2020年07月06日

「香港国安法」で中国が失った大きなもの【週間ニュースまとめ6月29日~7月5日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 新型コロナウイルスの感染が再び日本で拡大し始めています。そんな中、九州で大雨が降り、大きな被害が出ました。どちらも地球の異変を予感させる出来事で、とても気になります。一方で人間社会にも気になる出来事があります。香港情勢です。香港のデモに手を焼いていた中国は、ついに「香港国家安全維持法」(国安法)を成立させ、その翌日には香港のデモの現場で抗議する人がこの法律によって逮捕されました。中国が力で香港を支配し始めたのです。これまで香港では「一国二制度」の約束の下、一定の民主主義言論の自由が認められてきましたが、これからは中国の強権的な支配が及ぶことになり、一国一制度に近くなるでしょう。中国政府はこれで香港の独立を叫ぶ人がいなくなって安定すると喜んでいるでしょうが、中国はこのことによって得たものより失ったもののほうがはるかに大きいと私は思います。多くの先進国は、中国は同じ価値観を共有していないと改めて感じたことでしょう。世界が中国を見る目は、これまで以上に厳しくなるはずです。そして香港からは優秀な人たちや外国の資本が逃げ出す動きが続くでしょう。また、一国二制度を使って台湾統一しようという中国の狙いも、絶望的になったに違いありません。民主主義という仕組みの下で人々の合意を作ることは簡単ではなく、強権を持っている人が力づくで決めていくほうが効率的だと思う人もいるかもしれません。しかし、民主主義の方が結局柔軟で強いということは、歴史が証明しています。高校時代の世界史の教科書を持っている人は、国の盛衰をおさらいしてみてください。(朝日新聞社教育コーディネーター・一色清)

(写真は、香港国家安全維持法の施行に反対するデモ行進で、「〈中国共産党の〉一党独裁を終わらせよ」と書かれたビラを掲げる参加者ら=2020年7月1日、香港)

【国際】「香港独立」の旗を所持した男性逮捕 国安法を初適用(7/1.Wed)

 香港でデモに参加していた男性が1日、反体制的な活動を取り締まる「香港国家安全維持法」に違反した疑いで逮捕されたと香港メディアが報じた。30日に施行された同法が適用されるのは初とみられる。1日は香港が中国に返還されてから23年の節目で、香港島の中心部でデモが呼びかけられていた。報道によると男性は同日午後1時ごろ(日本時間同2時ごろ)、繁華街の銅鑼湾(コーズウェイベイ)付近で、「香港独立」と書かれた旗を所持していた疑いで逮捕されたという。国安法は、「国家分裂」「政権転覆」「テロ活動」「外国勢力との結託」の四つを国家安全に危害を加える犯罪行為と規定し、最高で終身刑を科すと定めている。

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【経済】コロナショックはリーマンより長引く?楽観できない理由(7/1.Wed)

 日本銀行が1日発表した6月の短観は、景況感リーマン・ショック直後以来の水準に悪化した。一方で、緊急事態宣言の解除で経済活動が再開し始めたこともあり、大企業の先行きは改善の方向だ。リーマン当時と比べて早めに景気悪化が底打ちするとの見通しが示された一方で、感染第2波への警戒感が回復の重しとなる。3カ月後(9月)の業況判断の見通しは、大企業・製造業がマイナス27、非製造業がマイナス14。それぞれ今回(6月)と比べて7ポイントと3ポイントの改善となる。

【社会】プラ製レジ袋の有料義務化スタート コンビニも1枚3円(7/1.Wed)

 プラスチック製レジ袋の有料化が1日、すべての小売店に義務づけられた。マイバッグの普及とプラスチックごみの削減につなげるねらいだ。これまで無料配布を続けてきたコンビニ大手3社でも、全国の店で有料販売が始まった。「6月30日をもちましてレジ袋の無料配布は終了しました」。東京都港区のセブン-イレブンの店では、レジの脇に有料化を伝える貼り紙があった。従業員は買い物客一人ひとりに、「レジ袋は有料になりますが、いかがいたしましょうか」と声をかけていた。セブンでは、大・中・小・弁当用の袋は1枚3円(税抜き)、特大は5円で販売する。午前9時半ごろから来店した50人をみると、レジ袋を買ったのは22人。5割超にあたる28人はそのまま持ち帰るか、持参した袋に入れていた。

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【社会】「東京都民は他県への移動遠慮を」小池知事、自粛を要請(7/4.Sat)

 東京都の新型コロナウイルスの感染者が3日連続で100人を超え、小池百合子知事は4日、都民に対し、不要 不急の都外への移動自粛を要請した。政府による都道府県をまたぐ移動自粛の要請は6月19日に解除されたばかりだが、都内で再び感染者が増えていることから、都外への感染拡大を抑える必要があると判断したとみられる。 4日には新たに131人の感染が確認され、5月25日に緊急事態宣言が解除されて以降、最多を更新した。新型コロナ対策を担当する西村康稔経済再生相との面会後、小池知事は4日夕、報道陣に「最近、近隣の県で感染者数が増えている。不要不急な他県への移動につきましてはご遠慮いただきたい」と述べた。通勤者には、改めてテレワークを定着させていくよう求めた。都によると、4日に確認された131人のうち20代と30代が98人で75%を占めた。感染場所別で見ると、接待を伴う飲食店などの「夜の街」関連は62人に上り、うち集団検査の25人を含め新宿が52人、池袋が2人だった。

【社会】熊本豪雨で22人死亡 心肺停止17人、行方不明者も(7/5.Sun)

 熊本県南部などを襲った集中豪雨で、5日までに22人の死亡が確認された。県によると、午後9時現在、死者は人吉市9人、芦北(あしきた)町9人、津奈木(つなぎ)町1人。このほか、八代市によると3人が死亡した。また、特別養護老人ホーム千寿(せんじゅ)園が水没した球磨(くま)村で16人、芦北町で1人が心肺停止。人吉市と芦北町、津奈木町、球磨村で計11人が行方不明になっている。国土交通省によると、氾濫(はんらん)や決壊が相次いだ球磨川の流域で計6100戸が浸水。5日も、自衛隊や消防などがボートやヘリコプターを使って取り残された人の救助活動を続けた。広い範囲が水没した人吉市街地では住民らが水につかった家具を外に出し、床にたまった泥をかき出す作業に追われた。県によると、5日午後1時までに橋の崩落が県内で14カ所確認されたほか、のり面が崩れたことなどによる道路の通行規制が57カ所にのぼった。

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