2023年02月20日

H3ロケット打ち上げ中止 北朝鮮ICBM、中国の?気球にも不安【週間ニュースまとめ2月13日~19日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 先週のこの欄で、三菱重工業が国産ジェット旅客機「スペースジェット」の開発を断念したという残念なニュースを紹介しました。この週にも少し残念なニュースがありました。日本の新型ロケット「 H3」の初号機の打ち上げが「中止」となったことです。主エンジンは着火したものの、補助する固体ロケットブースターが着火しませんでした。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は「失敗ではない」として再挑戦を目指しており、その成功を祈りたいと思います。しかし、このトラブルが日本のロケット技術に不安を抱かせるものになったことは間違いありません。翌日、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射しました。最高高度約5700キロに達し、日本海に落下しました。国際宇宙ステーションなどの高度をはるかに超える遠い宇宙にまで届いています。とんでもない挑発行為ですが、その技術力は相当なレベルにあると認めざるを得ません。この週には日本の領空に入った外国の気球を打ち落とせるかどうかの議論が自民党や政府内でありました。防衛省は「打ち落とすことができる」という方針を明らかにしました。ただ、実際に日本に打ち落とせる能力があるかどうかはわかりません。アメリカが打ち落とした中国のものと思われる気球の高度は約18キロです。専門家によると、高度18キロといえば空気が薄く、戦闘機の飛行自体がむずかしいのだそうです。さらにものすごいスピードで飛ぶ戦闘機から止まっているようなスピードの気球にミサイルを命中させるのも至難の業だそうです。それができたのは、アメリカの戦闘機F22とパイロットがとても優秀だったからです。果たして日本はできるのでしょうか。日本の技術に不安を抱かせるニュースが続くと、どんどん弱気になっていきます。 (ジャーナリスト・一色清)

(写真・打ち上がらなかったH3ロケット初号機=2023年2月17日、鹿児島県の種子島宇宙センター、朝日新聞社ヘリから)

【科学】「ChatGPT」で法律相談 弁護士ドットコム、今春開始へ
(2/13.Mon)

 弁護士がウェブ上で無料相談に応じる「みんなの法律相談」を運営する弁護士ドットコムは13日、米新興企業オープンAIの自動応答システム「Chat(チャット)GPT」を使った新たな無料法律相談サービスを今春に始める方針を明らかにした。これまで蓄積した100万件以上の法律相談のやり取りを、人工知能(AI)に学ばせるという。チャットGPTは、AIを使って膨大なデータを学習。質問を入力すると、人間がつくったような自然な文章で回答するシステムだ。昨年11月に公開され、世界的に注目を集めている。

【経済】トヨタ自動車名誉会長の豊田章一郎さん死去、97歳 元経団連会長(2/14.Tue)

 トヨタ自動車名誉会長で、経団連会長を務めた豊田章一郎(とよだ・しょういちろう)さんが14日、心不全で死去した。97歳だった。半世紀以上にわたりトヨタの経営に携わり、同社を日本を代表するグローバル企業に育て上げた立役者だった。葬儀は近親者で執り行う。喪主は長男でトヨタ社長の豊田章男さん。後日、お別れの会を開く予定。数々の発明で知られた豊田佐吉氏の孫。トヨタで自動車事業を始めた豊田喜一郎氏の長男として名古屋市に生まれた。1947年に名古屋大工学部を卒業し、1952年に旧トヨタ自動車工業に入社した。社長を務めた約10年間に、故豊田英二会長とのコンビで国内でのビジネスの基盤を固めたほか、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)と共同でつくった会社「NUMMI(ヌーミー)」(米カリフォルニア州)の経営を軌道にのせた。トヨタ単独で米国や英国に工場をつくる決断をするなど、国際的な展開を一気に進めた。

【政治】気球が日本に侵入したら撃墜できる? 政府が武器使用ルール見直しへ(2/15.Wed)

 外国の気球が日本の領空に侵入した場合の対応をめぐり、防衛省は15日、自民党の国防部会と安全保障調査会の合同会議で、武器使用の要件を見直す考えを明らかにした。自衛隊法84条に基づく武器使用は「正当防衛」か「緊急避難」の場合に限られる。会議では気球の飛来が該当するのか「あいまいだ」との指摘が相次いだ。政府は日本の領空に外国の気球が許可なく侵入した場合は「領空侵犯となる」とし、自衛隊法84条に基づき自衛隊機が対応するとの見解を示している。浜田靖一防衛相は14日の記者会見で、「自衛隊機は空対空ミサイルを発射することも含め、武器を使用することができる」と説明した。

【科学】次世代の日本の大型ロケット「H3」打ち上がらず 主エンジン点火も (2/17.Fri)

 新型ロケット「 H3」の初号機が、17日午前10時40分ごろの予定時間に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上がらなかった。宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、主エンジンは着火したものの、固体補助ロケットブースターが着火しなかった模様。H3には地球観測衛星「だいち3号」を搭載していた。H3は現在の基幹ロケット「H2A」の後継機として、JAXAと三菱重工業が共同開発した液体燃料ロケットで、新規の大型ロケットの打ち上げは約30年ぶりだった。従来の1.4倍の推力で打ち上げる主エンジン「LE9」を開発。国際競争力を高めるため打ち上げ費用はH2Aの半額の50億円をめざしていた。JAXAは原因を調べ、予備期間の3月10日までの打ち上げをめざすとしている。

【国際】北朝鮮が弾道ミサイル発射、日本のEEZ内に落下か 防衛省など発表 (2/18.Sat)

 防衛省は18日、北朝鮮が同日午後5時21分ごろ、平壌近郊から大陸間弾道ミサイル(ICBM)級ミサイル1発を東方向に向けて発射した、と発表した。発射された弾道ミサイルは約66分飛翔(ひしょう)し、午後6時27分ごろ、日本の排他的経済水域(EEZ)内にあたる北海道渡島大島の西方約200キロの日本海に落下したものと推定されるとした。同省によると、飛翔距離は約900キロ、最高高度は約5700キロ程度と推定される。政府は落下したとみられる地点付近の航空機や船舶に情報を提供したところ、現時点で被害報告の情報は入っていないとしている。海上保安庁は船舶に対し、落下物に近づかないよう注意を呼びかけている。北朝鮮の弾道ミサイル発射は今年1月1日以来。EEZ内の落下は昨年11月18日以来で、12回目となる。

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