2024年07月08日

防衛産業と自衛隊の癒着が明らかに 特別防衛監察を実施へ【週間ニュースまとめ7月1日~7日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 日本政府はいま、防衛費を増やす方針を打ち出しており、防衛産業には追い風が吹いています。たくさんの関連会社の業績が好転し、株価が上がっています。しかし、この週には防衛産業と自衛隊との露骨な癒着ぶりがニュースになりました。報道によると、海上自衛隊の潜水艦を建造している川崎重工業が下請け企業との架空取引で裏金を作り、そのカネで潜水艦乗組員らに対して物品を供与したり飲食代を負担していたりしたそうです。大阪国税局の税務調査で裏金の存在がわかったもので、裏金作りは約20年前から始まり、最近では年間1億数千万円にもなっていたようです。供与した対象は幹部自衛官から一般乗組員まで多数ということで、防衛省側の潜水艦関係者を丸抱えでもてなしていたと考えられます。

 この問題については、防衛省が特別防衛監察を実施すると発表しています。防衛省が高い買い物をすることにつながっているとすれば、税金の無駄遣いということになります。防衛産業は唯一の得意先が防衛省という特殊で閉鎖的な構造の業界なので、こうした癒着構造がほかにもあるかもしれません。幅広く調べてほしいと思います。(ジャーナリスト・一色清)

(写真・潜水艦など様々な船が係留されている川崎重工業神戸工場=2024年7月4日、神戸市中央区/朝日新聞社)

【社会】新たなデータ流出か サイバー攻撃を受けたKADOKAWAが発表(7/2.Tue)

 サイバー攻撃による大規模システム障害が起きている出版大手 KADOKAWA は2日、サイバー攻撃を仕掛けた集団が同社の保有する情報を新たに流出させたと主張していることを確認し、調査していると発表した。この集団は「BlackSuit(ブラックスーツ)」を名乗る。2日未明、発信元の特定が難しい「ダークウェブ」上の犯行声明に、新たな情報のダウンロード先とみられるリンクを追加した。KADOKAWAは6月8日未明から大規模なシステム障害に見舞われた。ランサムウェア(身代金ウイルス)によりサーバーのデータが暗号化されたといい、事業に影響が出ている。サイバー犯罪集団が6月27日、自らの関与を主張する犯行声明を公表。KADOKAWAは翌28日、取引先との契約書や子会社ドワンゴの全従業員の個人情報などが外部に流出したことを確認したと発表していた。

【社会】旧優生保護法は「違憲」 国に賠償命じる 最高裁、除斥期間適用せず(7/3.Wed)

 旧優生保護法(1948~96年、旧法)の下で不妊手術を強制されたのは憲法違反だとして、障害者らが国に損害賠償を求めた5件の訴訟の上告審で、最高裁大法廷(裁判長=戸倉三郎長官)は3日、旧法を「立法時点で違憲だった」とし、国に賠償を命じる判決を言い渡した。不法行為から20年で賠償請求権が消える「除斥(じょせき)期間」については、旧法による人権侵害の重大性に照らし「今回適用するのは著しく正義・公平の理念に反する」と判断した。5訴訟の原告に限らず、強制不妊手術の被害者の救済に全面的に道を開いた。「違憲」は15人の裁判官全員一致の結論。最高裁が法令を違憲と判断したのは戦後13件目で、立法時点で違憲だと明示したのは初めて。

【国際】新紙幣が20年ぶり発行  初日は1.6兆円、機器の更新一部に遅れ(7/3.Wed)

 日本銀行は3日、新たな紙幣の発行を始めた。1万円札は「資本主義の父」と呼ばれる実業家の渋沢栄一、5千円札は女性の地位向上に尽くした津田梅子、千円札は破傷風の治療を確立した北里柴三郎の肖像となる。刷新は2004年以来20年ぶり。前回は1年間で、流通するお札の6割ほどが新紙幣に切り替わった。

【社会】川重、裏金で海自潜水艦部隊の物品多額負担か 大阪国税局が調査(7/3.Wed)

 海上自衛隊の潜水艦を受注する「川崎重工業」(本社・神戸市)が潜水艦の乗組員らに対し、下請け企業との架空取引で捻出した裏金を使って多額の物品や飲食代を負担していた疑いのあることが、関係者への取材でわかった。税務調査した大阪国税局がこれまでに十数億円の裏金作りを把握し、重加算税を含む追徴税額は少なくとも約6億円に上るとみている。川重の防衛関連の契約は年間約2千億円に上る。防衛省は3日、自衛隊員倫理法違反の疑いで調査を実施していると発表した。川重は、海自の潜水艦建造を「三菱重工業」(本社・東京)と交代で受注している。現在就役している22隻のうち半数が川重製だ。

【国際】英スナク首相、保守党の党首を辞任へ 労働党が単独過半数を獲得(7/4.Thu)

 英国で4日に実施された下院(定数650)の総選挙で、与党・保守党が歴史的な大敗を喫した。最大野党・労働党が単独過半数を獲得し、14年ぶりに政権を担う。キア・スターマー党首(61)が5日、首相に就任した。法曹界出身のスターマー氏は2020年4月に党首に就任した。コービン前党首は鉄道や水道の国有化を掲げる急進左派路線を取り、2017、19年の総選挙で連敗したことから、スターマー氏は穏健・中道路線に転換。今回も目立つ公約は掲げず、慎重に選挙戦を進めた。

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