2020年11月16日

アジア巨大経済圏RCEP誕生へ FTA、EPA、TPPって?【週間ニュースまとめ11月9日~15日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 日中韓とオーストラリア、ニュージーランド、東南アジア諸国連合(ASEAN)の15カ国が参加する地域的包括的経済連携(RCEP=アールセップ)がまとまりました。この協定発効すると、15カ国の間で貿易をする場合の関税率が下がるなど、貿易の自由度が広がります。貿易に関するニュースは、RCEPだけでなくTPPとかFTAとかEPAとか聞き慣れないアルファベットが並び、とっつきが悪いと思います。どうしてこんなとっつきの悪い名称があふれるようになったのかというと、それは世界貿易機関(WTO)が役割を十分に果たせなくなったからです。WTOの前身のGATTは、「世界がブロックごとに分かれて保護貿易をしたため第2次世界大戦が引き起こされた」という反省から戦後に設立されました。そしてGATTの時代から、多くの加盟国が参加する多角的貿易交渉をおこなって関税の引き下げを主導してきました。交渉はラウンドという呼び方をし、ケネディラウンド東京ラウンドウルグアイラウンドとまとめてきました。しかし、WTOになった後の2001年に153カ国が参加して始まったドーハラウンドは、交渉がまとまらず、2011年に当面妥結をとりあえずあきらめることになりました。世界の国がまとまって関税の引き下げができないのなら、あとはそれぞれの国が勝手に交渉するしかなくなり、多国間や2国間の貿易自由化交渉が一気に活発になったのです。FTAは自由貿易協定のこと、EPAは経済全般の協力を目指す経済連携協定、TPPは太平洋地域の11カ国による経済連携協定の名称です。とっつきにくいでしょうが、こうしたニュースはまだまだ増えます。また、社会に出て貿易に関わる仕事をする時には必ず必要になる知識です。新聞記事を頑張って読んでみてください。継続は力です。(朝日新聞社教育コーディネーター・一色清)

(図解は、RCEPとTPPの仕組み)

【医療】コロナワクチン「効果9割超」 米ファイザー許可申請へ(11/9.Mon)

 米製薬大手ファイザーは9日、ドイツのバイオ企業ビオンテックと開発中の新型コロナウイルスのワクチンについて、「90%以上の予防効果があった」とする最終の臨床試験(治験)の初期結果を発表した。安全性の確認が終われば、月内にも米食品医薬品局(FDA)に、緊急時使用の許可申請を出す。年内にも米国の一部で接種が開始される可能性がある。日本政府はファイザーから来年6月末までに6000万人分のワクチンの供給を受けることで基本合意している。

【医療】感染再拡大「第3波と考えていい」 医師会会長が危機感(11/11.Wed)

 新型コロナウイルスの国内感染者は11日午後11時半までに、新たに1547人が確認された。1日あたりでは過去4番目の多さで、大阪(256人)、埼玉(116人)、兵庫(70人)、茨城(20人)、新潟(16人)、山梨(14人)、岩手(8人)の7府県で過去最多を更新した。感染者の増加傾向は全国的に強まっており、日本医師会の中川俊男会長は11日の定例会見で、「第3波と考えてもいいのではないか」との見解を示した。厚生労働省に新型コロナウイルス対策を助言する専門家組織(アドバイザリーボード)の会合もこの日開かれ、11月に入り感染者の増加傾向が強まっているとして、「このまま放置すれば、さらに急速な感染拡大に至る可能性がある」と危機感を示した。

【国際】香港政府、民主派議員4人の資格抹消 中国が権限与える(11/11.Wed)

 中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の常務委員会は11日、香港立法会(議会)議員の資格を剝奪(はくだつ)する権限を香港政府に与えることを決定した。これを受けて香港政府は即日、民主派議員4人の資格を取り消すと宣告した。立法会議員は今後、資格要件として対中姿勢が問われるようになり、香港の一国二制度や民主主義がさらに形骸化しそうだ。決定前の立法会の構成は親中派が41、民主派21、欠員8。4人の資格剝奪で、民主派は重要法案を否決できる3分の1を割り込む。

【経済】ニトリ、島忠を子会社に DCMとの争奪戦から一転合意(11/13.Fri)

 家具大手のニトリホールディングスは13日、ホームセンター大手の島忠子会社にすることで合意したと発表した。島忠は同業大手のDCMホールディングスの株式公開買い付け(TOB)に賛同していたが、より高値での買い付けを名乗り出たニトリの提案を一転して受け入れた。島忠株をめぐっては、ホーマックなどを営むDCMが1株4200円で買い付けを進めている。だが、ニトリが3割高い5500円での対抗TOBを表明。DCMによる買い付け期限である16日を控え、島忠の対応が注目されていた。ニトリは国内に約560店を構える。売り上げの約6割を日用品やインテリア関連が占める。首都圏を中心に60店を展開する島忠を買収し、ホームセンター事業に参入する。島忠のブランドは維持するという。

【経済】RCEPに15カ国が署名 日中韓、初の自由貿易協定に(11/15.Sun)

 日中韓と豪州、ニュージーランド、東南アジア諸国連合(ASEAN)の15カ国は15日、自由貿易圏構想「地域的包括的経済連携(RCEP(アールセップ))」をめぐる首脳会合で正式に合意し、協定に署名した。発効すれば、世界人口の約3割、国内総生産(GDP)の約3割を占める巨大な経済圏ができる。RCEPは2013年から交渉が始まり、約8年を経てようやく合意した。参加国の人口やGDPの合計は、発効済みの環太平洋経済連携協定(TPP)や欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)より大きく、日本にとっては、最大の貿易相手国である中国と第3位の韓国との間で結ぶ初めての自由貿易協定となる。発効後は、域内での関税撤廃で輸入品が安くなったり、輸出しやすくなったりするほか、投資や電子商取引などの共通ルールができ、経済活動を後押しする効果が期待されている。

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