2021年02月22日

30年ぶり株価3万円で心配2つ…バブルの可能性と格差拡大【週間ニュースまとめ2月15日~21日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 株価が上がっています。東京証券取引所の株価をあらわす代表的な指標の日経平均株価は、3万円を超えて推移しています。バブル期といわれた30年前以来の水準です。株価が上がることは基本的にはいいことです。株主はもうかり、企業は価値が上がって金融機関からも市場からも資金を調達しやすくなります。こうしたことから景気にもいい影響を与えます。ただ、が上がるときに気をつけておかないといけないことがふたつあります。ひとつは、バブルの心配です。バブルとは、株価が企業の業績とかけ離れて上がることです。バブルであれば、いつかはじけます。今はコロナ禍で企業の業績にばらつきが大きくなっていますが、国内総生産(GDP)をみると新型コロナウイルスによる落ち込みからはだいぶん戻したものの、まだコロナ前の水準に戻っていません。ということは、平均すると企業の業績は決していいとは言えないはずです。つまり、今の株高はバブルの可能性があるということです。もうひとつは、貧富の格差が広がることです。株を持っている人はお金持ちが多く、年代でいうと高齢者が多くなります。恩恵は高齢の資産家に及びやすく、まだ資産をあまり持たない人たちに直接的な恩恵はありません。貧富の格差は世界的な大問題になっていますが、株高によりさらに拡大しているといえます。就活生の多くは株式会社に就職すると思います。「株って何」から始まって「資本主義って何だろう」と考えてみてください。(朝日新聞社教育コーディネーター・一色清)

(写真は、日経平均株価の終値が3万円超となったことを示す株価ボード=2021年2月15日午後、東京都中央区)

【経済】30年ぶり株高値 時価総額首位はトヨタ(2/15.Mon)

 15日の日経平均株価の終値は前週末比564円08銭高の3万0084円15銭で、1990年8月以来、約30年6カ月ぶりに3万円超となった。緊急事態宣言が続くさなかだが、15日公表の国内総生産(GDP)が市場の事前予想より良く、コロナ禍からの経済回復への期待が高まった。史上最高値の3万8915円をつけたのがバブル経済期の1989年12月。30年余りを経て8割の水準を回復したが、高値警戒感も強い。日経平均は昨年3月に1万6000円台半ばに落ち、1年足らずで約1.8倍に。コロナ禍の中で進む株高の要因は、中央銀行による金融緩和マネーや財政出動の下支えだ。低金利で、あふれたお金が投資先を求めて株へ流れている面がある。米国では追加経済対策の成立期待から、ダウ工業株平均が史上最高値を前週末に更新。国内でも製造業を中心に21年3月期決算の上方修正が続き、ワクチン接種が17日にも始まる見通しで先行き警戒感が和らいだ。日経平均の動きは輸出関連の大企業に左右されやすく、コロナ禍で苦しむ飲食・旅行など対人サービス関連銘柄の影響が小さい。15日の上昇率は日経平均1.91%に対し、東証1部全体の動きを示すTOPIXは1.04%にとどまった。

【社会】ワクチン国内接種始まる まず医療従事者4万人が対象(2/17.Wed)

 国内初となる新型コロナウイルスのワクチン接種が17日、医療従事者に対する先行接種から始まった。国立病院機構など全国100カ所の医療機関の計約4万人が受ける予定だ。うち2万人を健康調査の対象とし、この間に副反応などの情報を集め、4月以降、高齢者をはじめ幅広い住民の接種につなげる。厚生労働省によると、17日午後5時までに首都圏の8施設で計125人に接種が行われた。接種直後の死亡や「アナフィラキシー」と呼ばれる重いアレルギー反応は報告されていないという。100カ所の医療機関には19日までにワクチンが配送される予定。先行接種に使われる米製薬大手ファイザーとドイツのバイオ企業ビオンテックが開発したワクチンは短期間で特例承認され、国内の治験は約160人分で、副反応のデータなども少ない。このため政府は、先行する2万人の同意を得て健康調査をする。

【政治】島根知事、聖火リレー中止を提案へ 政府と都の対応不満(2/17.Wed)

 島根県の丸山達也知事は17日、「東京都や政府の対応が変わらない限り、知事として(県内の)聖火リレーの中止を検討する」と報道陣に述べ、5月に県内で開催予定の東京五輪の聖火リレーの中止を検討していることを明らかにした。理由について、東京都と政府が適切な新型コロナウイルス対策を講じていないためとしている。丸山知事は報道陣に、「感染拡大を問題のない範囲で抑える対応が東京都というエリアでできていない。(五輪をきっかけに)再び感染拡大が生じる可能性が高い。現状では五輪を開催すべきでなく、そのプレイベントである聖火リレーも県として協力することはできない」と述べた。県実行委員会は、丸山知事からの提案を受けて対応を検討する。

【社会】橋本聖子氏、組織委会長に就任「五輪成功に向け尽力」(2/18.Thu)

 女性蔑視発言で辞任を表明した東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会森喜朗会長(83)の後任に18日、橋本聖子五輪相(56)=同日付で辞任=が就任した。橋本氏はこの日、評議員会で理事に選任され、同日夕の理事会で理事の互選により会長に決まった。会長の後任を巡っては、理事ら8人で構成される候補者検討委員会(座長=御手洗冨士夫・名誉会長)が17日の第2回会合で橋本氏に一本化。大会関係者によると、橋本氏は受諾の意向を示し、18日午前の第3回の検討委に示された。検討委は18日午後の理事会で橋本氏を推薦し、了承された。

【社会】総務省、幹部2人を更迭 接待問題めぐる調査不備を謝罪(2/19.Fri)

 総務省の幹部4人が、 菅義偉首相の長男が勤める放送関連会社「東北新社」から繰り返し接待を受けていた問題で、総務省は19日の衆院 予算委員会で、接待の席で放送事業をめぐる発言があったことを一転して認め、調査の不備を謝罪した。総務省は首相の長男が「利害関係者」であることも認め、幹部のうち2人を事実上更迭した。総務省はこれまで、4人を調査した結果として、接待の会食で「東北新社の事業が話題に上ったことはないと思う」と国会に説明していた。職務上の利害関係者から金銭や物品をもらったり、接待を受けたりすることは国家公務員倫理規程に抵触し、懲戒処分の対象となる。

◆人気企業に勤める女性社員のインタビューなど、「なりたい自分」になるための情報満載。私らしさを探す就活サイト「Will活」はこちらから。

※「就活割」で朝日新聞デジタルの会員になれば、すべての記事を読むことができ、過去1年分の記事の検索もできます。大学、短大、専門学校など就職を控えた学生限定の特別コースで、卒業まで月額2000円です(通常月額3800円)。お申し込みはこちらから

アーカイブ

テーマ別

月別