2023年11月27日

イエメン反政府組織が日本企業運航の船を乗っ取り 今後の展開は?【週間ニュースまとめ11月20日~26日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 イスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘は一時休止で合意されましたが、戦闘が終わる道筋はまだ見えません。戦闘がさらに拡大し、中東全体が不安定になる心配はまだあります。

 そうした中、イエメンの反政府武装組織フーシによって紅海を運航中の自動車運搬船が乗っ取られました。フーシは親イランの組織で、イスラエルを敵視しています。船の所有者はイギリス企業ですが、その親会社の株主にイスラエル人の富豪がいるということで、フーシはイスラエルへの軍事作戦の一環だとしています。運航は日本郵船がおこなっており、日本も無関係ではありません。

 中東での船の運航で日本がもっとも恐れる事態は、ペルシャ湾の出口にあるホルムズ海峡が封鎖されることです。ホルムズ海峡はイランとオマーンに挟まれた狭い海峡で、イランやクウェートやサウジアラビアの原油を積んだタンカーが通る場所です。中東での戦闘が拡大し、イランが当事国になった場合、西側の国を困らせるために海峡を通れないようにすることはあり得ます。日本の原油の9割以上は中東に依存していて、その多くはホルムズ海峡を通って運ばれてきます。日本の輸入原油の大半がストップする事態になるのです。今の段階でそれは心配しすぎかもしれませんが、エネルギーや食料を外国に頼っている日本の基盤はけっこう脆弱だということを知っておきましょう。(ジャーナリスト・一色清)

(写真・イエメンの反政府武装組織フーシの駐イラン大使、イブラヒム・デレミ氏。勤務する大使館の応接間で朝日新聞の取材に応じた=2023年11月22日、テヘラン)

【国際】イエメンの親イラン組織、日本郵船の船乗っ取る イスラエル公表(11/20.Mon)

 イスラエル軍は19日(日本時間20日)、中東イエメン沖の紅海で、トルコからインドに向かう貨物船が、親イラン組織でイエメンの反政府武装組織フーシによって乗っ取られたと明らかにした。イスラエル首相府は、船の所有者は英国企業で、日本の会社が運航していると公表した。乗っ取られたのは日本郵船が運航する船。同社によると、この船は自動車運搬船「ギャラクシー・リーダー」で、英国の会社が所有し、日本郵船がチャーターしている。日本人の乗組員はいないという。19日午後9時過ぎ、同社に「拿捕(だほ)されているようだ」と連絡があったという。フーシはパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスと同じく親イラン組織。フーシは声明で、イスラエル軍によるガザ侵攻への対抗措置として、船籍や運航会社、所有者がイスラエル系の船を標的にすると宣言していた。

【国際】イスラエルとハマス、人質50人解放へ 戦闘休止4日間と引き換えに(11/22.Wed)

 イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスは22日、イスラエル人の人質50人の解放と引き換えに戦闘を4日間休止することで合意した。両当局などが発表した。イスラエルはパレスチナ人受刑者150人を解放する。人質の解放は早ければ現地時間の23日朝にも始まる見込み。交渉はイスラエルと事実上の同盟国である米国と、ハマスとつながりをもつカタールが仲介役となって進められた。戦闘休止中はガザ地区全土での軍事行動を停止。北部では各日午前10時~午後4時の6時間、南部では全日、上空での活動も止める。

【国際】北朝鮮、軍事偵察衛星打ち上げに「成功」 軌道に「正確に進入」報道 (11/22.Wed)

 北朝鮮の朝鮮中央通信は22日未明、軍事偵察衛星を21日夜に打ち上げ、「成功した」と報じた。衛星を軌道に「正確に進入させた」と主張している。金正恩(キムジョンウン)総書記が現地で立ち会ったという。同通信によると、北朝鮮の国家航空宇宙技術総局が21日午後10時42分ごろ、同国北西部・平安北道の西海衛星発射場から、偵察衛星「万里鏡1号」を新型の運搬ロケット「千里馬1型」に載せ、発射したという。ロケットは予定の軌道を正常に飛行し、同日午後10時54分ごろに衛星を「軌道に正確に進入させた」としている。同局は「今後、早い期間内に数個の偵察衛星を追加発射する」との方針も示した。

【経済】東芝の臨時株主総会、手続き可決 12月の上場廃止が確実に(11/22.Wed)

 東芝は22日、東京都内で臨時株主総会を開き、上場廃止に向けた手続きを進めることを可決した。12月20日に予定していた上場の廃止が確実となった。東芝は今年3月、日本産業パートナーズ(JIP)からの買収提案を受け入れ、JIPが8~9月にかけて実施した株式公開買い付け(TOB)には8割近い応募があった。臨時株主総会では、TOBに応募しなかった株主の保有株を強制的に買い取るのに必要な「株式併合」の手続きを審議し、可決した。

【政治】安倍・二階・麻生派、新たにパーティー収入不記載か 最新の報告書(11/24.Fri)

 総務省が24日に公表した2022年の政治資金収支報告書で、自民党の3派閥が開いた政治資金パーティーについて、記載が義務づけられている収入が、少なくとも4件(計100万円分)記されていない疑いがあることが朝日新聞の調べでわかった。国会では自民5派閥の21年までのパーティー収入の不記載が追及されているが、最新の収支報告書でも同様の問題がある可能性が出てきた。自民5派閥の不記載について、政治資金規正法違反(不記載・虚偽記入)容疑で東京地検に告発している政治資金オンブズマン代表で神戸学院大教授の上脇博之氏は、24日公表の収支報告書で見つかった3派閥のケースについても規正法違反に当たると指摘。新たに告発を検討するという。

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