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2014年07月15日

「重力波」って?宇宙の謎解きへ、巨大望遠鏡

機械・プラントエンジニアリング

宇宙の謎解きへ、巨大望遠鏡 (7月5日朝日新聞朝刊)

 アインシュタインが約100年前に予言した宇宙の現象「重力波」をとらえようと、世界初の大型低温重力波望遠鏡「KAGRA(かぐら)」を東京大学が岐阜県の神岡鉱山で建設中だ。そのための地下空間が完成し、4日に報道機関に公開された。

【目のつけどころ】 日本企業の最新技術

 重力波の観測は、「アインシュタインの最後の宿題」などと呼ばれています。20世紀の大科学者が打ち出した数多くの理論は、後にその正しさが次々と証明されていったのですが、唯一この「重力波が存在する」という予言だけは、まだ確認がされていません。しかし、きっとあると信じられています。

 重力波とは、巨大な星やブラックホールといった大きな質量を持つ物質が、衝突したり爆発したりといった運動をするとき、波のように伝わるとされる「時空のゆがみ」のことです。しかし、このゆがみは非常に微弱なので、いまのところ直接の観測には成功していません。

 東京大学を中心とする研究グループが、この観測を目指し、岐阜県の地下深くで大型装置を建設しています。日本のさまざまな大学や研究機関が参加するプロジェクトです。もちろん、企業もさまざまな場面で関わっています。チェックしましょう。

 トンネルを掘っているのは、建設会社の鹿島です。大切なのは、その掘削スピード。なにしろ世界中の研究機関が「一番乗り」を目指して競っています。のんびりとはしていられません。そこで鹿島では最新技術を投入し、国内最速記録となる月進359メートルを達成しました。素晴らしいですね。

 大企業ばかりではありません。中小企業や地方企業も貢献しています。観測装置は非常に高い真空度を保つことが求められるため、高い密閉性があるダクト(通風管)の加工や、表面をきれいに磨き上げる研磨の技術が求められます。
 こうした分野に貢献している会社が、山梨県北杜市のミラプロや、神奈川県茅ヶ崎市のエムテック、同県横須賀市の日造精密研磨などです。どうですか。おそらく世間一般にはそれほど知名度が高い会社ではないでしょう。しかし、もっている技術はピカイチなのです。

 ノーベル賞に結びつくかも知れない一大プロジェクトに関わることは、技術者をはじめ社員にとって大きな誇りでしょう。成功を期待したいですね。

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