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2018年09月12日

IoTと自動運転で活況 半導体業界に注目!

精密機器・電子機器

 半導体大手のルネサスエレクトロニクスが9月11日、米国の半導体メーカー、インテグレーテッド・デバイス・テクノロジー(IDT)を買収すると発表しました。買収額は約67億ドル(約7330億円)と巨額です。これから自動運転の時代になるとクルマ用半導体の需要が増えることを見越した投資です。半導体は好不況を短期間に繰り返す製品として有名でしたが、最近は好況が続いています。すべてのモノがインターネットにつながる IoT(インターネット・オブ・シングス)社会がやってきつつあり、以前とは局面が変わったとみられています。日本の半導体業界は以前ほど強くはありませんが、好況の波に乗って攻めの姿勢を見せています。

(写真は、IDT買収を発表するルネサスエレクトロニクスの呉文精社長)

かつては日本が世界トップだった

 日本の半導体メーカーは、大型コンピューター全盛の1980年代から90年代初めにかけて世界で圧倒的な強さを示していました。90年には世界の売上高上位10社のうち6社を日本メーカーが占めました。半導体には何種類かあるのですが、90年代に入るとパソコンの時代になり、「メモリー」と呼ばれるパソコン用半導体で韓国や台湾のメーカーが価格の安さを武器に伸びてきました。一方、米国メーカーは「マイクロプロセッサー」と呼ばれるパソコンの心臓部の半導体で伸び、日本メーカーは徐々にシェアを落としていきました。単独で生き残るのが苦しくなった日本メーカーは事業を統合したり、事業から撤退したりしました。現在は、東芝から日米韓連合に売却された「東芝メモリ」、三菱電機、日立製作所、NECをルーツにする「ルネサスエレクトロニクス」の2社が日本勢の中心になっています。ただ、世界の上位10社には8位に東芝が入っているだけで、サムスン電子などの韓国勢やインテルなどの米国勢が強さを見せています。

(図は、ルネサスエレクトロニクスの業績と従業員数の推移)

素材や製造装置は今も強い

 半導体業界というと、半導体そのもののメーカーを思い浮かべますが、広い意味では半導体素材メーカーや半導体製造装置メーカーもあります。素材メーカーとしては信越化学工業やSUMCOなどが、製造装置メーカーとしては東京エレクトロン、ディスコなどが大手です。日本は、半導体そのものは米韓に押されていますが、素材や製造装置では世界のトップクラスを維持しています。

今年、来年も伸びると予測

 半導体の活況は続いています。世界半導体市場統計によると、2017年の世界の半導体市場は46兆2000億円で前年比21.6%も増えました。2018年も前年比12.4%の伸びを予測しています。2019年は前年比4.4%増と減速するものの、それでも成長は続くという読みです。日本の半導体市場は2017年で4兆1000億円となり、前年比17%伸びました。2018年は5%、2019年は4.2%伸びると予測しています。

(写真は、東芝メモリが岩手県北上市に建設する新工場の完成予想図=同社提供)

自動運転とIoTが追い風

 伸びの背景にあるのは、少し前はスマートフォンへの需要でした。しかし、スマホの普及スピードは一段落し、需要の中心はクルマの自動運転の開発競争とIoTに移ってきています。自動運転を実現するためには、多くの半導体が必要になります。現在でもハンドル、アクセル、ブレーキのそれぞれで自動運転技術が導入されていますので、半導体の需要は増えていますが、これがさらに進み、運転手のいらない本当の自動運転時代が来るともっと必要になります。また、IoTも追い風になるのは間違いありません。このため、半導体メーカーの先行投資が活発になっているのです。

(写真は、東京都内で実証実験を実施した「自動運転タクシー」の車内。運転手はハンドルに手を添えているだけ)

第4次産業革命で需要は長期化

 半導体業界にはここ数年、急に強い追い風が吹き始めました。今は人工知能(AI)とIoTが世界を変える第4次産業革命のただ中にいる、という見方があります。こうした見方が正しければ、半導体への強い需要は長期にわたって続くことが考えられます。これからおもしろい業界ですし、優秀な人材を求めていますので、技術やグローバルな仕事に関心がある人は検討してみたらどうでしょうか。

(写真は、パナソニックが東京都内に建てた「IoT対応賃貸マンション」の室内=同社提供)

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