人事のホンネ

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【特別編 Part2】
「未来」知るため「過去」を深掘り 面接に向けガクチカ磨け!

2018年04月24日

 「人事のホンネ」特別編の第2回は、面接でもっとも多く聞かれる「学生時代に力を入れたこと」、通称「ガクチカ」についてまとめます。すでに本番に突入した企業もあると思いますが、ゴールデンウィーク中は選考もひと休みです。採用担当者の本音を参考にして、連休明けの面接でしっかり語れるように、あなたのガクチカを磨いてください。(編集長・木之本敬介)

(写真は、面接の順番を待つ学生たち=2017年6月1日、東京都墨田区のアサヒビール本社)

「伸びしろ」を知るために…

 エントリーシート(ES)の3大テーマは、①自己PR②ガクチカ③志望動機ですね。面接はESをもとに進められますから、どれも聞かれます。ただ、大きく分けて「過去の経験」と「未来の夢」、企業はどちらをより重視すると思いますか? 採用担当者はこう語りました。

大成建設】面接で重視しているのは「本人の伸びしろ」です。実は、いい大学とか部活で日本一になったとか、現時点での立ち位置はあまり関係なくて、会社に入ってからどれだけ成長できるかの可能性を見るようにしているんです。
 
企業が欲しいのは将来活躍できる人材です。知りたいのは、みなさんの「未来」ですね。でも、将来の可能性をどうやって見極めるのでしょう。

【同社】今までの人生で何を考え、どう行動して困難を乗り越え、どういう結果を得てきたかという「過程」が大切です。そういう過程をちゃんと経験していれば、入社後どんな壁もそれなりに越えて、自分なりに成長していけるだろうと思うんですね。ですから、学生時代をどう過ごしてきたかを聞きます。

過去しか聞かない!?

 「未来」を知るために「過去」を聞くわけですね。他の担当者もこう言っています。

P&G】面接では過去の経験について聞きます。将来的なポテンシャル(潜在能力)は、その人の過去から類推するしかありません。面接官の大事な仕事は、目の前にいる学生が「過去にどういうことをしたか」という事実を掘り出すことです。面接官のスキルの8割はそこにある。ですから、志望動機のように事前に準備できるものより、学生が二十数年間でやってきたことを面接の中で引き出したい。

丸紅】その人がどういう考えを持って、学生生活をどう過ごして、どんな経験を積んできたのか、就職活動でもどう考えてどういう業界を回ってここまでたどり着いてきたのか。それらを掘り下げて見ていきます。志望動機など今後どうしたいのかももちろん聞きますが、その人の人となりは過去の学生生活を見ていくことでわかる部分が大きいので、面接官にも「掘り下げて質問して」と言っています。

東京海上日動】「将来、何をしたいのか」「何ができるのか」は聞きません。何をやってきたのか、何を考えてきたのかを聞く。全部過去の話。未来を話してもらうことはほとんどない。未来を語ってもらっても、その人の人柄や人物像は出ないのではないかと思っています。

 未来の夢は何でも言えますが、実際にどうなるかは誰にもわかりません。でも、過去の経験や実績は明確です。ウソを語っても、面接ではどんどん突っ込まれますから、必ずバレます。

「何をしたか」より「どうやったか」

 「特別な体験」である必要はありません。

三菱地所】他の人には真似できないような特別な経験をしている人も何人かはいますが、普通に居酒屋でアルバイトをして、ゼミやサークルを頑張っていましたという学生ももちろんたくさんいます。大切なのは、そこから何を感じ、学んだかだと思います。

【P&G】「自分にはすごい経験がない」という学生がいます。理系の研究をずっとしてきたけれども、P&Gが求める「部長として人をリードした経験」がない学生も。でも、「役職」が重要なのではなく、あるチームの目標に対して自分がどのように積極的に動いたかを話してもらえればいい。たとえば世界一周旅行がしたくて自分でどのようにお金を工面して実現したかという話でも、その人のいろんな側面が見えてきます。

楽天】普通の飲食店アルバイトの経験でもいいと思います。その中で自分なりに考えながら工夫して取り組んだり、努力し続けたりしたことがあればいい。その努力の仕方を見ます。ゼミでもゼミ生の組織を動かす役割、ゼミの先生以外の人と交渉する渉外の役割など様々な役割があるわけで、いろんな経験をしている人がいますよね。(小中学生からずっと続けてきた経験は?)長く続けたからいい、というわけではありません。続ける過程の中で創意工夫し、継続的な改良をしてきたか、高い目標に挑戦する姿勢があるかを見ます。

【大成建設】海外で何かに挑戦したり部活を頑張ったり、いい経験をしているのに自分でうまく振り返ることができていない方が多い。海外に行った、部活を頑張ったという事実はあまり重要ではありません。なぜ海外に行き、そこでどんな困難があって、どう自分なりに考え、どう行動したのかを知りたいんです。そこを突っ込んで聞くと、自分の中で整理できていず「そう言われると、ちょっとわかりません」という回答になることが多い。非常にもったいない。ちゃんと答えられる方には説得力を感じます。

 何をやったかより、どう工夫して、どう成長したか。「何」より「どう」、「結果」より「過程」が大切です。すでに提出したESに書いたガクチカを深く掘り下げて、面接で「過程」を語れるようにしっかり準備しましょう。

みなさんに一言!

三菱ケミカル】「野球を頑張って練習したけれどレギュラーになれず、でも声をからすまで応援して甲子園の予選の勝利に貢献した」という人がいました。このように直接の戦績だけではなく、自分がどういう形で貢献したのかをきちんとアピールしてくれればいいと思います。一方で「○○をやりました」と羅列するだけで深掘りしていないものは、印象に残りにくいですね。

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