2021年08月02日

日本、ワクチン出遅れで低成長予測 「根拠なき楽観論」に注意【週間ニュースまとめ7月26日~8月1日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 就職活動をしていると、日本の景気が気になると思います。景気がよければ採用人数が増え、景気が悪いと採用人数が減るのが一般的です。コロナ禍で日本経済は2020年にはマイナス成長になりました。世界全体も同じ傾向で、中国を除く多くの国がマイナス成長になりました。国際通貨基金(IMF)が公表した最新の世界経済見通しでは、2021年の世界経済の成長率は前年比6.0%と大きなプラスを見込んでいます。一方、日本の成長率は2.8%と予想しています。世界は大きく成長するのに、日本は少ししか成長しないという見通しです。日本はワクチン接種に出遅れ、緊急事態宣言による行動抑制などの悪影響が他国より長く残ることが根拠のようです。日本のコロナ対応で感じるのは、政治指導者が楽観論に傾きがちなことです。「早期におさまる」「たいしたことはない」「日本はよくやっている」といったような楽観的な見通しが対応策から透けて見えます。その楽観論が対策を遅らせたり弱めたりして、経済にも悪影響を与えているのではないでしょうか。思い出すのは、バブルが崩壊した1990年代です。株価や地価が下がり始めても「遠くないうちに元に戻る」という楽観論は政治家や経営者にありました。順調に成長してきた戦後の日本経済の強さが身にしみている人たちは、新しい状況に頭を切り替えることができなかったのです。もちろん「大変なことになる」という悲観論を訴える人もいましたが、悲観論のほうが正しかったと多くの人が感じたのは、山一證券北海道拓殖銀行などが破綻した1997年でした。株価や地価が下がり始めて6~7年たっていました。人は信じたいことを信じる傾向があります。根拠なき楽観論には注意が必要です。(ジャーナリスト・一色清)

【社会】黒い雨訴訟、首相が上告見送り表明「被爆者手帳を交付」(7/26.Mon)

 広島への原爆投下後、放射性物質を含む「黒い雨」を浴びた住民ら84人全員を被爆者と認め、被爆者健康手帳の交付を命じた広島高裁判決について、菅義偉首相は26日、上告を断念する方針を表明した。国の援護対象区域から外れていても被爆者と認めた司法判断が、政治決着により、確定する見通しとなった。一審判決は、黒い雨に遭い、がんなどの疾病にかかれば被爆者にあたるとしたが、控訴審判決は疾病にかかわらず、幅広く被爆者と認める判断を示した。広島市などが推定する降雨地域は援護対象区域の6倍にあたり、この範囲で浴びた人は今も約1万3000人いるとされる。新たな申請者も予想され、国は援護行政の見直しを迫られそうだ。

【経済】世界経済、成長率は前年比6.0% IMFが見通し公表(7/27.Tue)

 国際通貨基金(IMF)は27日、最新の世界経済見通しを公表し、2021年の世界の成長率を前年比6.0%とした。先進国で見通しが改善した一方、発展途上国は悪化し、全体としては前回4月の予想を維持した。ただ、日本は緊急事態宣言による行動抑制などの悪影響を踏まえ、前回より0.5ポイント減の2.8%と先進国で最も大きな下方修正となった。日本は2020年の打撃は前年比4.7%減と先進国では平均的な水準だったが、2021、22年の成長率予想はそれぞれ2.8%、3.0%で、先進国で最も低い。ワクチン接種で出遅れ、2021年前半に経済の再開が十分進まなかったのが響いた。

【経済】米IT大手、記録的な業績 グーグルは過去最高益(7/27.Tue)

 米巨大IT企業の4~6月期決算発表が27日に本格化し、記録的な業績が相次いでいる。グーグルの親会社「アルファベット」は売上高と純利益が、四半期としての最高を更新。アップルの純利益は前年同期の2倍近くに上った。コロナ下で社会のデジタル化が大きく進み、もともと強い競争力を持つ巨大ITの業績を、さらに押し上げている。人々の消費や企業活動のネット上へのシフトで、グーグルの広告収入は前年同期比69%増に。アルファベットの4~6月期の売上高は同62%増の618億8000万ドル(約6兆8000億円)で、純利益は前年同期の2.7倍の185億2500万ドルに上った。米アップルも、iPhone(アイフォーン)の買い替え需要が好調で、4~6月期の売上高は同36%増の814億3400万ドル(約8兆9400億円)で、4~6月期の過去最高を更新。純利益は前年同期の1.9倍の217億4400万ドルに上った。米マイクロソフトは、企業向けのクラウド事業が大きく伸び、4~6月期の売上高は同21%増の461億5200万ドル(約5兆700億円)で、純利益は同47%増の164億5800万ドルに上昇。いずれも四半期の過去最高を更新した。

【社会】安倍前首相の不起訴、一部は不当  「桜」夕食会で検審(7/30.Fri)

 安倍晋三前首相の後援会が「桜を見る会」の前日に開いた夕食会の費用を政治資金収支報告書に記載していなかった事件で、安倍氏を不起訴とした東京地検特捜部の処分の一部について、東京第一検察審査会は「不起訴不当」とした。議決は15日付。関係者への取材でわかった。議決を受けて地検は改めて捜査する。再捜査で不起訴が維持された場合、検審の1度目の議決が「起訴相当」ではないため、強制起訴の可能性がある2度目の審査は行われない。夕食会は安倍晋三後援会の主催で、2013~19年に年1回、地元の支援者らを都内のホテルに招いて1人5000円などの会費制で開かれた。安倍氏は国会などで「ホテルが設定した額を参加者が払った。事務所や後援会の収入、支出は一切ない」と説明していたが、実際は会費だけでは賄えず、不足分は安倍氏側が補塡していた。

【政治】緊急事態宣言、首都圏3県と大阪府の追加決定 2日から
(7/30.Fri)

 政府は30日夕、新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言を埼玉、千葉、神奈川の首都圏3県と大阪府に出すことを正式決定した。宣言に準ずる「まん延防止等重点措置」は、北海道、石川、京都、兵庫、福岡の5道府県に適用する。いずれも期間は8月2日から31日まで。8月22日までの東京、沖縄に対する宣言期間も31日までに延長する。これにより緊急事態宣言の地域は、東京、沖縄を含めた6都府県に拡大される。菅義偉首相はこの日の政府対策本部で、「首都圏、関西圏でこれまでにない急激なスピードで感染が拡大している」と語った。また首相は、7月末までに65歳以上の高齢者の約8割が2回目のワクチン接種を終える見込みだと説明。「今後は若い世代の接種に注力する」と述べ、8月下旬には国民の6割超が1回目の接種、4割超が2回目の接種を終える目標を示した。

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