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2014年06月17日

三菱重工業、独企業と共同で仏重電買収を提案

機械・プラントエンジニアリング

仏重電買収を提案 三菱重、独企業と共同 (6月17日朝日新聞朝刊)

 三菱重工業と、ドイツの大手重電メーカー、シーメンスは16日、フランスの同業アルストムに対し、事業買収を共同で提案した。すでに巨額の買収を提案済みの世界最大手、米ゼネラル・エレクトリック(GE)との争奪戦が本格化する。

【目のつけどころ】 国境を超えての競い合い

 国境を超えた大きな動きです。世界の名だたる企業が関わり、各国政府の思惑も絡んでいます。

 三菱重工業は近年、成長の柱の一つを「M&A」に置いてきました。つまり、他社を合併したり事業部門を買い取ったりすることで、売上げを増やしていく戦略です。実際、こうしたM&Aの成果にも支えられて、最新の決算では営業利益が過去最高の2061億円に達しました。今年度はさらに増益し、2500億円の営業利益を見込んでいます。

 今回の記事では、ドイツを代表する企業であるシーメンスと連携して、フランス企業のエネルギー部門を買収する動きが報じられています。この買収劇のライバルは、これまたアメリカを代表する企業であるゼネラル・エレクトリック(GE)です。
 フランス政府は、こうした「日独同盟 vs. 米国」という競い合いによって、自国に有利な条件を引き出せるとにらんでいます。すでにGEは、買収にあたってフランス側に「1000人の雇用創出を約束した」とも報道されています。

 三菱重工とシーメンスは今年4月にも、製鉄機械部門を統合して新しい会社を設立すると発表しています。設立する新会社には、三菱重工業と日立製作所がつくっていた三菱日立製鉄機械という会社から、資金を出します。一方のGEは、日本では東芝との結びつきが強く、今回の買収競争では東芝と協力して買収金額を引き上げる可能性もあります。

 どうですか。日米欧の超有名企業がずらりと参戦し、激しく競い合っている様子が浮かびますね。まさにグローバル経済を象徴する動きといえるでしょう。

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