シャープ純損益、17億円の赤字に (8月2日朝日新聞朝刊)
経営再建中のシャープが1日に発表した2014年4~6月期決算は、純損益が17億円の赤字だった。前年同期の179億円の赤字からは改善したが、不振が続いた欧州の太陽光発電事業からの撤退費用がかさんだ。
経営再建中のシャープが1日に発表した2014年4~6月期決算は、純損益が17億円の赤字だった。前年同期の179億円の赤字からは改善したが、不振が続いた欧州の太陽光発電事業からの撤退費用がかさんだ。
電機業界は業績の回復が続いています。東芝や日立製作所、ソニーやパナソニックといった大手メーカーでは次々と、企業本来の営業活動によるもうけを示す「営業利益」が大きく増加しています。
そうしたなか、経営の立て直しに取り組んでいるシャープの動きには、関心が集まりました。今回の記事は、最新の四半期決算です。結果はどうだったでしょうか。営業利益については、ライバル各社と同様に大幅に増え、前年同期比で55%増の46億円となりました。
ただし、記事は「純利益」のほうに注目しています。見出しにもあるように、こちらは17億円の赤字。純利益とは、営業利益に加えて、本業以外のもうけや利息、税金などすべての支払いを済ませたあとに残る「最終的な利益」のことですが、シャープは残念ながらマイナスになりました。
シャープが営業利益では大きな改善を見せながら、純利益で赤字となった理由は、欧州での太陽光発電事業からの撤退にあります。そのために計上費用が大きく響いています。この「特別損失」は143億円に達したため、本業でのもうけ分も吹き飛んだかたちになりました。
新聞やテレビの多くは、このように純利益のほうに注目していましたから、「シャープは赤字だった」という印象が強いかも知れません。しかし、「シャープという会社の全体的な傾向はどうなのか」という点では、むしろ「業績は回復している」と理解するほうが適切とも言えそうです。シャープの主力事業である液晶パネルの生産では、アップルのiPhoneや中国製のスマートフォン向けに出荷が大きく伸びているからです。
もちろん、このことは半面で「アップル依存」「スマホ依存」という不安定さを抱えていることも示しています。また、抱えている借金も多額ですし、そもそも液晶パネルは価格の変動が大きいなどの懸念もあります。経営再建の正念場はまだしばらく続きそうです。
2024/11/23 更新
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