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2017年09月26日

社会

日本最大の課題「少子高齢化・人口減」…企業はどうする?

人口は2008年がピーク

 少子高齢化と人口減少は、これからの日本の社会にとって最大の課題の一つです。子育てしやすい環境作りなどで多少の変動があったとしても、大きな流れは変えようがなく、確実に進んでいく問題でもあります。安倍晋三首相(写真)も「最大の課題」と位置づけ、幼児教育の無償化などを公約に掲げました。

 日本の人口は2008年の1億2808万人がピークで、今は1億2700万人ほどに減りました。生まれる子どもの数が減る一方、高齢者が増えて死亡する人の数のほうが多くなったためです。人口を維持するには、女性が一生に産む子どもの数を示す合計特殊出生率2.07が必要ですが、2016年の出生率ははるかに少ない1.44。かつて出生数は毎年200万人を超えていましたが、2016年に初めて100万人を割りました。

27%超が高齢者

 長寿化も進んでいます。日本は世界でトップを争う長寿国です。総務省によると、65歳以上の高齢者人口(9月15日現在)は3514万人、総人口に占める割合は27.7%にのぼりました。80歳以上は1074万人、90歳以上は初めて200万人を超えました。高齢者は今後も25年以上増え続け、2035年には3人に1人になり、2060年には総人口の4割を占める見込みです。

 これから数十年、日本の人口は近代ではどの国も経験したことのないスピードで減り続けます。出生率が今のままなら2053年に1億人を割ると予想されています。

人口が減ると…

 単純に考えると、人口が減るとそのぶん需要や消費は減ります。売れる食品の量も、車の数も、旅行する人も減るでしょう。15歳から64歳の生産年齢人口も減るので、生産力も落ちます。放っておけば、成長は難しくなり、日本の経済規模が小さくなるのも避けられません。

 そこで、政府は50年後の「人口1億人維持」を目指し、結婚して子供を産みたい人の希望がかなえられた場合の「希望出生率 1.8」を2020年代半ばに達成する目標を掲げています。「結婚したくても経済的事情でできない」「仕事を続けながら子育てができない」という人たちが希望をかなえられるよう、非正規雇用の待遇改善、保育所の整備、仕事と育児が両立できる環境整備などに取り組んでいます。

 働き手を増やすには、女性が出産後も働きやすい環境を整える、定年を延長してシニア層にもっと働いてもらう、などが考えられます。外国人労働者の受け入れも一部進んでいますが、本格的な移民の受け入れには世論の抵抗が強いため、日本では当分実現しそうにありません。

ビジネスチャンスも

 増えるにせよ減るにせよ、「変化」が起こるところには新たな需要が生まれ、ビジネスチャンスもあります。 総人口が減っても、高齢者の数は当分増え続けますから、お年寄り向けの市場、高齢化社会を支えるビジネスは確実に大きくなるわけです。

 どんな市場が大きくなるでしょうか。介護、医療産業はますます重要になり、健康に関わる事業や健康食品も伸びるでしょう。元気な高齢者が増えるため、スポーツや旅行、レジャー、エンターテインメントでも高齢者向けの商品、サービスの需要が増えそうです。シニア世代は教育費や住居費の負担が少なく、所得を消費に回せる人の割合が高いのが特徴です。60歳以上の消費支出額は2011年に100兆円を超え、消費全体のほぼ半分を占めるようになりました。自動車のホンダが福祉機器市場に乗り出すなど、さまざまな業界・企業が「100兆円市場」に参入しています。

 高齢化にともなって1人だけの単独世帯が、2010年の32.4%から2035年には37.2%に増えると見込まれています。生涯結婚しない人も増えているので、一人暮らし用の住宅、家電、食品など「おひとり様」向けグッズやサービスは伸びるでしょう。子ども向けの産業も縮むばかりではありません。数は減るものの1人の子どもにかけるお金は増えている面もあります。たとえば、受験生の数は減っていますが、親が子ども1人にかける教育費はむしろ増加傾向にあります。

 世界に目を向けると、60歳以上の割合は先進国で今の23%から2050年には32%に、アジアでは11%から24%に増える予想です。日本は「高齢化先進国」ですから、高齢者向けビジネスの海外展開にも期待できそうです。

 人口が減っていく日本の将来を考えることは、みなさんの将来を考えることです。さらに、志望する業界、企業が、少子高齢社会でどんな影響を受け、どうしたら生き残っていけるのか、どんなビジネスチャンスがあるか、考えてみてください。どんな戦略を描き、どうしたら利益を出していけるか、企業のホームページも参考に考えてみましょう。志望動機にもつながるうえ、面接で語れればポイントアップ間違いなしです。