2024年05月25日

【どうする? 自己分析③】「好き・嫌い」と「できる・できない」で行動を分析【就活のキホン】

テーマ:就活のキホン

 就職活動をはじめるうえで迷ってしまいがちな「自己分析」について、先達にツボを聞く好評連載。今回は探究型学習塾「知窓学舎」塾長をはじめ、教育分野を中心に幅広く活動する矢萩邦彦さんに話をうかがいました。近著『正解のない教室』(朝日新聞出版)ではリベラルアーツを通じ、変化が加速する現代社会で「自分で決められる力」をつける大切さを説いている矢萩さん。就職活動ではつねにたくさんの選択が迫られますが、そんなときに何をしたらいいか、具体的なアドバイスをいただきました。(編集部・福井洋平)

  

「自分がやりたいこと」と「自分がやるべきこと」の2軸を重視する

【プロフィール】
矢萩邦彦(やはぎ・くにひこ)
アルスコンビネーター/「知窓学舎」塾長/多摩大学大学院 客員教授。現場主義のパラレルキャリアとして、1つの専門分野では得にくい視点と技術の越境統合を探究する「アルスコンビネーター」。2万人を超える直接指導経験と多様な企業コンサル経験を活かし、大学院(MBA)では「実践リベラルアーツ論」を担当している。

 就職活動では、「軸」をみつけることが大切とよく言われます。時間や分野を超えて、自分の行動をずっと貫いてきたものが「軸」です。

 ただ、考えるべき軸は1本だけではありません。私は大学の総合型選抜に向けた指導も行っていますが、生徒には3つの軸で考えてほしい、と言っています。

・主体性の軸「やりたいこと―やりたくないこと」
・可能性の軸「できること―できないこと」
・社会性の軸「やるべきこと―やらなくてもいいこと」

 自己分析とは、自分にとってこの3つの軸は何かをみつけ、言語化する作業です。この3軸のバランスをとることで、自分はどこに進むべきかが見つけやすくなるのです。

 主体性の軸(「やりたいこと―やりたくないこと」)は比較的見つけやすいと思いますが、就活では社会性の軸(「やるべきこと―やらなくてもいいこと」)も考える必要があります。いくら自分の興味関心があることでも、それが社会性をもっていなければ、そもそも給料をもらえません。逆にいえば、お金が発生してお給料がもらえる仕事は、社会のなかにニーズがあるわけで、誰かがやるべきことなのです。そのなかで「自分が」やるべきことは何かを考え、「やりたいこと」とのバランスを考えて仕事を探していくのが就職活動です。

給料が発生している仕事は「やるべきこと」と考える

 仕事は「やるべきこと」=誰かの役にたっていること、という視点はぜひ大切にしてほしいと思います。「やりたいこと」と「やるべきこと」を両立させるためには自分で仕事をつくりだす、起業するという手もありますが、全員ができる方法ではありません。一方で、会社など既存の枠組みに入ると、基本的に仕事は降ってきますが自分の「やりたいこと」と離れていて大変だ、辛いと感じることも多いかもしれません。ただ、給料が発生する限りそれは誰かの役にたっている仕事であり、「やるべきこと」なんだと考えると、精神衛生の上でいいと思います。

 何が「やるべきこと」なのかは時代や環境によって変化しますし、「自分が」やるべきことかどうかは、自分がどういう人間か、どういう仕事が人よりもできるのか、を考えていくことで最適解が見えてきます。

 大学の総合型選抜に際しては、「できること」の軸に関しては今はできなくても、大学で学びながらできるようになれば良いので、「やりたいこと」「やるべきこと」だけ考えればいいと言っていますが、就活に際しては「できること」もある程度は考えたほうがいいでしょう。といっても仕事で求められる専門的なスキルは入社後にOJTで身につける会社も多いので、社会人としての最低限のスキルがあればいいと思います。「自分はこれができないから……」という理由で進路をせばめることはしないでください。

「好き、嫌い」と「できる、できない」の4象限で会社を分析

 会社を選ぶに際しては、「好き、嫌い」という軸と「できる、できない」という軸で4象限をつくり、自分のこれまでやってきたことをそのなかにあてはめていくことをおすすめしています。

・「好き」で「できる」ことは、自分の強みになります。自分の行きたい会社はそれを評価してくれるかどうかを考えてみましょう。
・「好き」だが「できない」ことについても今後強みになる可能性があります。これから自分が成長できそうか、自分の行きたい会社は成長ができる環境か、を考える必要があります。
ここをしっかり認識しないと、自分軸は見つけられません。
・「嫌い」だが「できる」ことは、今後会社でがまんしてやっていけるかを考えます。
・「嫌い」で「できない」ことは、アウトソースするなどして避けられるかを考えます。避けられないような環境だと、長く仕事を続けることは難しいでしょう。

「13歳のハローワーク」や「業界図鑑」など、たくさん仕事が並べられている本を使いそこに乗っている仕事をこの4象限で分けていくと、自分が選ぶべき仕事が具体的に見えてくるかもしれません。仕事についてのほか、「場所」や「人」についてもこの方法で分析すると、自分がとるべき行動がクリアに見えてくると思います。

仕事は「誰かとともにやること」というマインドを持つ

 仕事をみつけるうえでもうひとつ大切なことは、「誰かとともに働く」というマインドを身につけることです。仕事は基本的に一人だけでやることは少なく、チームの中で動くことで大きな成果をめざすもの。自分の軸をみつけることは大切ですが、そのうえで「誰かとともに働く」ことが仕事なんだと認識してほしいです。「自分はこのチームで、この部分で貢献できる」という意識につなげられれば、仕事に前向きに取り組めるでしょう。コミュニケーション能力よりも、マインドを持つことが重要です。

 「誰かとやっていく」マインドを養うためには、究極的には『一人でやっていくのは無理』と感じることが大事です。一人暮らしをしていれば、「一人ではできない」と感じることがどんどん出てくる。そういう経験を積むことで、仕事は誰かとやっていくほうがいいというマインドを養うことができます。

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