドの脱却と経済の好循環を目ざして経団連が呼びかけた「物価に負けない賃上げ」は、翌年以降への継続と中小企業への波及が今後の焦点となる。平均賃上げ額は1万3362円で前年から5800円増えた。3.99%の賃上げ率は、前年の2.27%より1.72ポイント高い。上昇幅、上昇率とも現行の集計方法となった1976年以降で、最も高いという。上昇率は、バブル経済の崩壊で経済の落ち込みが本格していく過程にあった1993年の春闘の3.86%を上回り、92年の4.92%以来の水準だ。

【社会】秋本政務官の事務所を捜索 風力発電会社から収賄容疑 東京地検(8/4.Fri)

 自民党衆院議員の秋本真利・外務政務官=比例南関東、当選4回=側が風力発電会社「日本風力開発」側から計3千万円近い資金提供を受けたとされる問題で、東京地検特捜部は8月4日午前、東京・永田町の衆院第1議員会館にある秋本氏事務所などに収賄容疑で家宅捜索に入った。特捜部は、提供資金には青森県での洋上風力発電事業などで秋本氏に便宜を図ってもらう趣旨が含まれていたとみて、強制捜査に踏み切った。洋上風力発電をめぐっては、2019年4月に施行された「再エネ海域利用法」で、経済産業省国土交通省が特定の海域を「促進区域」に指定し、公募で選んだ事業者に最長30年間の占用を認める仕組みができた。日本風力開発は、青森県の「陸奥湾」区域などへの参画を目指している。

【社会】日大アメフト部、無期限活動停止 部員、覚醒剤と大麻所持容疑で逮捕(8/5.Sat)

 日本大学アメリカンフットボール部の学生寮(東京都中野区)で乾燥大麻覚醒剤成分を含む錠剤を所持していたとして、警視庁は8月5日、3年生の部員(21)を覚醒剤取締法違反と大麻取締法違反の疑いで逮捕した。日大は、同日からアメフト部を無期限活動停止処分とすると発表した。同部での違法薬物に関する情報は昨年以降、警視庁や日大側に複数回寄せられていた。こうした情報を受け、警視庁は昨年12月、部員を含む日大学生を対象に薬物乱用防止講座を開催していた。

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