宅配業界の「働き方改革」が進んでいます。昨年、ヤマト運輸などでドライバーに対する残業代の未払いが問題になったことがきっかけです。未払いは、限られたドライバーで増え続ける仕事をこなす中で発生していました。その反省から、ドライバーを増やすことと仕事を減らすことで働きやすい職場にして、人材を確保しようとしています。こうした改革はドライバー以外の職種にも広がっています。業績は好調なのですが、業界にはきついイメージを変えないと人手不足で生き残れないという危機感があります。
宅配業界の「働き方改革」が進んでいます。昨年、ヤマト運輸などでドライバーに対する残業代の未払いが問題になったことがきっかけです。未払いは、限られたドライバーで増え続ける仕事をこなす中で発生していました。その反省から、ドライバーを増やすことと仕事を減らすことで働きやすい職場にして、人材を確保しようとしています。こうした改革はドライバー以外の職種にも広がっています。業績は好調なのですが、業界にはきついイメージを変えないと人手不足で生き残れないという危機感があります。
宅配便は、2016年度に初めて取り扱いが40億個を突破しました。この20年間で約2.5倍になりました。最近も増加基調は衰えていません。インターネットでの通販やフリーマーケットはますます盛んになっていて、宅配便の個数はまだ当分増え続けるとみられます。企業別のシェアは、2016年度でヤマト運輸がトップで46.9%、佐川急便が30.6%、日本郵便が15.9%と続いています。
(写真は、ヤマト運輸が2010年に導入した主婦によるチーム集配。荷物増とドライバー不足への対応の一環だ)
仕事が増えているので、各社とも業績好調が続いています。しかし、業界の最大の悩みはドライバー不足です。長時間労働と低賃金というイメージがあり、好景気の中ではなかなか人が集まりません。実際、昨年は残業代の未払い問題が明らかになり、社会問題となりました。このため、各社はドライバーの待遇改善と取り扱い個数を絞る方向の改革に取り組んでいます。ヤマト運輸は、ドライバーの残業時間を減らすため、再配達の受付時間の締め切りを1時間繰り上げて午後7時にしたり、配達時間の指定区分を変えて「正午から午後2時」をなくしたりしました。配送の基本運賃の値上げもしました。取り扱い個数を減らすためです。また、顧客が自分で営業所に持ち込んだり、営業所にある機械に宛先などを自分で入力したりすると値引きすることで、省力化を進めようともしています。営業現場だけではなく、全社的にも柔軟な働き方ができる改革を進めており、育児や介護をしている社員や50歳以上の社員を対象に週4日、週3日の勤務も認めることを18日に発表しました。
(写真は、東京都江東区のヤマト運輸の物流拠点)
宅配便配送の人手不足は世界でも同様で、中国では無人配送車やドローンが一部で使われています。今、開発競争になっている自動運転車は2020年代には実用化されるとみられており、宅配便の配送などの物流は自動運転車が活躍できる分野として期待されています。そうなれば、ドライバー不足問題は解決するでしょうが、時期はまだ見通せません。
(写真は、千葉市で2016年に行われたドローン宅配の実証実験)
ネットの仮想空間がいくら大きくなっても、人間はリアルな物がなければ生きていけません。ネット社会が進めば進むほど、リアルな物流が盛んになるというのが現実です。物流に関わる業界では、仕事が増えることで、働き方改革と機械化、自動化がかなりのスピードで進み始めています。これから10年くらいで業界は大きく変わりそうです。
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2024/12/12 更新
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