2024年05月13日

水俣「3分でマイクオフ」問題 社会人としての姿勢を考える【週間ニュースまとめ5月7日~12日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 水俣病患者らの団体と環境大臣の懇談の場で、環境省職員がマイクの音を切るなどして団体側の発言を遮った問題は、社会人として身に着けておかないといけない基本的な姿勢について考えさせられました。

 環境省職員は団体の人の発言は3分までとして、超えればマイクを切るという運用をあらかじめ決めていました。大臣の帰りの飛行機の時間を考慮した運用だったようです。この運用からみえるのは、環境省職員が向いていたのは患者団体の側ではなく大臣ということです。水俣病など公害問題には国の責任もあり、環境省はそうした公害問題に対処することを主目的としてできた役所です。当然、患者団体と真摯に向き合い、寄り添う姿勢が必要です。この場合、懇談会が長引くことも想定して、大臣が一泊するスケジュールにしておけば問題は起きなかったはずです。社会人になって仕事をするうえで考えなければならないのは、向き合う相手、つまり誰のためにその仕事をするのか、ということです。「上司のため」にする仕事は、いい仕事にはならないと思います。(ジャーナリスト・一色清)

(写真・発言を遮られた当事者たちに謝罪する伊藤信太郎環境相(右)=2024年5月8日、熊本県水俣市)

【社会】環境相、水俣で当事者に直接謝罪 マイクオフ問題で「反省したい」(5/8.Wed)

 水俣病患者らの団体と伊藤信太郎環境相の懇談の場で、環境省職員がマイクの音を切るなどして団体側の発言を遮った問題をめぐり、伊藤環境相は8日、熊本県水俣市を訪れ、発言を遮られた当事者らに直接謝罪した。「心からおわび申し上げたい」と述べた。伊藤環境相は、患者団体などでつくる水俣病被害者・支援者連絡会の山下善寛代表代行らと面会。集まった当事者らに対して「十分お話しいただけなかったことをお聞きしたい。今回のことを深く反省し、しっかり環境行政を進めたい」などと話した。

【経済】トヨタ、純利益4.9兆円 国内製造業で初の4兆円台 2024年3月期(5/8.Wed)

 トヨタ自動車が8日発表した2024年3月期決算(国際会計基準)は、最終的なもうけを示す純利益が4兆9449億円(前年比101.7%増)だった。SMBC日興証券によると、純利益では、ソフトバンクグループが企業への投資が奏功するなどして2021年3月期に出した4兆9879億円に次ぐ。国内製造業で初めて4兆円を超えた。トヨタグループに次ぐ世界販売2位の独フォルクスワーゲングループの3兆円弱(2023年)や、半導体生産世界最大手の TSMC (台湾積体電路製造)の約4兆円(同)を上回った。欧米などで電気自動車(EV)の販売に減速感が出る中、ガソリン車より環境性能や燃費に優れ、EVより手ごろ感のあるハイブリッド車(HV)が人気を集めた。

【労働】実質賃金、過去最長の24カ月連続マイナス 物価高続く(5/9.Thu)

 厚生労働省は9日、3月分の毎月勤労統計調査(速報)を発表した。物価の影響を考慮した働き手1人あたりの「実質賃金」は前年同月より2.5%減り、24カ月連続で減少した。比較可能な1991年以降で、2007年9月~2009年7月の23カ月連続を超えて過去最長となった。賃金の上昇を上回る物価高が続いている。今年3月分では、労働者が実際に受け取った名目賃金にあたる現金給与総額は、0.6%増の30万1193円だった。一方、実質賃金の計算に使う3月の消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)が3.1%上がり、この物価上昇分を差し引いた実質賃金はマイナスとなった。

【社会】核ごみ文献調査、佐賀県玄海町長が受け入れ表明 原発立地自治体で初(5/10.Fri)

 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の選定をめぐり、佐賀県玄海町の脇山伸太郎町長は10日、選定プロセスの第1段階の「文献調査」について、国からの実施の申し入れを受諾すると表明した。文献調査は北海道の寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村に次いで3例目となる。玄海町には九州電力玄海原発があり、原発の立地自治体では初めて。処分場の選定プロセスは3段階約20年に及び、文献調査はその入り口にあたる。市町村が応募するか、国からの申し入れを受諾することで実施が決まり、原子力発電環境整備機構(NUMO)が2年程度かけて地質などの資料を机上で調べる。文献調査を受け入れると、自治体の申請にもとづいて最大20億円の交付金が支給される。

【政治】「適性評価制度」法が成立 身辺調査で権限付与、情報漏洩に罰則(5/10.Fri)

 経済安全保障に関する重要情報の取り扱いを国が認めた人に限る「セキュリティークリアランス(適性評価)制度」を導入する法律が10日、参院本会議で与野党の賛成多数で可決、成立した。今後、政府が保有する経済分野の重要情報を保全指定するとともに、情報にアクセスする人に身辺調査を実施することになる。ただ、制度の詳細はなお不透明で、プライバシー侵害などの懸念は残ったままだ。国会審議では、保全する情報の指定範囲があいまいな点や、適性評価を拒否したり、不合格になったりした人が人事で不利益を受けるのではという疑問が相次いだが、こうした懸念は解消されていない。

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