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2020年03月25日

経済

5Gスタート! 変わる娯楽・交通・医療…【時事まとめ】

大手3社サービス開始

 いよいよ、「5G」(ファイブ・ジー)のサービスが始まりました。スマホなどに使われる新しい通信方式で、NTTドコモKDDI(au)、ソフトバンクの携帯電話大手3社がほぼ同時にスタート。楽天も6月からサービスを開始する予定です。通信環境が圧倒的に良くなるため、大量の情報をたくさんの機器で同時にやりとりできます。4K、8Kといった高精細な動画やVR(バーチャルリアリティー=仮想現実)、オンラインゲーム、スポーツ中継などをより快適に楽しめるようになります。でも、娯楽だけではありません。あらゆるモノがネットでつながるIoT(モノのインターネット)や自動運転を一気に進ませる可能性を秘め、幅広い業界・企業に関わりがあります。志望業界での新たな展開の可能性を考えてみましょう。(編集長・木之本敬介)

(写真は、NTTドコモの5Gのロゴ=2020年3月18日、東京都中央区)

3つの特徴

 5Gは、「第5世代」(5th Generation)の通信方式という意味です。アナログ方式だった1980年代の「1G」からほぼ10年ごとに代替わりし、「2G」でデジタル方式に、「3G」で携帯電話での画像や動画のやりとりができるようになり、「4G」ではスマホで大容量動画を楽しめるようになりました。その4Gでも2時間の映画のダウンロードには何分もかかりましたが、5Gなら最短3秒で済みます。

 5Gの特徴は以下の三つです。
①超高速(4Gの数十倍)より速く、よりきれいに
②超低遅延(遅延時間が4Gの10分の1)リアルタイムで通信
③多数同時接続(4Gの10倍)あらゆるモノとつながる

VR、ARで本領発揮

 2019年9月に開かれた世界最大級のゲーム見本市東京ゲームショウ2019」で、5Gの世界を体験できるNTTドコモのブースが人気を集めました。目玉はAR(拡張現実)を活用した格闘ゲームの観戦。スマホをかざすとキャラクターの対戦が目の前の映像の中で立体的に浮かび、スマホを持って移動すると映像も動いて好きな場所から観戦できます。大容量のデータ配信が必要なAR技術を使った格闘ゲームの観戦は、5Gがもっとも威力を発揮する分野です。5Gを使えば、スポーツ中継を複数の視点で観戦できたり、音楽ライブを臨場感のある形で視聴できたりもします。

 5Gが変えるのはゲームやスポーツだけではありません。代表例がネットにつながる車「コネクテッドカー」。道路情報を細かく取得し、車同士もデータをやりとりできるようになって事故や渋滞を減らせます。乗用車や農業用トラクターの自動運転や、災害現場など危険な場所での重機の遠隔操作が進み、ドローンの普及も進みます。医者が遠くに住む患者を診察する「遠隔医療」で地方にいながら都会の大病院の医者に診てもらえるようになるかもしれません。農業、教育など幅広い分野への応用も期待されていて、総務省は5Gの普及による経済効果を国内だけで47兆円と試算しています。

(写真は、東京ゲームショウに出展したNTTドコモのブース=2019年9月12日、千葉市の幕張メッセ)

フルに使えるのはまだ先

 とはいえ、こんな便利な世界がすぐに実現するわけではありません。携帯大手各社の計画では、最初に5Gが利用できるのはスポーツ施設や駅の周辺などごく限られた場所だけ。各社1万~4万カ所の5G基地局を開設する計画ですが、広い範囲で使えるようになるのは2024年度末になりそうです。高速通信も当面は4Gの2~3倍程度で、5Gのフル機能を実感できるのは早くても2023年です。各社とも料金は今より500~1000円高く設定しているものの、しばらくは使える場所が限られるため、2年間は4Gと同額に抑えるなどして移行を促す考えです。5G対応の端末はシャープ、韓国のサムスン電子などが発売していますが、日本で半分のシェアを持つ米アップル社のiPhoneは2020年秋以降に新型が出るとみられています。5Gスマホは10万円以上と高価格のものが多く、普及には時間がかかるかもしれません。ということで、消費者としては5Gスマホを慌てて買うのが得策だとは思いませんが、企業の関心事ですから就活生としては5Gについて語れるようにしておくことをオススメします。

 一方、通信網の本格整備前でも、企業や自治体、大学などが限られた地域で活用する「ローカル5G」は早めに広がりそうです。農業の自動化や、生産設備をネットにつないで効率化する「スマート工場」など、個別の用途に合わせて5Gの機能を生かせます。

 超高速、大容量ならではのリスクもあります。IoTは、限られた場所に多数の電子機器がつながって情報をやりとりしますから、一度に乗っ取られる危険性も。サイバーテロの標的にされる可能性もありますから、セキュリティー対応も不可欠です。

米中覇権争いと「6G」

 世界では、米国と韓国が2019年4月にいち早く5Gを開始。同年11月には中国でもスタートし、2020年初めの時点で20カ国以上で始まっています。5G関連機器では中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)が大きな世界シェアを持っていますが、米国は機密情報を抜き取られる可能性など安全保障上の懸念があるとしてファーウェイ製品を排除。米中の覇権争いの舞台にもなっています。

 すでに「ポスト5G」に向けた動きも始まっています。NTTは、米国のインテルソニーと進める「IOWN」(アイオン)構想を発表。電気信号ではなくすべて光で伝え、5Gより大容量で遅れのない通信を実現できるシステムで、2030年のサービス開始を目指しています。中国政府は2019年11月、次世代の「6G」を国策で進めると宣言。日本の総務省も6Gの総合戦略を議論する有識者会議を立ち上げました。