日経BP、トルコ進出 (6月3日朝日新聞朝刊)
日経BP社は2日、トルコの出版社に資本参加すると発表した。同社にとっては初の海外進出で将来的には、この会社を利用して欧州や中東、アフリカへの進出の足がかりにする。
日経BP社は2日、トルコの出版社に資本参加すると発表した。同社にとっては初の海外進出で将来的には、この会社を利用して欧州や中東、アフリカへの進出の足がかりにする。
経済のグローバル化が進み、さまざまな企業が国境を越えた事業へと乗り出すなか、「海外展開が苦手な業界」といったイメージをもたれがちな代表格が、出版業界ではないでしょうか。イメージの背景には「言葉の壁」という印象もあるでしょう。
しかし実際は、多くの出版社が積極的にグローバル展開をしています。いいえ、むしろ出版こそグローバル化に向いた業界かも知れません。そんなことを気づかせる記事です。
記事で取り上げられた出版社の日経BPは、これまでも海外支局を開設したり現地法人を設立したりと、意欲的でした。今回はトルコ進出です。記事では「資本参加」と伝えていますが、具体的にはトルコの出版社の買収です。日経BPが得意とする医療や建設などの情報を提供したり、セミナーやイベントを開催したりして、海外での事業を広げるそうです。
考えてみましょう。そもそも「言葉」は壁なのでしょうか。そうではありませんね。出版社がもつ多様な情報は「翻訳」をすれば利用できますし、そのハードルは思いのほか低いかも知れません。
たとえば日本貿易振興会(ジェトロ)は、中国に進出している日本のファッション雑誌の動向をまとめています。表現の自由が無い独裁国家の中国では、外国の企業が出版物を発行することが禁じられていますが、日本の出版社は中語の企業と契約して、コンテンツの使用権を売っているのです。中国の若者たちは、日本のファッションに強い憧れを持っているので、大きな需要があるのですね。
つまり、そんな困難な中国でも、事業は成立するのです。ちなみにジェトロの資料をもとに、日本と中国の雑誌の関係を挙げると、こんな感じです。
・中国軽工業出版社「瑞麗」……主婦の友社「Ray」
・上海人民美術出版社「今日風采」……小学館「Oggi」
・中国紡織出版社「昕薇」……講談社「ViVi」
もちろん欧米の出版社も同様の契約を結んでいて、「ELLE」「コスモポリタン」「VOGUE」などが中国でも読めるそうです。
そう言えば、日本では日経BPから出ている「ナショナルジオグラフィック」という雑誌は、世界の36カ国語で発行され、180カ国以上で850万人が定期購読しているそうです。
どうですか。こうしてみると、本当は出版こそ「グローバル化に強い業界」かも知れませんね。
2024/12/12 更新
※就活割に申し込むと、月額2000円(通常3800円)で朝日新聞デジタルが読めます。
1
2