味の素「労働時間を1日20分短縮」春闘で労組に回答 (2016年3月9日朝日新聞朝刊)
味の素が2016年春闘で、労働組合の要求に応えて、所定労働時間を1日当たり20分短縮すると回答した。2017年4月から、現在の7時間35分を7時間15分にする。同社は月1万4000円以上の実質的なベースアップになると試算している。
味の素が2016年春闘で、労働組合の要求に応えて、所定労働時間を1日当たり20分短縮すると回答した。2017年4月から、現在の7時間35分を7時間15分にする。同社は月1万4000円以上の実質的なベースアップになると試算している。
年間では1人当たり80時間の短縮になるそうです。会社側のねらいとして、記事は「子育て中の人や外国人、障がい者らが働きやすい環境を整え、多様な人材を確保したい」としています。対象になるのは、管理職を除く社員2500人。味の素の年間売上高は1兆66億円(2015年3月期)にのぼりますが、このうち海外での売り上げが47%を占めます。全世界130カ国・地域に事業展開しているといいます。グローバル企業なのですね。
2月3日の朝日新聞朝刊に「(教えて! 春闘8)賃金以外も交渉しているの?」という解説記事があります。「異動前の家探しの費用」とか「5日連続の長期休暇を分割で取れるようにする」など、今年の春闘で労働側が求める「待遇改善」は賃金アップ以外にも幅広いといい、背景に「長時間労働が社会問題になったり、女性の社会進出が進んだり」といった環境変化があると指摘しています。厚生労働省の統計があげられていますが、日本での1人当たりの年平均の労働時間(事業所得規模5人以上)は1741時間。経済協力開発機構(OECD)のデータで国際比較すると、ドイツより360時間も長いそうです。
グローバル企業ならなおのこと、ジャパン・スタンダードに立っていたら優秀な人材の確保は難しいですね。味の素の時短も、グローバル(といっても先進国ですが)スタンダードを意識しているといってよいでしょう。かつて日本では労働慣行として「休日をお金で買う」ようなことが行われていましたが、いまは、はやりません。ブラック企業なんていう評判が立てば人は集まらない。ワーク・ライフ・バランスに配慮できない企業は、就活戦線では苦戦を強いられるでしょう。中堅企業のなかには、「従業員の満足度120%を目指す」とか「従業員の笑顔がお客様の笑顔に」などのモットーを掲げるところもあります。従業員が気持ちよく働けることが、生産性を高める。そういう思想が根付きつつあるのでしょうか。そればかりを指標にするのはどうかと思いますが、「働きやすい会社かどうか」も、見極めてください。
2024/11/21 更新
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