2020年10月05日

ホンダのF1撤退は「さよならガソリンエンジン」【週間ニュースまとめ9月28日~10日4日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 大きなニュースが相次いだ週でした。トランプ大統領が新型コロナウイルスに感染したというニュースは、大統領選挙まであと1カ月のタイミングだけに世界に大きな衝撃を与えました。日本学術会議が推薦した新委員のうち6人が任命されなかったニュースは、日本の政治が学問の世界までコントロールしようとし始めた動きとして怖さを感じさせました。このふたつより扱いは小さなニュースでしたが、時代の移り変わりを象徴するニュースもありました。ホンダF1 撤退です。F1は世界の自動車レース最高峰で、ホンダは長年トップチームとして君臨しました。莫大な費用のかかるF1に参加する自動車メーカーの狙いは、ブランドイメージ向上にもありますが、一番はガソリンエンジン技術の向上でした。加速力や耐久力を究極まであげて1番になろうとすることで、一般車のエンジンにも応用できる技術が生まれます。しかし、時代はエンジンを必要としなくなりつつあります。ガソリンエンジンの自動車から電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)への大転換が見えてきています。電気自動車は電池とモーターで走ります。一番大事なのは、長持ちする高性能の電池です。F1で追い求めた技術は役に立ちません。ホンダのF1撤退は、「さよならF1」というより「さよならガソリンエンジン」なのです。ニュースは時代の変化をうつします。新聞を読んで、変化を敏感に感じとるセンサーを磨きましょう。(朝日新聞社教育コーディネーター・一色清)

(写真は、昨年のF1日本グランプリで4位になったレッドブル・ホンダのアレクサンダー・アルボン=2019年10月13日午後、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキット)

【経済】NTT、ドコモ完全子会社化を発表 4.3兆円でTOB(9/29.Tue)

 NTT持ち株会社)は29日、上場 子会社の携帯電話大手NTTドコモ完全子会社にすると正式発表した。両社が同日開いた取締役会で決議。NTTが4.3兆円をかけてドコモ株式の公開買い付け(TOB)を行う。高速移動通信方式「5G」など成長分野にNTTグループを挙げて投資する。菅政権が掲げる携帯電話料金の値下げにも対応する。NTTは、ドコモの発行済み株式数の66.2%を持つ。TOBで残り3割強の株式を取得する。実現すればドコモは上場廃止となる。今後、世界で競争が激しくなる「5G」の分野を中心に投資を加速する。5Gからさらに進化させた次世代通信では、2030年の実用化に向けてグループで開発を進めていく狙いもある。法人向けのビジネスもグループで連携して強化する。完全子会社化を機に、菅政権が掲げる携帯料金の引き下げにも対応する方針だ。グループで成長に向けた投資を効率化し、値下げの原資も確保する。

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【経済】東証システム障害、機器故障原因か 初の終日売買停止に(10/1.Thu)

 東京証券取引所は1日、株価などの相場情報を配信するシステムに障害が生じたとして、午前9時の取引開始から全銘柄売買を停止し、終日の売買停止を発表した。機器の故障が原因とみられ、復旧のめどがたたないためで、同じシステムを使う名古屋・福岡・札幌の各取引所も同様に停止した。システム障害による終日の売買停止は初めて。東証は9月末現在で約3700社が上場し、ニューヨークやロンドンなどと並ぶ世界有数の取引所。株式売買という金融のインフラが機能しなくなり、国内外の投資家の資金運用や上場企業の資金調達に影響が及ぶ。東証によると、午前9時からの取引開始前に株価が表示されないことがわかった。

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【政治】日本学術会議推薦の6人、任命されず 菅首相に任命権(10/1.Thu)

 菅義偉首相は1日、政府から独立して政策提言をする「日本学術会議」の新会員について、会議が推薦した候補者105人のうち6人を除外して任命した。国内の学者を代表し「学者の国会」とよばれる同会議が推薦した候補者を首相が任命しなかったのは、2004年度の法改正で会議が推薦する方式になって以降初めて。法律上、任命するのは首相だが、学問の自由の侵害だと批判が出ている。任命されなかったのは、東京大教授の宇野重規(しげき)氏や加藤陽子氏ら、政治や憲法、行政法などの研究者6人。安倍前政権で成立した安全保障法制や「共謀罪」法に反対の立場をとってきた人もいる。加藤教授は朝日新聞の取材に「学問の自由のみならず、学術会議の任務について首相官邸が軽んじた点も問題視している」と批判した。

【社会】米トランプ大統領が新型コロナ陽性 ツイッターに投稿(10/2.Fri)

 トランプ米大統領(74)は2日未明(日本時間2日午後)、自身と妻のメラニアさんが新型コロナウイルスの検査で陽性になったと、ツイッターで明らかにした。前日には、側近が陽性となり、検査を受けていることを公表していた。トランプ氏は「我々は隔離と回復をすぐに始める。一緒に乗り越える!」とツイートした。
 トランプ氏は2日夕、ワシントン郊外のウォルター・リード陸軍病院に入院した。容体をめぐる情報は3日、混乱が続いた。メドウズ大統領首席補佐官が「今後48時間が治療に重要な意味をもつ」と語った後、トランプ氏は「すぐに戻ると思う」という動画をツイッターで公開し、不安を払拭(ふっしょく)しようとした。政府高官によると、トランプ氏は2日に入院する前に血中酸素濃度が急激に低下しており、当初の説明より重症だった可能性がある。

【経済】ホンダ、21年限りでF1撤退 次世代技術の開発に注力(10/2.Fri)

 ホンダは2日、自動車レースのフォーミュラ・ワン世界選手権(F1)から2021年限りで撤退すると発表した。トヨタ自動車は2009年に撤退済みで、自動車レース最高峰であるF1から日本勢はいなくなる。ホンダがF1に参戦してきたのは、一般向けの車のエンジン技術を磨くためでもある。年に数百億円とされる参戦のための資金や人材を、電気自動車(EV)など次世代技術の開発に振り向ける。活動を始めた1964年は、創業者の本田宗一郎氏が社長の時代だ。1988年に「マクラーレン・ホンダ」のアイルトン・セナ選手が年間王者になるなど、1980~90年代に黄金時代を築いた。ホンダのブランド力を世界で高め、日本にF1ブームを巻き起こした。勝利数は通算で77勝に上る。八郷隆弘社長は記者会見で、市販車向けのエンジンの開発を順次縮小させる方針も併せて示した。企業活動による二酸化炭素の排出を実質的にゼロにする「カーボン・ニュートラル」の、2050年の実現をめざすという。自動運転なども含めた次世代技術の開発には巨額の費用がかかる。コロナを背景に業績が悪化するなか、F1は重荷になっていた。

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