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2015年12月04日

日立が業績回復の〝秘訣〟ノウハウをビジネスに

家電・総合電機

コスト減のノウハウ販売 日立製作所(2015年12月1日朝日新聞朝刊)

 日立製作所は、リーマン・ショック後の業績回復を支えた社内のコスト削減策のノウハウを、他社に販売する。顧客は主に海外展開する日系の製造業。コンサルティングサービスに加え、必要な機器の販売も狙う。サービスの3本柱は①全社的な改革の計画づくり②物流や調達、生産などテーマごとの改革の計画作り③改革の実行。

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 メーカーの日立製作所がコンサルティング・ビジネスに進出、しかも自社のコスト削減策を売り込むというのだから、画期的ですね。日立グループは「Hitachi-Smart-Projectと名付けた『抜本的な構造改革』」(日立製作所HPより)を実施してきました。同社によると、2011年度から2015年度にかけて累計コスト削減額4200億円を目標に掲げ、2014年度までに3200億円のコストを削減するといいます。計画では2013年度までに3100億円削減が目標だったので、それを上回るペースですね。

 この実績がなによりのセールスポイント、というわけです。目標達成が見えてきたいま、これをビジネスにしない手はない。その手法は、たとえば生産コストは生産拠点の集約やITを利用した情報の可視化で、原材料などの「直接材」のコストは世界的に調達拠点を広げたりすることで、それ以外はコストの可視化や財務、間接材(オフィス用具や工具、装置など原材料以外の購買品)調達業務などでのアウトソーシング活用などでそれぞれ削減する、とのことです。ありとあらゆる分野をまるごと見直した結果がみごとに数字に現れ、そのノウハウの蓄積が企業の財産となりました。

 日立の2015年3月期末の営業利益は6004億円と過去最高を記録しています。さらに2015年4~6月期決算では、売上高に占める海外の比率が、四半期決算として初めて国内を上回りました。グローバル化でも一歩先をゆく企業として、海外展開のコツを学びたい日系メーカーは多いはず。このコンサルタントビジネスは化けるかもしれません。あらゆるところにビジネスのタネはあるものなのですね。新しい分野に果敢にチャレンジする。学生のみなさんにも学んでほしい精神です。

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