2023年07月31日

最低賃金1000円超え 3つの「格差」埋める視点を【週間ニュースまとめ7月24日~30日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 中央最低賃金審議会最低賃金(時給)を全国加重平均で4.3%引き上げ、1002円とする目安をまとめました。実際に改定されるのは秋になりますが、ようやく政府が目標としてきた1000円をクリアすることになります。

 最低賃金水準で働いているのは、主に小さな企業の従業員やパート・アルバイトの人たちです。一方で最低賃金水準が上がることで、来年の「春闘」での大きな企業の従業員の賃金引き上げにもつながることが期待されます。ただ、これでよしとはなりません。3つの格差の観点から、最低賃金をさらに引き上げていく必要があります。

 ひとつは大企業と中小企業の賃金格差です。時給1000円というのは、フルタイムで働いて年収200万円程度です。上場企業では2023年3月期で1億円以上の役員報酬を得ている人が717人(東京商工リサーチ調べ)います。また、帝国データバンクの調査では、全上場企業の従業員の平均年収は2023年3月期で638万円です。最低賃金水準との差はあきらかです。

 ふたつめは地域格差です。最低賃金は都道府県ごとにちがい、東京や神奈川と九州や東北などの県では、時給で200円以上の差があります。同じ国内での差としては大きすぎるように感じます。みっつめは海外の先進国との格差です。日本より最低賃金が高い先進国は多く、日本は韓国よりも低いというデータがあります。これから外国人の労働力がより必要になると想定されますが、これでは日本が外国人に選ばれない国になってしまいます。3つの格差を是正する方向で、最低賃金の引き上げをさらに進めてほしいと思います。 (ジャーナリスト・一色清)

【国際】1カ月動静不明の中国・秦剛外相、半年で異例の解任 習主席が信頼 (7/25.Tue)

 中国の全国人民代表大会(全人代)の常務委員会は25日、秦剛(チンカン)国務委員兼外相(57)の職を解き、共産党外交部門トップの王毅(ワンイー)政治局員(69)が外相に再就任することを決めた。秦氏は1カ月前から動静が途絶えており、国際会議などへの欠席が続いていた。健康問題やスキャンダルなどの未確認情報が流れており、就任からわずか半年での極めて異例の交代となった。秦氏の辞任の理由は明らかにされていない。中国では外相は5~10年単位で職責を務めることが多く、昨年12月に任命されたばかりの「外交の顔」がわずか半年あまりで降板する異常事態となった。

【労働】そごう・西武の労組がスト権確立 いつでもストライキ可能な状態に(7/25.Tue)

 流通大手セブン&アイ・ホールディングス(HD)による傘下の百貨店「そごう・西武」売却をめぐり、そごう・西武の労働組合が25日、ストライキ権を確立したと明らかにした。組合の執行部はいつでもストライキを実施できることになった。そごう・西武の全株式を持つセブン&アイは2022年11月、米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに売却する契約を結んだ。フォートレスは家電量販大手のヨドバシHDと組んでおり、そごう・西武の店舗にヨドバシが出店する計画。だが旗艦店の西武池袋本店(東京都豊島区)へのヨドバシ出店で地権者などとの協議が難航している。

【経済】日産、「脱ルノー傘下」の最終契約締結 EV新会社に最大930億円(7/26.Wed)

 日産自動車は26日、仏ルノーとの資本関係の見直しについて、最終的な契約を結んだと発表した。今年度中に互いの出資比率を15%にそろえる内容で、日産は1999年以来続いてきた「ルノー傘下」の立場を脱する。ルノーが設立する電気自動車(EV)の新会社への日産からの出資は、最大6億ユーロ(約930億円)で決着した。契約は、今年2月に成立した両社の合意に沿ったもの。ルノーは保有する日産株43.4%のうち28.4%分を仏信託会社に移し、議決権を「中立化」させる。日産はルノー株の15%を保有しており、互いの出資比率が同じになる。

【経済】日銀、金融緩和策を修正 長期金利の0.5%超えを一定程度容認 (7/28.Fri)

 日本銀行は28日の金融政策決定会合で、大規模緩和策の柱としてきた「イールドカーブ・コントロール(YCC)」の修正を決めた。低く抑え込んでいる長期金利の上限を「0.5%程度」から1.0%へと事実上、引き上げる。植田和男総裁が今春就任してから3回目の会合で初めて緩和策修正に踏み切った。会合後に会見した植田氏は「金融政策の正常化へ歩み出すという動きではなく、YCCの持続性を高める動き」と説明。緩和の縮小ではなく、市場機能低下などの副作用を減じる「柔軟化」と位置づけた。

【労働】最低賃金、全国平均1002円に 過去最大の上げ幅、物価高を重視(7/28.Fri)

 厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会は28日、最低賃金(時給)を全国加重平均で41円(4.3%)引き上げて1002円とする目安をまとめた。過去最大の引き上げ額となり、政府目標でもあった1千円を超えた。歴史的な物価高で家計が厳しくなっていることを重視した。全国加重平均の最低賃金は現在961円。コロナ禍の影響を強く受けた2020年を除き、近年は3%程度の引き上げが続いてきた。昨年は過去最大の31円(3.3%)引き上げたが、今年はそれを更新した。

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