「紙箱」のぞけば仮想現実 大日本印刷も参入(2016年3月12日朝日新聞朝刊)
大日本印刷は、仮想現実(バーチャルリアリティー、VR)の映像を簡素な「紙箱」で楽しめる装置に参入する。VRはゲーム業界で話題を集めるほか、観光施設やイベント、ショールームなどでの活用が広がっており、VR映像の制作とともに企業に売り込む。
大日本印刷は、仮想現実(バーチャルリアリティー、VR)の映像を簡素な「紙箱」で楽しめる装置に参入する。VRはゲーム業界で話題を集めるほか、観光施設やイベント、ショールームなどでの活用が広がっており、VR映像の制作とともに企業に売り込む。
印刷業界、と聞くと皆さんどんなイメージを持ちますか? インクの匂いが漂い印刷機の音が響く工場で、刷り上がった紙を黙々とチェックしていく……という光景を思い浮かべる人も多いかもしれません。もちろんそういう仕事が印刷業界のメインではありますが、特に大手の印刷会社は記事にあるように、「印刷」というイメージから相当にかけ離れた最先端ビジネスも数多く手がけているのです。
日本の印刷業界は凸版印刷(2014年度売上高1兆5269億円)と大日本印刷(同1兆4621億円)の2社がシェアトップの座を争っています。ちなみに大手出版の一角である講談社の2014年度売上高(単独)は1190億円といいますから、いかに2社の売り上げ規模が大きいかがわかりますね。
今回の記事に登場する大日本印刷に関する最近のニュースを拾ってみると、その事業内容の広さが見えてきます。
「大日本印刷との連携協定に調印 コスメ構想で県など/佐賀県」(2016年3月8日朝日新聞佐賀版)
佐賀県の唐津・玄海地区を化粧品製造の拠点にする構想実現に向け、大日本印刷と佐賀県などが連携するというニュースです。大日本印刷と化粧品を共同で開発し、試作品を大日本印刷が提供するサービスを通じて市場に訴える、といった連携を予定しています。
「電子書籍、速読のカギは 大学と共同研究」(2016年2月16日朝日新聞朝刊)
スマホやタブレットで電子書籍を読むスピードを上げる研究を大学と進め、展開しているネット書店で扱う電子書籍を読むためのアプリに活かす計画をたてているとのことです。
「対サイバー攻撃、イスラエルと協力強化 日本の企業団、見本市初出展」(2016年1月27日朝日新聞朝刊)
この記事によれば、大日本印刷はサイバー攻撃の防御方法を学べるイスラエル防衛企業のソフトの代理店販売を、日本で始めているそうです。
電子書籍はわかりますが、化粧品からサイバー攻撃対策ソフトまで扱っているとは驚きですね。紙への印刷技術が看板や電子媒体の製作に発展し、それらを使った効果的な広告効果を考えるところからマーケティングのノウハウが蓄積され、セールスプロモーションなども手がけるように……大日本印刷も凸版印刷も、このようにして業務の多角化をどんどん進めていったわけです。凸版印刷については「人事のホンネ」でロングインタビューをしていますので、ぜひそちらも読んで下さい。
もしこれまで印刷業界に興味のなかった人は、ぜひこの記事をきっかけに興味を持ってほしいと思います。「そんなの知ってるよ~」という人も、自分が興味のない企業が実は意外な事業分野を持っていたり展開を考えている可能性があることを視野に入れて、企業や業界研究の幅をできるだけ広げてください。
2024/10/13 更新
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