2024年05月20日

物価上昇で上場企業は最高益、しかし個人消費は落ち込む【週間ニュースまとめ5月13日~19日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 企業はもうかり、個人は苦しむ。円安がもたらす効果がこんな形で表れています。

 上場企業の2024年3月期決算がおおむね出そろいましたが、最終的なもうけを示す純利益の総額は3年連続で過去最高になる見通しです。歴史的な円安と相次ぐ値上げが、企業の業績を大きく押し上げているのです。一方、内閣府が発表した2024年1~3月期の国内総生産(GDP)は物価変動を除いた実質で直前の四半期より0.5%減りました。要因のひとつが、個人消費が振るわないことです。個人消費は前期に比べて0.7%減り、4半期連続のマイナスになりました。円安は物価を押し上げますが、賃金の上昇がそれに追いつかないので、個人は節約に走るというわけです。企業の多くは今春闘で賃金の大幅アップを回答しましたが、それでも物価の上昇に追いつくかどうかわかりません。企業も個人も潤う社会にするためには、どうすればいいのか、就活生の皆さんも現状をしっかり認識して、考えてみてください。(ジャーナリスト・一色清)
(写真はPIXTA)

【国際】米、対中制裁関税を大幅引き上げへ EVは4倍、半導体は2倍に(5/14.Tue)

 米バイデン政権は14日、中国からの輸入品のうち電気自動車(EV)や半導体など7分野について、制裁関税を大幅に引き上げると発表した。EVは4倍の100%とする。巨額の補助金に支えられた安い中国製品の流入を阻み、国内産業を守る。中国は強く反発しており、米中関係のさらなる不安定化や、高関税をかけ合う「貿易戦争」の再発も懸念される。今回引き上げるのは、中国による米企業の知的財産 の詐取などを理由に、トランプ前政権が中国からの数千億ドル相当の輸入品にかけた制裁関税のうち、180億ドル分が対象。貿易相手国の不公正な貿易慣行を理由に、一方的な制裁措置をとれる米通商法の規定を根拠にしている。

【社会】マイナによる手続き機能、自治体大半が未利用 会計検査院が指摘(5/15.Wed)

 マイナンバーシステムで児童手当介護保険申請などの手続きを簡略化する機能の活用状況についての調査結果を、会計検査院が15日に公表した。2022年度に全国半数以上の自治体が活用したのは1258機能のうち年金申請などの33機能(3%)で、税金減免などに関する485機能(39%)は全く使われていなかった。本来使えるはずのデジタル手続きを住民が使えないケースが出ている。政府はマイナシステムで「国民の利便性向上」と「行政の効率化」を図るとしてきたが、実態が伴わず、自治体の現場の実情と乖離(かいり)していることが明らかになった格好で、検査院は司令塔のデジタル庁や関連省庁に改善を求めた。

【教育】報酬約束し、Xで解答者募集 スマートグラスで入試撮影容疑の少年(5/16.Thu)

 2月にあった早稲田大学(東京都新宿区)の一般入試中に、受験生の無職少年(18)=東京都町田市=が試験問題をメガネ型通信機器「スマートグラス」で撮影し、流出させた疑いがある事件で、少年が試験前、X(旧ツイッター)で報酬を約束した上で「わからない問題を教えて欲しい」などと解答者を募集していたことが分かった。応じた人に試験中に撮影した問題用紙の画像を送信し、解答するよう依頼していた。警視庁は16日、少年を偽計業務妨害容疑で書類送検し、発表した。「不正に巻き込んでしまった人に謝罪したい」と容疑を認めているという。

【経済】GDP1~3月期、2四半期ぶりマイナス成長 年率2.0%減(5/16.Thu)

 内閣府が16日に発表した2024年1~3月期の国内総生産(GDP)1次速報は、物価変動の影響をのぞいた実質(季節調整値)で直前の四半期より0.5%減った。2四半期ぶりのマイナス成長で、この状態が1年続いた場合の年率換算は2.0%減。個人消費が停滞しているところに、トヨタ自動車グループの認証不正問題の影響が直撃した。
 GDPの5割超を占める個人消費は0.7%減った。4四半期連続のマイナスで、同様のマイナスが続いたのは、リーマン・ショックが重なった2009年1~3月期までの4四半期以来。自動車や携帯電話が低調だった。物価高によって消費者が節約志向を強めていることも背景にある。

【社会】「つばさの党」代表ら3人逮捕、他陣営の選挙を妨害した疑い 警視庁(5/17.Fri)

 4月にあった衆院東京15区補欠選挙で他陣営の街頭演説を妨害したとして、警視庁は17日、政治団体「つばさの党」代表の黒川敦彦(45)=埼玉県朝霞市=と、幹事長で補選に立候補し落選した根本良輔(29)=東京都練馬区=の両容疑者ら3人を公職選挙法違反(選挙の自由妨害)容疑で逮捕し、発表した。警視庁は特別捜査本部を設置し、全容解明を進める方針。選挙活動のあり方をめぐり議論を呼んだ行為は、団体代表らの逮捕に発展した。他陣営の選挙を妨害したとして候補者が逮捕されるのは極めて異例。警視庁は「限度を超えており、見過ごすことはできない」と判断した。

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