人事のホンネ

人事のホンネ

【特別編 Part12】
夏インターンで就活スタート! 何するの?就業体験は?

2019年06月19日

 4年生の就活が一段落するとともに、3年生(大学院1年生)の就活がまもなく事実上スタートします。夏のインターンシップが始まるからです。すでに多くの企業が募集を始めています。今回は、2018年夏以降のインタビューの中から、インターンに関する話を集めました。インターンを実施する企業は年々増えているうえに、各企業とも時期、内容などを工夫します。今年のインターンについては最新情報をしっかり調べて早めに動くことが肝要です。まず一歩踏み出しましょう。(編集長・木之本敬介)

(写真は、ダイキン工業のインターンシップ=同社提供)

インターン、当たり前に

 インターンは「就業体験」と訳されます。欧米では、長期のインターンで職業体験を積んで企業や仕事への適性を判断するのが一般的です。日本で盛んになったのはこの数年。業績好調で採用数を増やす企業が多く、どんどん売り手市場になり、企業の人材獲得競争は激しくなりました。一方で就活日程は「3年の3月説明会解禁、4年の6月面接解禁」で変わりません。そこで、優秀な学生と早く接触したい企業が競ってインターンを始めたわけです。学生にとっても3年夏からのインターン参加が常識になりました。

武田薬品工業】(2019年卒の採用は)学生にとってインターンシップが当たり前になった年でもありました。今までは「製薬会社がどんなところか学びに来ました」という人がいましたが、2月のインターンでは「製薬5社目」「6社目です」という人たちがいて、「製薬企業についてグループディスカッションをしてください」と指示したときのスタートダッシュが違います。「○○が□□で、国の動きは△△で……」と、いきなり専門用語が飛び交ってレベルが高い。製薬業界を一から学びに来たというより、「その中の武田の特徴は何か」を見ていると感じましたね。

会社・仕事説明+ワーク

 インターンを実施する企業が増える一方、1回あたりの日数は減る傾向にあり、いわゆる「ワンデーインターン」が急増しています。1日から数日で具体的にはどんなことをするのでしょうか。
オリエンタルランド】(2018年の総合職のインターンは冬に3日間実施)就業体験というより企業理解を深める内容です。座談会や説明会でたくさんの社員と会って、いろいろな仕事について理解を深めてもらいます。もう一つはグループワーク。「オリエンタルランドの未来とは」「今後、テーマパークでできること」といったテーマについて考えて会社への理解を深めてもらいます。

YKKグループ】事務系向けは2018年卒採用からワンデーインターンシップを実施しています。YKK、YKK AP合同で、「ファスナーの秘密」と「窓の秘密」と称する商品講座です。我々はメーカーなので、まず「どんなものをつくっているか」「どこで使われているか」「どんな品質があるか」を分かってもらうように努めています。たとえば「ファスナーの会社だと思って参加してみたら、窓もあって建材業界全般に興味を持った」という学生がいました。逆もまたしかりです。

ミズノ】ワンデーで、会社の説明をして、技術系は「新しいスポーツ用品を考えよう」という課題でグループワークをし、事務系は新規開拓営業のロールプレーをしてもらいました。基本的に社内で行われている業務の体験です。受講後のアンケートでは「実際の商品開発のことが分かった」「営業職の内容が分かった」と好評でした。ミズノのことをよく分かってもらえたようです。

日鉄物産】まず、「商社の歴史」を座学で学びます。商社の生い立ちから説明し、商社の存在理由が分かったところでワークに入ります。商社ビジネスを体感する2時間ほどのワークです。

 会社や仕事の説明を聞いた後で、業務に関連するグループワークという流れが一般的なようです。

営業同行、取材体験も

 短い日程の中でも、少しでも「就業体験」ができるように工夫している会社もあります。
武田薬品工業】本来、インターンは「職業体験」です。実際の職場を身近に感じてもらいたいので、「MR((Medical Representative=医薬情報担当者))同行」を設けています。「MR職とは」と口頭で説明してもなかなか伝わらないので、朝から晩までMRと一緒に医療機関などを訪問し、MRが医師や薬剤師ら医療関係の方々にどのような活動をしているかを見てもらっています。原則マンツーマンです。(3日間のうち)1日目は業界やMR職の理解を深めるためのワークやスキルトレーニングなど、2日目がMR同行、3日目は同行の振り返りをしました。1日だけの同行では見せられるシーンは限られます。あるMRは大学病院へ、別のMRは開業医の先生方のところへ行く。都市部と地方でも違います。3日目にグループワークで振り返ると「僕はそうじゃなかった」「私はこうだった」とそれぞれ感じ方が違うので、ディスカッションを通じてさらに理解が深まります。

朝日新聞社】記者の4日型、5日型では1泊2日で地方総局に行き、取材体験をしてもらっています。インターン生が書いた記事が実際に地域版に載ることもあります。若手の記者からも話を聞けるので人気です。

トヨタ自動車】職場に入り込むインターンシップは実施していませんが、事務、技術ともに半日~1日の「就業体感」をしてもらうワークショップを開催しています。(たった1日で本当に体感できる?)意外とできます。1日8時間仕事をするうち、「判断」をしている時間は30分くらい。残りは調整したり、データを収集・加工したりしている時間です。模擬ワークではデータの収集・加工は省き、ワークの根幹となる他部門との調整がメイン。判断は5~10分でできる簡単なものにしています。仕事の楽しいところを体感できるので、イメージがつかみやすいと思います。学生が自動車業界について理解を深めないまま就活を終えてしまうと、ミスマッチが起こります。ワンデーにしたことで事務系、技術系合わせて前年の5~6倍の学生に会えます。ワンデーをたくさん開いてマッチング率を上げていきたい。

職種別インターンも

 職種別にきめ細かいインターンを行っている会社もあります。
みずほフィナンシャルグループ】大きくは三つ、5日間の「クオンツインターンシップ」、「年金アクチュアリーインターンシップ」と「リアルバンカーズインターンシップ」です。クオンツは数理分析の専門家、アクチュアリーは年金数理や保険数理の専門家のこと。クオンツインターンでは、トレーディングモデルの構築や社員との交流などを通じビジネスを体感します。リアルバンカーズでは、お客さまの経営課題の解決に資する成長提案を作成して実際にお客さまに提案もします。インターン参加者だけでお客さまのオフィスに提案に行きました。学生がグループをつくり、現役社員はメンターとしてサポートに入ります。また、お客さまの経営層や企画部門と頻繁に意見交換をしている産業調査部の社員が産業動向や企業のあるべき姿の描き方、事業戦略の立て方などをレクチャーします。本当のビジネスではありませんが、実在のお客さまが相手です。

みなさんに一言!

 人気企業のインターンだと、エントリーシート(ES)、適性検査による書類選考や、グループディスカッション、面接などで選考をするのが一般的です。このインターン応募が、みなさんの就活体験のスタートです。まずESを書いてみる、面接を受けてみる。最初はダメダメでも、それが最初の一歩になります。一方で、人気企業ではない場合、選考なしで先着順の会社もたくさんあります。人気企業でもワンデーインターンは先着順や抽選の会社もあるので、大小、長短、いろんな会社のいろんなタイプのインターンに応募してみてください。
【YKK】事務系向けはワンデーなので選考はなく、抽選です。倍率は実施回により異なりますが、後半は他社と重なり応募人数は減少しました。技術系は2週間職場に受け入れることもあり、ES、適性検査、面接で選考します。

人事のホンネ

【特別編 Part12】