長命草で資生堂とタッグ 与那国島、雇用生む産業の柱に(2016年7月2日朝日新聞朝刊)
日本最西端の与那国島(沖縄県与那国町)で、サトウキビに迫る勢いで生産が伸びている作物がある。長命草(ちょうめいそう)だ。セリ科の野草で、かつては栽培する島民もいなかったが、高い栄養価に注目した化粧品大手の資生堂が健康食品の原料に採用。化粧品への応用も決まり、離島を支える特産品に育ちつつある。
日本最西端の与那国島(沖縄県与那国町)で、サトウキビに迫る勢いで生産が伸びている作物がある。長命草(ちょうめいそう)だ。セリ科の野草で、かつては栽培する島民もいなかったが、高い栄養価に注目した化粧品大手の資生堂が健康食品の原料に採用。化粧品への応用も決まり、離島を支える特産品に育ちつつある。
(写真は与那国島で長命草を栽培する杉本和信さんと資生堂の前田利子さん)
「1株食べると、1日長生きするという言い伝えがある」という長命草。日本最西端の与那国島がその長命草で村おこしをしているというニュースです。かつては人が育てる作物ではないと言われていたそうですが、生産額はこの10年で20倍に、長命草を洗浄する工場では約10人が働くなど島に雇用も生んでいるといいます。人だけではなく、村の命も元気にする草だったのですね。
2006年に資生堂の社員がこの島を訪れたことが、長命草ブレークのきっかけとなりました。「資生堂ならではの青汁を作るために当時、一般的な大麦若葉ではなく特別な原料を探していました」と記事中にあります。化粧品業界は少子高齢化が進んで国内市場は頭打ち。海外に活路を見いだそうとしていますが、欧米系の巨大企業が保有する大ブランドに比べて知名度は低く、まだ軌道に乗っているとは言い難い状態です。そんな中、活路となりうるのが健康食品。高齢化が追い風になる商品でもあり、マーケティングリサーチ会社インテージの調べでは2015年度の健康食品・サプリメント市場の推定規模は1兆5785億円で前年から約3%増加。その中でも「美肌・美ケア」目的の商品が1432億円と最も多く、次いで「健康維持・増進」目的商品が1307億円となっています。資生堂のHPを見ると、長命草は「ビタミン、ミネラル、食物繊維など大自然が育んだ美容成分をバランスよく含有しています」とのこと。今もっとも伸びている市場に向けた商品であることがよくわかりますね。
健康食品にはいくつかの表示制度があります。安全性や効果を国が審査して消費者庁長官が許可する「特定保健用食品(トクホ)」、12種類のビタミンと5種類のミネラルについて事業者が表示する「栄養機能食品」、国に対して届け出をすれば表示ができてトクホよりも手続きが簡単な「機能性表示食品」などです。業界を志望する人はもちろん、消費者としてもぜひ知っておいてほしい分類です。「今日の朝刊」でも何度か特集していますので、これを機会に読んで下さい。
2024/11/21 更新
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