ニュースのポイント
国内のメーカーは今、大きな変化の渦中にあります。原因はこの2年で急速に進んだ円安です。その前に円高が長く続いたため、多くのメーカーが海外に工場をつくってきたのですが、今は国内での生産を増やしています。政府がまとめた「ものづくり白書」で、その実情がはっきりしました。メーカー志望者は「ものづくり白書」に目を通してみましょう(下にリンクを貼りました)。メーカーの今が見え、面接などで使えるネタも盛りだくさんですよ。(編集長・木之本敬介)
今日取り上げるのは、総合面(4面)の「日本企業1割超 国内生産に回帰/円安加速の2年で」です。
記事の内容は――この2年で急激に進んだ円安で、海外工場を持つ日本企業の1割超が国内に生産を戻していた。政府が9日に閣議決定した2014年度版「ものづくり白書」でわかった。海外工場とのすみ分けをめざし、国内は技術革新拠点や海外支援を担う「マザー工場」への衣替えを急いでいる。経済産業省が製造業2万5000社に調査票を送り、4446社の回答を分析した。2012年11月に1ドル=80円台だった為替は、2014年12月に1ドル120円を超えた。白書によると、海外工場を持つ738社のうち98社(13.3%)がこの2年で「国内生産に戻した」と回答した。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
今の円相場を知っていますか? 円相場とは円と他国通貨との交換比率のことで、よく目にするのは「1ドル=○○○円」という数字です。朝日新聞経済面(9面)の下に載っている9日17時の数字は124.53円でした。刻々と変化するので、細かい数字を覚える必要はありませんが、東京証券取引所1部の株価「日経平均」(9日の終値2万0096円30銭)とともに、だいたいどのくらいかは押さえておきましょう。
グラフ(5月28日の朝日新聞夕刊掲載)を見てください。大きな流れで見ると今は12年半ぶりの円安水準です。2008年のリーマン・ショックの後、1ドル=90円、80円台という円高が続いてきました。円が高くなると、輸出品は価格が割高になって海外での売り上げは落ちます。そこで、多くのメーカーは海外に進出して工場を建てました。海外でつくると、円高の影響を受けないため割安で売ることができるからです。円高だと輸入品は割安になるので、海外でつくった製品の日本への輸入も多くなりました。
流れが円安に変わったのは2012年。安倍政権の経済政策アベノミクスなどもあって、急激に円安が進みました。海外の工場でつくると割高になるため、国内に生産を戻す企業が増えてきた、というのが今日の記事です。輸出が増えて、大手メーカーの業績は回復し、過去最高の利益をあげる企業も目立っています。「ものづくり白書」には、こうした経済の分析に加え、どうしたら日本のメーカーがもっと稼げるのかを展望しています。自動車、電機、部品、ロボットなど様々な業界が取り上げられ、個別の企業の取り組みも紹介されています。まず日本経済の大きな流れを知ったうえで、志望業界・企業の現状を把握しましょう。
今日の記事には、国内工場について、次の言葉が登場します。
◆「イノベーション拠点」新技術や製品を生む
◆「マザー工場」海外工場の支援を担う
◆「フレキシブル工場」多品種少量生産などを担う
海外の工場と役割分担を明確にして、それぞれを効率的に運用し、相乗効果を高めようということのようです。こんな新しい言葉も押さえておくと、面接などで話題が広がりますよ。
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