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2014年06月10日

第一生命 米市場に参入

銀行・証券・保険

第一生命 米市場に参入 (6月5日朝日新聞朝刊)

 第一生命保険は4日、米中堅生保「プロテクティブ社」の買収を発表した。買収総額は約5822億円で、保険会社による海外企業の買収では最大規模になる。

【目のつけどころ】 株式会社と相互会社

 日本は世界有数の「保険大国」です。生命保険の契約金額は、米国に次いで世界2位。しかしこれは、見方を変えれば「今後の成長には限界がある」という面を持ちます。少子化も進行する中、生命保険会社はそれぞれ、さまざまな手を打っています。

 そうしたなかで、積極的な海外展開を図っている代表格が、第一生命です。これまでもインド、ベトナム、オーストラリアなどに進出しました。昨年はインドネシアの生命保険会社への出資を発表しています。
 そして今回、最大の動きを見せました。初めての米国市場への参入です。買収するプロテクティブ生命は、米南部のアラバマ州に本社があり、保険料収入は年間3000億円。第一生命の業績への貢献は大きいと見られ、現在の純利益779億円は単純計算で6割増にもなるそうです。

 こうした積極的な展開が可能だった背景として、押さえておきたいポイントの一つが、第一生命が「株式会社」であるということ。第一生命は今回の多額な買収資金を手に入れるため、最大2500億円を「増資」という方法で調達します。つまり、新しい株を発行し、投資家に買ってもらうことで資金を得るわけです。
 これに対して、たとえばライバルである業界大手の日本生命や明治安田生命は「相互会社」です。規模は第一生命よりも大きいのですが、株式会社ではないため、こうした追加の資金調達の方法はとりにくい現実があります。
 ほかにも住友生命や朝日生命が、相互会社です。また三井生命などは株式会社です。こうした会社の形式の違いと経営戦略の関係についても注目してみましょう。

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