「NOTTV」来年6月終了(2015年11月28日朝日新聞朝刊)
NTTドコモは27日、自社のスマートフォン向け有料放送「NOTTV(ノッティーヴィー)」を来年6月末で終えると発表した。インターネットの有料動画に押され、利用者が目標の約25%しか集まらず、赤字が続いていた。国内初のスマホ用の放送局として話題を呼んだが、4年で歴史に幕をおろす。
NTTドコモは27日、自社のスマートフォン向け有料放送「NOTTV(ノッティーヴィー)」を来年6月末で終えると発表した。インターネットの有料動画に押され、利用者が目標の約25%しか集まらず、赤字が続いていた。国内初のスマホ用の放送局として話題を呼んだが、4年で歴史に幕をおろす。
ビジネスにおいて失敗は責められるべきものではありませんが、失敗を「繰り返す」ことは避けるべきです。会社の公式HPやパンフレットと違い、新聞のニュースにはいろいろな「失敗事例」が載っています。なぜ失敗したのか、繰り返さないために何をすべきか――。ニュースを材料にそういう思考を養うことは、ビジネスの現場で戦う時に大きな力になるでしょう。
ということで、「NOTTV」。スタート当時はAKB48を使いテレビで大きく宣伝していたので知っている人も多いと思いますが、たった4年で撤退を余儀なくされました。失敗の原因についてこの記事では①見たい時に見られる「オンデマンド動画」の普及と②専用チューナー内蔵の端末しか使えず半数以上の機種が対応していないこと、の2点をあげています。①については2015年9月3日の今日の朝刊「進むTV・IT連携!『定額見放題』で関連業界激変?」にまとめていますので、ぜひ読んでください。NOTTVを手がけるNTTドコモもオンデマンド動画サービス「dtv」を提供しており、すでにNOTTVを上回る会員数を獲得しているのは皮肉なことです。
②についてはどうでしょう。NOTTVのサービスは、2011年に終了したテレビのアナログ放送に使われていた周波数帯(VHS帯)を使っています。もともと放送に使っていた周波数のため携帯電話だけでは受信ができず、専用チューナーが必要となりました。ドコモの事業のためソフトバンクやauの対応は鈍く、iPhoneの取扱をはじめてからはドコモ対応携帯の中でもNOTTV非対応機種の割合が増えていくことに。結果、十分に視聴者を集められませんでした。
YouTubeやAmazonなど、ネット界でシェアを制圧したサービスはハードウェアに依存する度合いが限りなく低いものばかり。専用端末というハードウェア上の制約は致命傷となりました。またソフト面でもオンデマンドサービスの拡大など「視聴者が見たいものを見る」というニーズの高まりに対応できず、「制作者側が見せたいものを見せる」という旧来のテレビ局の発想から抜け出せないままでした。
失敗の原因はほかにもいろいろあると思いますが、ならばどうすれば成功できたのか、いろいろ研究してみるのも面白いでしょう。失敗から学ぶものは、企業でも個人でも必ず強くなります。
2024/11/21 更新
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