2021年12月13日

五輪外交ボイコット、民主主義サミット…深まる世界分断【週間ニュースまとめ12月6日~12日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 この週は、世界が分断され、対立が深まっていることを示すニュースが目立ちました。アメリカは来年2月に開かれる北京冬季オリンピックについて、中国の人権侵害に抗議するため「外交ボイコット」をすることを表明しました。イギリスやオーストラリアなどもそれに続きました。アメリカのバイデン大統領とロシアのプーチン大統領のテレビ電話による協議もありました。ロシアが軍隊をウクライナ国境に集めていて、緊張が高まっているためです。バイデン大統領が強く自制を促したにもかかわらず、ロシアがウクライナに攻め込むのではないかという見方は消えていません。週後半には、バイデン大統領が世界の111の国・地域を招待し、初めての「民主主義サミット」をオンラインで開きました。「民主主義対専制主義」の構図をつくり、民主主義のほうが優れていることをアピールしようという狙いです。中国やロシアはもちろん招待されませんでした。この1週間でアメリカと中国やロシアとの溝が一段と深まった感じがします。アメリカを中心とする西側とソ連を中心とする東側とがにらみあった冷戦が終わって30年ほどになりますが、再び冷戦が始まった感じがします。冷戦ならまだいいのですが、実際の戦争が起これば世界は大変なことになります。経済のつながりが深まっていることや、トップ同士のコミュニケーションが一応とれていることから、そんなことにはならないと思いますが……。(ジャーナリスト・一色清)

【国際】米政権、北京五輪の外交ボイコットを表明 「人権侵害ある」(12/6.Mon)

 米ホワイトハウスのサキ大統領報道官は6日の記者会見で、来年2月の北京冬季五輪にバイデン政権が政府当局者を参加させない「外交ボイコット」を実施することを明らかにした。サキ氏は記者会見で、「バイデン政権は、北京冬季五輪・パラリンピックにいかなる外交官、政府当局者の代表も送らない」と表明。「中国は新疆ウイグル自治区ジェノサイド(集団殺害)と人道に対する罪を現在も行っているほか、ほかの人権侵害もある」として強く非難した。

【国際】米ロ首脳がウクライナ情勢を協議 緊張緩和へ実質的な合意得られず
(12/7.Tue)

 米国のバイデン大統領とロシアのプーチン大統領が7日、国境付近でのロシア軍の兵力増強で緊迫が高まっているウクライナ情勢についてテレビ電話形式で協議した。バイデン氏は強い懸念を伝えたが、主張の対立は解消しておらず、先行きが見通せない状況が続いている。協議終了後に記者会見したサリバン米大統領補佐官によると、バイデン氏はウクライナの主権と領土の一体性を支持すると強調した。ロシアが兵力増強をエスカレートさせれば、欧州の同盟国とともに「強力な経済措置」で対抗すると明確に伝えたという。一方、ロシア大統領府の発表によると、プーチン氏はウクライナ国境での緊張について「ロシアに責任を押しつけるべきではない」と真っ向から反論。「NATO(北大西洋条約機構)こそがウクライナの領土を制圧しようと危険な試みをして、国境で軍事力を強化している」と述べた。

【社会】日大新理事長「田中氏と永久に決別、影響力を排除する」 会見で表明(12/10.Fri)

 日本大学の田中英寿前理事長(75)らが逮捕された事件を受け、日大は10日午後6時から、東京都千代田区の大学本部で記者会見を開いた。加藤直人新理事長(学長兼務)が一連の事件について「心よりおわび申し上げます」と語った。そのうえで、「(脱税容疑で逮捕された)田中前理事長と永久に決別し、その影響力を排除する」と宣言。前理事長には役員報酬、退職慰労金などは支払わないとした。また、背任事件の舞台となった大学出資の企業「日本大学事業部」については「清算を視野に対応する」と表明。外部有識者中心の「日本大学再生会議」を設置するとした。

【国際】バイデン氏「専制国家は自由の炎消せない」 民主主義サミットが閉幕(12/10.Fri)

 バイデン米大統領が111の国・地域の指導者らを招待したオンライン形式の「民主主義サミット」が10日、2日間の日程を終えて閉幕した。バイデン氏は演説で「専制主義国家は、世界中の人々の心の中で燃えさかる自由の炎を決して消すことは出来ない」と述べ、中ロを念頭に民主主義の優位性を強調。来年は対面式となる2回目のサミットを開く考えを示した。サミットでは、各国指導者らが「権威主義に対する防衛」「汚職への対応と闘い」「人権の促進」という三つのテーマに基づき、それぞれの国内情勢について報告し、民主主義を促進する考えを示した。サミットには、中国から外交軍事的圧力を受ける台湾も参加。10日には台湾のデジタル担当相のオードリー・タン氏が「デジタル権威主義への対処」というパネルディスカッションに参加し、「言論の自由によって完全に開かれた環境のもと、デジタル民主主義は栄える」と訴えた。

【経済】SBI、新生銀行TOBの成立発表 保有比率47%強で子会社化へ(12/11.Sat)

  SBIホールディングス(HD)は11日、新生銀行への株式公開買い付け(TOB)の結果、新生銀株の保有比率が47.77%になったと発表した。17日付で新生銀を連結子会社にする予定。旧日本長期信用銀行の破綻(はたん)で誕生した新生銀は、ネット金融大手の傘下に入る極めて異例の形で再出発し、引き続き公的資金の返済を目指すことになる。証券を中心に成長してきたSBIは、総合金融グループを目指して地方銀行と連携を深める一方、法人融資や消費者金融などに強みを持つ新生銀を傘下に収める方針を表明。約20%だった株の保有比率を最大48%まで高める狙いで、9月10日~12月10日にTOBを実施した。新生銀の株価は近年1000円台で低迷し、TOB開始直前は1440円だったが、TOBでは1株2000円で買い取るとした。

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