2013年07月11日

格安メガネで市場上向き

テーマ:経済

ニュースのポイント

 メガネが安くなりました。価格破壊の先駆けとなった「Zoff(ゾフ)」に続き、「JINS」「クーレンズ」「眼鏡市場」などが参入し、縮小が続いてきた度付き眼鏡の市場は上向きに転じる気配です。安さの秘密は、ユニクロと同じSPA(製造小売り)という手法にあります。

 今日取り上げるのは、経済面(8面)の「価格のフシギ/格安メガネ 視界良し/海外で生産委託 店舗8年で9倍」です。
 記事の内容は――インターメスティック(東京)が運営するゾフの度付き標準レンズのメガネは、5250円、7350円、9450円の均一価格。2000年ごろまでメガネは3万円ほどするのが当たり前だった。カギは、完成品を仕入れるのではなく、企画から販売まで手がけるSPAだ。フレームの生産は人件費が安い中国や韓国の工場に頼み、レンズも大量発注する。ジェイアイエヌ(前橋市)の「JINS」、エヌ・ティ・コーポレーションの「クーレンズ」に続き、老舗のメガネトップ(静岡市)も参入し「眼鏡市場」を始めた。眼鏡光学出版によると2012年の低価格均一の店は1769店と8年で約9倍に。縮小してきた市場(度付き)は、2011年、7年ぶりに反転して下げ止まった。いまやメガネは、洋服のように流行に合わせたり、仕事と遊びで使い分けたりする商品に。一方でメガネの価格破壊は、鯖江市を中心に国産フレームの9割以上をつくる福井県には打撃。県眼鏡協会によると、2010年の県内の眼鏡製品出荷額は534億円と、ピークだった2000年の半分以下に減った。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 こうした価格破壊は消費者にとっては歓迎すべきことですが、鯖江市など国内の産地の打撃は深刻です。ただ、東京・銀座のセレクトショップ「シップス」や、タレントの梨花さんと組んで商品を開発し、ヒットさせた鯖江の業者もあります。福井県眼鏡協会の会長は「同じ土俵で勝負するのは難しいので、付加価値のあるものを提案していきたい」と話します。付加価値による差別化ができるかどうかが、生き残りのカギを握りそうです。

 メガネの価格破壊を可能にした「SPA」は、企画から製造、小売までを一貫して行うビジネスモデルで、アメリカのGAPや日本のユニクロが代表例です。以前は、百貨店や専門店がアパレルメーカーから商品を仕入れて販売する方式が一般的でした。SPAは、消費者の嗜好(しこう)の変化を素早く製品に反映させ、すぐ増産できます。手間がかかり、在庫リスクもありますが、中間業者が入らないうえ、工賃が安い海外で製造してコストを抑えるため、価格を安くできます。また、工場を稼働させる生産量を確保するため多店舗化が必要となります。大手スーパーのイオンも、SPA方式で自社ブランド「トップバリュコレクション」を展開しています。以前はメーカーに生産を委託するプライベート・ブランド(PB)の衣料品を販売していましたが、メーカーの提案に頼る部分が多く、企画・生産段階の管理は弱かったといいます。

※朝日新聞デジタルの無料会員は1日3本の記事全文を、有料会員になればすべての記事を読むことができます。ぜひ登録してください。

アーカイブ

テーマ別

月別