日本の社会インフラと言われるまでに成長したコンビニエンスストア業界が人手不足に苦しんでいます。深夜や未明に働く人が集まらず、24時間営業が難しくなっているのです。利用者からは24時間あいていなくてもいいという声が聞かれますが、コンビニ各社は売り上げが落ちることを恐れて、原則24時間営業の旗を降ろそうとしません。しかし、人口減少は今後も続きますし、留学生などの外国人労働力にも限界があります。日本にコンビニ1号店が開店して45年。店舗数はそのうち飽和すると言われながら未だに増えつづけていますが、店舗数の飽和より先に人手不足によって成長の限界が訪れる可能性が出てきました。
(写真は、時短実験を始めたセブン-イレブンの直営店=2019年3月22日午前0時40分、東京都足立区 )
店舗数の9割以上が大手3社
日本のコンビニの店舗数は5万5000店以上に上っています。大手はセブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンの3社で、店舗数の9割以上を3社で占めています。これにミニストップ、デイリーヤマザキ、セイコーマート、ポプラを加えてコンビニ主要7社と呼ばれています。
16時間超の労働時間で限界に
人手不足が注目されるようになったのは、大阪府東大阪市のセブン-イレブンの店主が人手不足のために24時間営業をやめて本部のセブン-イレブン・ジャパンと対立している問題が2月に明るみに出たからです。店主は働く人が見つからないため連日16時間を超える労働時間になり、やむを得ず営業時間を短縮したところ本部から契約解除と違約金1700万円を求められました。セブン-イレブン・ジャパンには「非人道的だ」などとする批判が寄せられ、セブン-イレブンは脱「24時間営業」の実験を全国各地の10店で始めました。この10店は本部の直営店ですが、大半を占めるフランチャイズ店でも今後実験することになりそうです。
経産省の調査では6割が「人手不足」
経済産業省はコンビニ加盟店のオーナーにアンケート調査をしました。その結果によると加盟店の6割で人手が足りておらず、4割がコンビニ本部に対して不満を持っていることが分かりました。4年前の同様な調査では「従業員が不足している」と答えたオーナーは2割ちょっとだったので、大幅に増えていることが分かります。
今、日本では人手不足、特に若い人手の不足が深刻になっています。人口減少と少子高齢化のためです。特に深夜や未明に働く人を確保するのは大変で、都会では時給が1000円を大きく超えています。すでにファミリーレストランや牛丼チェーンなどでは24時間営業をやめるところが増えています。
●日本最大の課題「少子高齢化・人口減」…企業はどうする?(面接で聞かれる!就活生のための時事まとめ一覧)参照
留学生は週28時間までしか働けず
人手不足解消の切り札に挙げられるのは、外国人労働者です。コンビニは現在でも、外国人にかなり頼っています。大手3社の従業員総数は約78万人で、うち外国人は7%弱です。その大半は留学生のアルバイトで、原則として週28時間までしか働けません。外国人労働者の受け入れを拡大する改正出入国管理法(入管法)が4月1日に施行されます。業界では新たな在留資格の対象業種にコンビニを盛り込むよう要望していましたが、対象になりませんでした。
(写真は、ローソンが開いた留学生向け研修。接客のポイントを聞いて、実際にやってみた=2018年5月27日、東京都新宿区下落合2丁目 )
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