2023年06月19日

異次元の少子化対策、年3.5兆円のお金はどこから?【週間ニュースまとめ6月12日~18日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 岸田政権が掲げる「異次元の少子化対策」の戦略方針が閣議決定されました。概要は先週配信した「時事まとめ」でも触れていますが(「異次元の少子化対策」具体策決定 知っておかなければ損をする!【時事まとめ】児童手当は所得制限を撤廃したうえで増額、授業料の減免や給付型奨学金を拡充、だれでも保育園を利用できる制度、育児休業を取りやすくする制度などが柱です。

 「時事まとめ」でも指摘していますが、問題は財源です。2028年度まで年3.5兆円規模のおカネが必要だとしていますが、どこから持ってくるのかは不透明な状態です。少子化対策のほかにも、防衛費についても大幅増額が決まっています。財源の裏付けをあたえる財源確保法は成立しましたが、こちらも野党から財源が不安定であると指摘されています。

 少子化対策といい防衛費といい、大盤振る舞いをすることだけが決まっていて、おカネをどうするかは後回しになっている状態です。おカネがなければ増税するか、ほかの歳出を削るかでやりくりするのが筋の通ったやり方ですが、これまでの日本は国債発行という名の借金に頼ってきました。その結果が先進国で最悪といわれる借金財政です。皮肉なことですが、少子化の要因のひとつには、明るい未来が見えない財政のあり方もあるのではないかと思います。(ジャーナリスト・一色清)

【政治】児童手当の所得制限撤廃は来年10月 年3.5兆円投入、首相が表明 (6/13.Tue)

 岸田文雄首相は13日、首相官邸で記者会見し、児童手当の拡充などを盛り込んだ少子化対策の「こども未来戦略方針」を発表した。2028年度までに取り組む「加速化プラン」で年3.5兆円規模を投じ、急激に進む少子化に歯止めをかけたい考え。歳出改革などで捻出する財源の詳細は年末に示す。将来にわたる安定財源を確保できるかが今後の焦点となる。戦略方針は、児童手当の所得制限を撤廃し、給付期間は高校生の年代まで延ばすと記した。さらに、第3子以降は給付額を月3万円に倍増するとした。首相は会見でこれらの対策を「来年10月分から実施したい」と表明した。

【社会】陸自射撃場で発砲か、2人死亡1人負傷 18歳の自衛官候補生を逮捕 (6/14.Wed)

 14日午前9時15分ごろ、岐阜市の陸上自衛隊日野基本射撃場で、「銃による負傷者がいる」と119番通報があった。捜査関係者などによると、訓練中に自衛官候補生が自動小銃を撃ったとみられる。岐阜県警によると、名古屋市の陸上自衛隊守山駐屯地所属の3人が病院に搬送され、男性隊員(25)と男性隊員(52)の2人が死亡し、別の男性隊員(25)が負傷したという。小銃を撃ったとして、男の自衛官候補生(18)が殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。岐阜県警によると、撃ったことは認めているという。のち、「取り押さえられそうになったから撃った」との趣旨の供述をしていることが捜査関係者への取材でわかった。(6/15.Thu)

【経済】アプリストアの開放義務化へ 政府、スマホ市場の寡占対策で新規制案(6/16.Fri)

 政府は、スマートフォンの基本ソフト(OS)やアプリの流通市場の寡占に対応する新たな規制方針をまとめた。米アップル社のiPhone(アイフォーン)を念頭に、自社のアプリストア以外からのアプリ入手を可能にすることを義務づける方針などを盛り込んだ。決済手段の制限も禁止する。早ければ来年の通常国会への法案提出を目指す。政府の「デジタル市場競争会議」が16日に、スマホ市場の評価と新規制方針をまとめた報告書を公表した。スマホのOSやアプリの流通市場はアップルとグーグルの2社による寡占状態が固定化し、手数料の高止まりなどの問題が指摘されている。政府は従来の独占禁止法などに加えて、競争を妨げる危険性が高い行為を前もって禁じる「事前規制」を競争政策に導入することで、競争圧力を高め、新規参入などを促したい考えだ。

【経済】トヨタEV電池などに計1276億円 経産省、支援第2弾を発表(6/16.Fri)
 
 西村康稔経済産業相は16日の会見で、経済安全保障推進法に基づく蓄電池半導体分野への支援を発表した。トヨタ自動車のEV(電気自動車)向け蓄電池開発に1178億円を補助するほか、生成AI(人工知能)開発に使われるクラウドサービスへの支援も決めた。重要物資や技術について、国内での安定供給を確保したい考えだ。トヨタはパナソニックと設立した「プライムプラネットエナジー&ソリューションズ」でEV向け蓄電池の開発を進めている。総額3300億円の事業に、政府は最大1178億円の助成を決めた。このほか、素材メーカーへの技術開発支援を含む計7件の助成額は1276億円にのぼる。西村氏は「蓄電池の国際競争は激化している。競争力や技術を日本でしっかり保有していきたい」と語った。

【国際】米国務長官が5年ぶりに訪中、中国外相と会談 首脳会談の地ならしか(6/18.Sun)

 米国のブリンケン国務長官は18日、中国を訪れ、秦剛(チンカン)国務委員兼外相と会談した。中国の気球が米本土に飛来した問題で延期していた訪中が、約4カ月遅れて実現した。悪化が続く米中関係の安定を目指し、首脳会談も視野に入れた対話の再開を図る狙いがある。米国務長官の訪中はトランプ政権下の2018年のポンペオ国務長官(当時)以来、約5年ぶり。ブリンケン氏は19日まで滞在し、外交部門トップの王毅(ワンイー)共産党政治局員と会談する見通しだ。

◆朝日新聞デジタルのベーシック会員(月額980円)になれば毎月50本の記事を読むことができ、スマホでも検索できます。スタンダード会員(月1980円)なら記事数無制限、「MYキーワード」登録で関連記事を見逃しません。大事な記事をとっておくスクラップ機能もあります。お申し込みはこちらから

アーカイブ

テーマ別

月別