人事のホンネ

YKKグループ

2020シーズン【第3回 YKKグループ】(前編)
「ファスナーのYKK」と「窓のYKK AP」 しっかり調べて選んで

人事部ファスニング人事グループ 東京人材開発チーム採用リーダー 谷本徹(たにもと・とおる)さん

2018年10月02日

 人気企業の採用担当者インタビュー「人事のホンネ」2020シーズンの第3弾は、ファスナーで圧倒的な世界シェアを誇るYKK株式会社と、窓などの建材で知られるYKK AP株式会社からなるYKKグループです。いずれも暮らしに欠かせない商品をつくっていますが、業態はまったく異なる両社。いったいどんな採用を行っているのでしょう。(編集長・木之本敬介)

■YKKとYKK AP
 ──採用はYKKグループとして行うのですか。
 私の役割はYKKとYKK APのグループ全体の母集団形成と、YKK事務職の選考です。学内セミナーや会社説明会は2社一緒に行います。我々YKK人事部の稼働が難しい地域にはYKK APの地域の担当者に稼働してもらい、補完し合っています。

 ──応募の段階でYKKかYKK APを選ぶのですか。
 学内セミナーや会社説明会の段階ではグループ全体で募集します。どちらか1社に興味を持った学生に対し、もう1社の説明もすることで、2社に対する興味喚起を行い、より興味を持ったほうにエントリーシート(ES)を提出してもらいます。ES提出の段階で会社別に分かれますが、併願も可能です。
 どちらの会社もメーカーですが、事業も別、勤務地も海外メインと国内メインと異なります。

■採用実績
 ──2019年卒の採用実績を教えてください。
 年度によって多少前後はしますが、毎年、両社合わせて160~180人前後です。内訳は、YKK・APとも事務系が30人前後、技術系が50人前後となります。技術系は5~7割が大学院卒です。
 2019卒は、YKKの事務系が34人、技術系は48人、YKK APは事務系が34人、技術系が48人です。

 ──男女比は?
 両社とも事務系は6対4から7対3。技術系は8対2から9対1ですが、APは建築学科からの採用があるため、若干女性比率が高くなっています

両社合同インターンで商品理解深める

■インターンシップ
 ──インターンシップについて教えてください。
 技術系は9月と2月に就業体験型のインターンシップを、基本的には製造拠点がある富山県黒部市で行います。期間は2週間、参加人数はトータルで100人近いですね。技術系の場合、就業体験で興味を持ち、選考を受けてくれる人が多く、年に30%前後は入社につながっています。

 ――事務系は?
 事務系向けは2018年卒採用から1DAYインターンシップを実施しています。YKK、YKK AP合同で、「ファスナーの秘密」と「窓の秘密」と称する商品講座です。我々はメーカーなので、まず「どんなものをつくっているか」「どこで使われているか」「どんな品質があるか」を分かってもらうように努めています。昨年は10月~1月まで月に1度、東京で開催しました。定員は毎回100人ほどです。次年度は大阪での開催も予定しています。

 ──学生の反応は?
 弊社の製品を何となく知ってはいる学生に興味を持ってもらえたのは大きかったと思います。ファスナー講座はもともと服飾系の専門学校、大学の家政学部など衣料系・服飾系の学生に開講していて好評だったものを一般の大学生向けにリバイスしました。服飾に興味のある人にはもちろん、メーカーに興味を持つ学生にも訴求しやすいと感じました。

 ──「もともとYKKに興味があったが、YKK APを受けよう」とか、その逆も?
 多いですね。たとえば「ファスナーの会社だと思って参加してみたら、窓もあって建材業界全般に興味を持った」という学生がいました。逆もまたしかりです。
 私の世代だと「親会社のYKKのほうが認知度高いのでは?」という固定観念があるのですが、今の学生にとってはテレビCMをしているYKK APの方が身近なようです。

 ──インターンは先着順ですか。選考しますか。
 事務系向けは1DAYなので選考はなく、抽選です。倍率は実施回により異なりますが、後半は他社と重なり応募人数は減少しました。
 技術系は2週間職場に受け入れることもあり、ES、適性検査、面接で選考します。

■2019年卒採用の特徴
 ──2019年卒採用のエントリー数は?
 ブレエントリーはグループ全体で2万強でした。

 ──2019年卒採用の特徴は?
 事務系は多くの企業が2段階のスケジュールを組んだようですね。5月に面談をして6月に最終面接をする層と、(経団連の指針どおり)6月に入ってから1次面接を始める層です。
 実際、弊社の内々定を承諾した後、6月後半に入ってから他社の選考に行く人もいました。内々定を出したのになかなか承諾しない人、承諾しても内緒で就活している人が多かったですね。

 ──YKKのスケジュールは?
 事務系については、早期接触者も含め、3月からの説明会参加は必須ですが、例年よりも全体的にスケジュールは早まりました。
 技術系は学校推薦等の学生もいるため、事務系より早めに活動がスタートしますが、原則、マッチング面談を実施後、最終面接を6月に実施しています。

 ──早い学生は5月中に内々定?
 いえ、最終面接はあくまで6月です。その前までを5月中に行います。

 ──内定辞退は増えましたか。
 例年より多かったですね。
 事務系ではここ数年、特定の上位校の学生が選考途中で母集団から消える現象が起こりました。併願した結果、最終的に選択されないなら仕方ないのですが、最初から受けてもらえないのでは勝負にならない。そこで、今回は選考の時期を早めました。
 また、今年は上位校の学生に接触する機会を早めに設け、最後まで受けてくれる人を増やさないと、という危機感がありました。大学前のカフェで月に1~2回、YKKの座談会を開きました。

 ──技術系の採用は?
 事務系とは別に、技術系の採用担当は製造拠点のある富山にいます。連携はしていますが、企画などは基本的に任せています。選考全体の半分近くは学校推薦で、事務系とは条件が異なりますが、技術系も機電系を中心に今まで以上に競争が激化しており、事務系担当と連携を取りながら選考を行っています。

 ──学生に特徴はありましたか。
 前年までは1dayインターンシップの時期に企業研究をしている学生はあまりいませんでした。ところが、2019卒生には弊社の1day参加時、すでに他社を受けた学生が多く、企業研究も進んでいました。「この時期にこれだけ知っているんだ」と驚きでした。特に首都圏の学生は動きが早いと感じます。