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2024年09月13日

間違いなくこれから伸びる、電池に関する業界【業界研究ニュース】

精密機器・電子機器

 これからの社会で、需要が急激に伸びるとよくいわれているのが半導体です。人工知能の発達などで、飛躍的な需要の伸びが期待されています。さて、需要が急激に伸びそうなものとしてもうひとつ注目したいのが、電池です。地球温暖化がまったなしで進むなか、たくさんの二酸化炭素を出すガソリンエンジン車から電気自動車(EV)への転換が急がれています。そのために必要なのが、性能のいい電池なのです。

 また、二酸化炭素を出さない発電方法として再生可能エネルギーの活用が求められていますが、発電量が天気まかせとなり安定しないのがネックです。そのため、発電した電気を貯めておける蓄電池の開発も急がれています。こうしたことから世界の電池メーカーは政府や自動車メーカーなどの後押しを受けて、研究開発や販売に力を入れています。日本の電池メーカーは少し前まで世界をリードしていたのですが、最近は中国や韓国のメーカーにおされて徐々に後退しています。そうした状況ではありますが、画期的な技術革新の可能性もあり、日本メーカーの巻き返しが期待されています。間違いなくこれから伸びる分野なので、就活生は注目しておきましょう。
(写真・EVごみ収集車。運転席の背後にリチウムイオン電池を積み、充電設備で交換する=2024年3月/写真はすべて朝日新聞社)

2035年には市場が約6倍に

 電池には1次電池2次電池があります。1次電池は乾電池などの使い切りの電池のことで、2次電池は充電して繰り返し使える電池のことです。今、市場が伸びているのは2次電池で、中でも寿命が長くて小型で軽量のリチウムイオン電池が主流です。スマートフォンで使われているほか、今後は電気自動車(EV)の普及でさらに需要が伸びると見込まれています。矢野経済研究所は次世代の電池市場を、2023年見込みの1兆2333億円から2035年には約6倍の7兆2763億円になると予想しています。

パナソニック、GSユアサなどが中心

 日本の電池メーカーでもっとも大きいのはパナソニック傘下のパナソニックエナジーです。次いで、 GSユアサ、AESCジャパンなどがあります。この3社は最終製品をつくる会社ですが、トヨタ自動車ホンダ日産自動車などの自動車メーカーも共同で研究開発したり製造したりしています。ほかにも村田製作所京セラなども一部門として電池を製造したり開発したりしています。また、昼間発電した電気を貯めておいて夜に使える家庭用蓄電池の分野ではシャープ、パナソニック、オムロンなどが有力です。
(写真・パナソニックエナジーの和歌山工場=2024年9月9日)

中国や韓国メーカーに近年抜かれる

 リチウムイオン電池の市場はもともと日本勢が開拓しました。1991年にソニーが世界に先駆けて商品化し、携帯電話に搭載。自動車向けはパナソニックがアメリカのEV大手 テスラに供給することで規模を拡大し、2018年には世界シェア1位でした。しかし、中国のメーカーが急速に台頭し、2023年の段階では1位が中国のCATL(シェア36.2%)、2位が中国のBYD(15.2%)、3位が韓国のLGES(14.5%)、4位が韓国のサムスンSDI(6.2%)5位がパナソニックエナジー(6.1%)となっています(テクノ・システム・リサーチ調べ、出荷容量ベース)。日本メーカーが近年、中国や韓国に抜かれていることがわかります。

蓄電池の生産に3479億円を補助

 こうしたことから経済産業省は2024年9月、EV用の蓄電池の生産に最大3479億円を補助すると発表しました。自動車メーカーや装置メーカーが設備投資や技術開発に計1兆円を投じる12の事業計画について、3分の1を助成するという内容です。蓄電池は国内での安定供給を確保するための「特定重要物資」に指定されています。中国や韓国に負けない競争力を持つために政府も本腰を入れてきたわけです。
(写真・経済産業省=東京都千代田区)

全固体電池に大きな期待

 日本が巻き返しを図る切り札とみられているのが、全固体電池です。これは電解質がドロドロした状態のリチウムイオン電池とは違い、固体の電解質を使います。容量が大きくなるためEVの航続距離が伸びるほか、充電時間も短くなります。固体なので安全性も高くなります。トヨタ自動車は出光興産と組んで技術開発を始めています。トヨタは2030年以降に量産を始めることを目指していて、日産自動車は2028年度までに、ホンダは2020年代後半に実用化したいとしています。

画期的な電池が地球を救う

 電池専業メーカーは少ないのですが、大きな市場になるとみて自動車メーカー、電機メーカー、電子部品メーカーなどの多くの企業が電池の製造や開発に参入しています。地球温暖化が進めば進むほど、つくった電気を貯めておくことの重要性が増してきます。画期的な電池を開発した企業が地球を救うのかもしれません。電池に関わる仕事をしている会社はたくさんありますので、興味のある人は調べてみてください。

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